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「晴れの日も雨の日も」#108 靴

履きなれたスニーカーがある。毎日18,000歩を歩く私の足を支えてきてくれた。気に入っていたが、ついに買い換えの時期を迎えた。
ニューシューズは、いつものアシックス。昔、陸上やバスケットをやっていたことから、靴はほとんどアシックス一点張りだ。私の中ではオニツカタイガーのイメージが強く、アスリート志向の感じがして好きだ。

この新しい靴、まだ足になじまない。ビミョーな違和感がある。
その違和感からコーチングで学んだ「他人の靴を履いてみる」という言葉を思い出した。

靴は、履いているうちにその人だけのオリジナルなものになる。足の形状や歩き方のクセが靴に反映されるのだろう。いわば新品の時は同じ靴でも、100人いれば100種類の靴になるというわけだ。
人の価値観も同様にそれぞれ違う。
自分の価値観やものの見方から少し離れて、相手にはどんな景色が見えているのかを考えてみようということだ。

自分の靴が正しくて他人の靴は間違っているなんてことはもちろん無い。同様に自分と他人の価値観も正しい・間違っているという捉え方をしないほうがいい。流行り言葉で言えば多様性の受容ということであり、もっと平たく言えば、相手の立場に立つとも言える。

他者との関係性を築く上で、この考え方はめちゃめちゃ重要だ。私はこの先もこの姿勢を磨き続ける決心をしている。


靴といえば、銀座の一流クラブのママは、靴を見て男を判断する、とよく言われる。
営業現役の頃は、この話が頭の中にこびりついていて、週末になると靴を磨いたり、かかとがあまりにもちびた靴は買い換えるようにしていた。生意気にも会社を代表している気でいたので、恥ずかしいマネはできないといっぱしに考えていたのだ。

でも、最近、いやホンマにそうか?と思うことがある。
だって、誰かに会った時、その人がどんな靴を履いてたかなんて覚えていない。覚えていないどころか見てもいない。そもそも、よっぽどじゃなければどんな服を着ていたかだって、記憶が曖昧だ。
ことほどさように、自分のことなんか実は誰も見ていないんじゃないの?という気がする。

それは極端にしても、たとえばネクタイはめちゃめちゃ高級品だが靴はボロボロ、なんて人はまずいない。逆に高価な革靴を履いているが着ているものは部屋着のジャージ、なんて人もいないだろう。フツー、ある程度バランスさせるものだ。そう考えてくると、靴がちゃんとしているということは、それ以外もある程度ちゃんとしており、自分がどう見られているかを気遣っているということなのだ。

それはさておき、この銀座のママの話は、人から見えないところを大事にしようという文脈でも使われる。この趣旨には賛成だ。
小難しく言えば、陰徳を積むということに通底する。
そうやって、自分の氷山の下の部分を大きく育てていくことは大事なことだと思う。



同じく営業前線の頃の話だが、お客さんと食事に行くことがしばしばあった。
ちょっと構えた店に行くと、座敷に通される。当然靴を脱ぐのだが、「どうぞそのままで」とお店の人に言われて、上がらせてもらう。
流石に左右バラバラに脱ぎ捨てる、なんて恥ずかしいことは謹んでいたが、気になったのは自分の靴のニオイだ。
靴箱にしまって頂くお店の人にご迷惑をおかけしていないだろうか。
鼻をつまんで私の靴を始末されているのではないだろうか。
そんなことが気になって仕方がなかった。

靴下のニオイも同様だ。相手のお客さんに不快な思いをさせていないだろうか。

そんなことから、会社のロッカーにはいつも新品の靴下を忍ばせておき、そういう気のおけない会合の時には、靴下を履き替えてから会社を出発したりしていた。

それも昔の話だ。今は酒を飲む相手といえば、家族か気のおけない友人だけ。万一「なんかクサイぞ」と言われても「ごめんごめん」で済んでしまう。気楽でいいが、人間がどんどんルーズになっていってしまう恐れも少し感じている。

たかが靴されど靴。新しい靴で朝のウォーキングをしながら、そんなことを考えた。

追 今日は大安一粒万倍日。11.1とゾロ目でもある。何かを始めるのに好適だ。始めるのは新しいことには限らない。立ち止まって方向修正しリスタートすることもいい。どうしようもないことに終わりを始めるのもありだ。次のステージに上って、考え方や取り組み方を一段上げるというのも立派な始まりだ。大事なことは、節目の日に自らの意思で何かを選択することだ。
Let's challenge!

大阪駅前第4ビル某店にて。ええこと言うやんか。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之  
仕事のご連絡・その他ご相談等はこちらに→nagaib61s83@gmail.com

<予告>
#109 モテる・ウケる・刺さる
#110 人生が二度あれば
#111 フリーランスになっての日々


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