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夢がないと嘆く君たちへ「未来を見据えてコンパスを作る」

前回までの記事では、夢を明確に決める必要がないこと、決めるのは職業ではなくなりたい姿や自分の軸であること、そして、待つのではなく行動を起こしていこうと言うお話をしてきました。

しかし、おそらくこのシリーズを読んでくれている君たちの中にも
「分かっているけど、何をどうやればいいのかがわからない」
という声もあるのかなと思います。

だから、あくまでも1つの方法ですが、君たちがこれからどのように「なりたい姿」を見つけ、近づくためのアクションを起こせるか、私なりのアドバイスをします。

何かしら、参考になることがあれば、ぜひやってみてください。

今日はみんながこの先、生きていくであろう「未来」についてのお話

「今」で考えるのではなく「未来」で考える必要性

この世は、VUCA時代。予測困難で先行き不透明な社会。
また、society5.0ともいわれる時代にもなってきました。君たちは、その未来をどう思いますか?

一人の教員として、君たちの「未来」への見方にとても興味があります。

グローバル化、IT革命などによる社会の変容。
そして、新型コロナウイルス、世界のどこかで勃発している戦争。

誰も未来を明確に予測ができないぐらいの変化が起きているこの未来を君たちはどう思いますか?

私が君たちに言いたいのは、進路を考える上で「今」ではなく、「未来」に基準を置くこと。

君たちが生きている「今」という時間や、状況は、社会に出る6年後には同じ状況ではないこと。そのことをどれだけ進路づくりに生かせているかが大切だと思います。

試しに6年間と今を比較してみる

では、社会に出るまでの6年かかるとしたら、「6年前」をためしに考えてみましょう。その時何が起きていて、どのように変化していたのか。
参考程度に私の思い出とともに。君たちは小学4年生かな?そのころを思い出してみてください。

2017年で個人的一番大きな出来事として思ったのは、アメリカの大統領選でトランプ氏が当選したこと。「アメリカファースト」を掲げ、当時から叫ばれていたグローバル化と反対の制裁を打ち出したことに衝撃を受けました。

また、当時勤めていたスターバックスは渋谷区にあったので、5月代々木公園で「性」と「生」を祝うレインボーフェスにスターバックスが参加していたことも覚えています。今現在も様々なところで論点の的になっているLGBTについて初めて身近に感じ、考えさせられたイベントでした。

教育という現場に当時も今もいるので、そこを今と比較してみましょう。

今はもはや君たちにとってはなくてはならない教具、ipadやクロムブック。
当時はICTの必要性が言われ始めた時だったと思います。

各国の学校では、一人一台のデバイスを所持して授業に取り組んでいる。日本はまだ全国的に導入が進んでおらず、教育の遅れをとる。
そんなことがニュースになっていた記憶があります。

「アクティブラーニング」についても。
こちらの言葉も、もう知らない人は教育現場にはいないと感じますが、大学2年の時には、学習指導要領の改訂に合わせ、大学の先生や教職を目指す友人とともにどのようなものかを考えていくという時間がありました。

今では、学習指導要領にもあるように「生きる力」をはぐくむためにも必要な教授法であり、どのようなものかという「知識」自体について考えるよりも、その「知識」を持ったうえでより効果的に学習効果を高めるためにどのように授業の中に取り入れるかという実践法ところが論点になってきたと感じます。

教育の分野ひとつにとっても、社会全体にとっても非常に大きな変化を感じます。今当たり前になっているものが台頭していきたような年だったのかなと個人的に思います。
あの頃「すごい」「そんなものがあるんだ」というものがここまで私たちの生活に溶け込んでいるという実感。6年という時間がそうさせたのですね。

「時」が持つ力

6年という時間の中でも、これだけの社会変化や革新が進んでいることが自分自身も改めて感じることができました。

それを踏まえて、次は未来を。
皆さんが大学卒業後の6年は何が起きていると予想しますか?
その予測に対してどれだけの自信度がありますか?

正直、私は全く見当もつかず、教育現場や日本、世界全体でどのようなことが起こるか分かりません。
君たちも確実なものが言えない感覚を持ったのでしょうか?同じ気持ちになっていたらこの感覚を共有してみたいです。

もし、私と同じような感覚を持ったのだとしたら、それを常に頭において、自分の未来や進路を見据えてください。

予測困難で先行き不透明なVUCA時代とは、そのようなことだと思います。
その中で、君たちは何をしていくか。考えていかなくてはなりません。

「時間」は常に世の中を急速に変化させる大きな力を持っています。
しかもその変化は、予想通りにいかない事態も発生します。一番それを実感できるのは2020年に大流行した新型コロナウイルス。誰がこれを予想して、そして、それによる急激なIT化。今後も何が起きるか分かりません。

1年後でも、6年後でも、15年後でも、まったく変化しないことはないでしょう。新しいものもたくさん誕生して成長させていくでしょう。
その「時間」とともに、君たちは生きていかなくてはならないのです。

「安定」は「不安定」

少し補足します。曖昧で中途半端、「今」しか見えてない「安定」が「不安定」です。

このような警笛を鳴らしてくれたのが、前任校で教職員向けの研修に講師として講演をしてくださった倉部史記先生のお言葉の数々でした。

先生の様々な例えをお借りすると、昔から言われている「公務員」や「歯医者」などいわゆる安定した職。また、「やることは今は明確にないけど、資格を取っておけば大丈夫」という保険的考えでの資格取得。
これらの「今」にだけフォーカスした「安定」を求めることが危険といえるでしょう。

あなたのイメージする「公務員」とはどのようなものですか?
地方公務員としての安定性。イメージだけで決めていませんか?
東京ではなく、過疎化が進む土地の公務員となってしまったら、あなたのイメージしていた「安定」が手に入るのでしょうか?

「歯医者」は儲かると聞いたことありますか?
今は、歯医者はコンビニよりも多いです。そんな世界の中でなっただけで勝ち残れるのでしょうか。本当に歯医者さんになれたら儲かると言えますか?

とりあえずとった「資格」。
取った後は、どのように生かしていくか考えていますか?
持っているだけでは、それを武器にして考えて行動する人においてかれてしまうでしょう。

もう一度言います。
世間で「言われているから」と深く考えずに「今」だけを見据えた「安定」は、今の変化が激しい時代においては「不安定」です。

だからこそ、「自分の軸」となるなりたい姿や、どのように社会の中で「自分」を生かすかを、「未来」と一緒に考えていかなければならない。
それが、VUCA時代を生き抜く本当の「安定」になるのではないでしょうか。

自分で考えて見つけた学びがコンパスとなる

最後にまとめます。
「時間」や「変化」、「安定」について触れてきました。

この記事で君たちに伝えたいメッセージは未来を知ろうとする姿勢を持ち、そしてさらに「未来を自分の目で見て考える」ということ。

誰かの見方や考え方も聞く機会もあると思う。
この記事自身もそのひとつでしょう。

一昔前みたいに誰かが用意した「安定」も「当たり前」も時間という変化が崩し始めています。それはただ単に1つの可能性にしか過ぎなくて、答えではない。

君たちが生きていく未来では、足元には道がなく、ここから自分で道を開いていくしかない。

でも、それを私は「新しい自分だけの道を拓く」チャンスだとも思います。

誰かと同じ道ではなく、自分だけの道を歩けることをどれだけ喜びと感じ、自分から道を作り歩んでいくのかが、これからの時代に必要な視点なのではないでしょうか。

だからこそのコンパス。どの方向へ進み、どのような道を創り、進んでいくのか。その道しるべは君たち自身です。

今までの経験や体験、そして感じたこと、思ったことをそのままにせずに。
だれかの考えをうのみにせず1つの参考として捉えて。
それらを深く深く自分で考えて。

その過程で得た自分の学びをコンパスの部品にして、オリジナルのコンパスを作っていってほしい。

自ら組み立てたそのコンパスは、靄だらけの未来だとしても、
自分だけの道を切り開き堂々と進めてくれる大切な味方になるでしょう。

そのコンパスを一緒に作っていこう。
どんなことも学びという部品に変えていこう。

学校って、そういう場所だと私は思うのです。


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