見出し画像

【25歳までに読むべき本】NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く


おすすめ読者

・会社経営を視野に入れている
・人事担当者・マネジメント担当者
・「市場価値(マーケット・バリュー)」を意識している
・外資系企業・スタートアップ企業への就職・転職を検討している

この本の方針 = 序盤での下記文章に集約されている

ネットフリックスで私たちが開発した新しい人材管理手法をこれから紹介するが、まずは今日の人材管理の大前提に異議を唱えたい。すなわち、従業員の忠誠心を高め、会社につなぎ止め、キャリアを伸ばし、やる気と満足度を上げるための制度を導入することが、人材管理の仕事だとする考えである。そのすべてがまちがっている。そんなのものは経営陣の仕事でも何でもない。代わりに、ラディカルな提言をさせてほしい。ビジネスリーダーの役割は、すばらしい仕事を期限内にやり遂げる、優れたチームをつくることである。それだけ。これが経営陣のやるべきことだ。ネットフリックスでは、時代にそぐわない方針や手順のほとんどを廃止した。 
チームを無駄なルールや承認手続きから解放するために、あらゆる方法を片っ端から試した。

誰が書いたのか? = パティ・マッコード

元NETFLIX最高人事責任者で、NETFLIX CULTURE DECKの共同執筆者。サン・マイクロシステムズで人事のキャリアを始め、ボーランドなどを経て、NETFLIXには創業時から参加。現在は企業文化やリーダーシップについて複数の企業や起業家へのコンサルテーションをしながら、世界中で講演活動を行っている。

要点

優れたチームとは、これからどこに向かおうとしているかをメンバー全員が知っていて、どんなことをしてでもそこに到達しようとするチームのことだ。優れたチームをつくるのは、インセンティブや管理手法や従業員特典などではない。必要なのは、一人前の大人として挑戦に立ち向かうことを切望する有能な人材を採用し、その挑戦が何なのかを、彼らにはっきりと継続的に伝えることだ。

よく言われるモチベーション維持のための「インセンティブ」「福利厚生」は不要と言い切っている。そして、優秀なメンバーと明確な目標に向かって働ける環境こそが1番の従業員への特典である、とも。

会社の哲学と経営陣が実践してほしいと望む行動を、一人残らずすべての人に理解してもらいたいとの強い思いから、リードはそれを説明するためのパワーポイント資料をつくり始め、私とほかの経営陣が一緒に完成させた。


個人的に印象的だったのは、通年のロードマップ計画について。
自身も今の会社で「作ってもそれ通りには行かない」と頭ではわかっているが、慣行のため通年や2年後のロードマップを"なんとなく"実施していることをしっかりと否定していた。

また会社全体やチームの戦略を立案する際の一般的な慣行も見直した。それまでは毎年ロードマップを作成し、予算を策定していたが、時間がかかりすぎていたし、その通りになったためしがなく、労力をかける意味が見出せなかった。正直いうと、いつもそれらしいものをこしらえていただけだった。どんなに精緻な予測を立てても6か月後、ひどいときは3か月後には必ず外れる。そんなわけで年次計画の策定をすっかりやめ、その分浮いた時間で四半期の計画を立てた。また予測を立てられる最長期間を3四半期と見て、3四半期にわたる継続予算を編成した。

重要行動指針

・フィードバックは「性格描写」ではなく、改善可能な「行動」に対して行う。

・マネージャーが従業員に伝えるべきことは「現状の正確な状況と、事業場の課題、幅広い競争環境、自分たちがやるべきこと」

・今の従業員が成長して、いずれはマネジメントなどの上の業務も実行できると妄想しているが、そんなことはない。そこに必要な人材を吟味して、必要であれば外部から獲得する必要がある。

・事業の鍵を握る職務にスター選手を投資しろ。それ以外は均等に。

また、Netflixといえば「データ」を活用している企業としても有名である。

ハウスオブカードの製作総指揮をデヴィッド・フィンチャーに決めたのはデータが物語っていたからという話もある。

ただし、実はデータで結論を出しているわけではないようだ。本の中では「データは終着駅ではなく、視聴者理解のための出発点である」と記載されている。あくまで参考としてのデータであり、それを起点に、向き合うべき課題・解決策を人の頭で考えるとのこと。そしてその判断は製作チームのクリエイティブに一任しているらしい。

雇われる側の視点

この本にはNetflixという会社のチームビルディングの成功例から「作るべきチームとその方法」がまとめられている。
逆に、雇われる側として、最高のチーム作りの参加するためには(自身が)「どの分野なら貢献できるのか」「それはどの企業サイクルで最も価値が出るのか」を意識づけさせられる。

キャリア構築として、過去に紹介した「転職の思考法」「マーケティングの仕事と年収のリアル」は自身を主語とした”どうなりたいか”論であるが、この本はその逆として「雇う側の視点・思考」の示唆を与えてくれる。そのための1冊としても十分すぎる価値がある。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?