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GIFT

子供と過ごすクリスマス。

チキンやケーキを用意して、いつもとはちょっと違う料理を作る。
日本のベタなファミリー仕様のクリスマス。特別豪華なメニューじゃなくても、飾り付けなどに凝らなくても、息子はにこにこ嬉しそうだ。

形骸化したと言われて久しい日本のクリスマスだけど、
それでもいいんじゃないかな。とにかく平和で暖かくて、優しい時間。
幸せだなと思わず呟いていた。

たくさん食べて笑って、息子は一足先にベッドに入る。
サンタが母であることはもう承知してるだろうと察しはつくが、
とりあえず英語で手紙を書いてサンタのサインをし、いつものようにツリーの下に置いておく。

今朝方息子は封を開けると、しばらくじっと読めないアルファベットを見つめたのちに「お母さんの字だ」と静かに笑ってこちらを見た。
「え? お母さん日本人だから。英語で手紙なんて書く訳ないじゃん」
などと動揺を隠しつつ言い訳を並べていたその時である。
ああ、こうやって家族の時間は静かに積み重なって、そして過ぎ去っていくんだなぁ、としみじみ思ったその刹那、何だかとてもよきものが私の身体に舞い降りてきて、何とも温かい感情が胸いっぱいに広がったのだった。
何てことのないいつもの朝の、何てことのない親子の会話だったにも拘らず・・・私は今朝のこの瞬間をきっとずっと忘れないだろう。

サンタはもう子供ではない私にも、ちゃんとこんな優しい瞬間をプレゼントしてくれたのだった。

ありがとうね。

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