見出し画像

朝の習慣

丸の内のビルで働いてた時は、毎朝地下のローソンか、お金と時間に余裕のある時はその隣にあったスタバで、コーヒーを一杯買うのが日課だった。

つねに睡眠時間短めで朝はいつも眠かった気がする。
とりあえず電車に乗って、小一時間ぼーっとして。
デスクに座ってまずコーヒーを飲まないと頭が働かないカフェイン中毒になってた。

その朝の一杯を飲むことで気持ち的にも仕事モードになれてうまく切り替えられてたんだと思う。

ラオスに来てからは、まず通勤手段がバイクになり、家から職場まで10分弱走っている間に風を浴びて目をさます。

事務所に着くと、毎日ではないけどインスタントのDao Coffeeというラオス産のスティックコーヒーを飲む。これ、よく見ると、6%しかコーヒーが入っていない。どちらかというと、コーヒー味の砂糖水だ。とても甘い。

そして同僚との雑談から1日が始まる。
「朝ご飯食べてきた?」
「今日も食べてないよ〜」
「なほはいつも食べないもんね。まずはコーヒーだもんね。」

ラオスの事務所では、無言でそれぞれが集中して仕事をするというようなことはなく、みんなでおしゃべりをしながら仕事をする。
だから日本の時みたいにスイッチを切り替えるという感覚はない。

私も、書類を作っている時もあればSNSを見ている時もある。甘いコーヒーを飲みながら、ぼんやりパソコンと向き合う。

常に事務所では誰かがしゃべっている。その会話に参加したり、しなかったり。

さっきまでWordで書類を作ってたはずの同僚のパソコン画面も気づいたらFacebookに変わっていて、それを見ながら同僚がぼやく。
「日本は台風で大変なんだね〜」
Facebookでニュースを見ていたようだ。

次の瞬間は何かの動画を見つけたらしく、楽しそうに見ている。
「どっかの子供が面白いダンスをしてるよ〜」

そして私の隣にあるデスクに戻ってくると、
「今日はなほやることたくさんあるの?」と気にかけて聞いてくれる。

数分すると今度は
「スマホが変な画面になっちゃった!」
と慌てて見せてくる。私はもはや同僚のスマホ問題担当だ。

そんな感じで、1日が過ぎていく。
1日1日はそうやって淡々とした、何事もないような日々だけど、その中でちょっとずつラオス人同僚との関係をつくってきた。ほとんどは他愛のないおしゃべりだけど、ここで仕事をする上でもそれが一番大事だったなと思う。無言で黙々と作業をしていては、何も築けなかった。

この場所がすごく嫌になった日もあったけど、でも変わらずここで過ごすことができ、同僚と笑える今がとても幸せだ。

たぶん日本に戻ったら、1日のはじまりに飲んでいた、あの甘い甘いコーヒーの味を思い出すんだろうな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?