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晴れの日も雨の日も#176 【創作SS】サラリーマンあるある 恋愛模様編

先週拙note#174「ある日の定時後」を投稿したところ、あべみょんさんから「恋愛ものじゃないのか」と失望のコメントを頂いた(チョットオオゲサ😆)。
これはいかん。
このままでは、ただでも数少ない読者をまた失いかねない、という危機感に襲われ、急遽記事を用意した。お題は「異動」。恋愛下手のながいコーチ、はてさてどんな記事になることやら。。。

登場人物
男:28歳独身。氏名「ながい」。東京赤坂に勤務中
女:23歳独身。男と同じ職場で入社3年目


二人の職場でメンバー全体の懇親会があった。ワイワイと楽しく盛り上がった宴会もお開きとなり、一同駅へ向かう。ほとんどの人が赤坂見附駅に向かう中、二人だけは皆と別れ千代田線赤坂駅に向かった。

「あれ、まだこんな時間か。もう1軒軽くどう?」
「いいですね。さっきは私、あんまり飲んでないし」
「そうなの?体調でも良くない?」
「そんなことないんですけど、大勢だと少し気が張っちゃって」
「じゃあ、少し二人でリラックスして飲むか」
「はい、ながいさんとならぜひ」

二人は一ツ木通りのショットバーに入り、並んで腰掛けた。
男はさっきまでと少し様子が異なり、やや口が重くなっている。

「ながいさん、なんか元気ないですね」
「そう?」
「さっきまで元気だったのに。なんかありました?」
「うん。。。」


男は意を決したように口を開いた。

「実は、オレ、今度異動なんだ」
「ええええ?! そうなんですか!どこに行くんですか」
「大阪なんだ」
「えーー、そんな遠くに。。。いつですか?」
「明日公示の予定。一週間後には赴任かな」
「そんな急に。。。もう決定済みなんですか?」
「うん。もう、どうしようもない」

彼女の目にはみるみるうちに涙が盛り上がってきた。

「私、ながいさんにずっと色々面倒見てもらったから
 ここまでやってこれたのに。
 この先もずっとながいさんはそばにいてくれると思ってたのに」
「そうだよなあ。あなたが新入社員の頃からの付き合いだもんな」
「私、これからどうしたらいいんですか。。。」
「あなたなら、もう十分一人前だよ。大丈夫だよ」
「違うんです。そんなことじゃなくて。。。」
「。。。」
「去年二人で社員旅行の幹事やったの覚えてます?」
「もちろんだよ。二人で色々知恵絞って。ずいぶん話もしたよね」
「私、あの時とっても楽しかったんです。
 二人で一緒に作ってるなってものすごく感じてたんです。
 これからもまた二人で一緒に何かを作っていきたいって
 心の底から思ったんです」
「それはすごい嬉しいなあ。
 あれは、オレにとっても一生忘れられない思い出だなあ」
「でも、もうそれもできないんですね」


彼女の頬を大粒の涙がとめどなく伝う。


「いや、実はオレもあなたの笑顔を見るのが楽しみで会社に
 来てたようなものなんだ」
「ホントに?そんな素振り全然見せなかったじゃないですか」
「そりゃ、人の目もあるし、あなたの気持ちもわからなかったしね。
 オレ、いつもヘラヘラしてるように見えるかもしれないけど、
 お客さんとトラブったり、上司からボロクソに言われたり、
 もう会社行くのイヤだなって思う事あるんだよ。
 でもそんな時、あなたの笑顔を見て頑張ってこれたんだ」
「そうなんですか?
 じゃあ、私たち、実は同じようなところにいたってことですか?」


薄暗いショットバーで二人は見つめあった。
いつしか、二人はテーブルの下で手を繋いでいた。
どちらからともなく。極めて自然に。
二人は寡黙になっていた。言葉などなくてもお互いにしっかり繋がりを感じていた。

それから2年後、二人は小さな新しい命と共に三人家族として暮らしていた。

おしまい


本編登場のながいさんと筆者ながいコーチは同姓別人であり、本編は完全フィクションです。
ところで、この二人、もし今回の異動がなくても結ばれていたんでしょうか???
あべみょんさん、この辺で勘弁して〜😂

拙宅近所の田んぼも田植えの季節。鷺(?)も来訪。カエルの大合唱も。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

コーチングのご相談などご連絡等はこちらに→nagaib61s83@gmail.com
(グチ、やり場のない思いやイライラ、悩みなどもどうぞお気軽にメール
 下さい。しっかり受け止めます。皆様の「心のゴミ箱」としてご利用
 頂き、「心のオアシス」を感じて頂ければ誠に幸甚です。)

<予告>
#177 おでん屋にて#11 沼からの脱出
#178 オレもツライねん
#179 続中学生日記

(つづく)


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