見出し画像

サッカーにおけるシステム(3-4-3(1ボランチ))について


みなさんこんにちわ!

今回は『サッカーにおけるシステム(3-4-3(1ボランチ))について』というお話です。
3-4-3システム(1ボランチ)で超有名なのは、ペップ・グアルディオラのバルセロナですね。
ミッドフィルダー(MF)がダイヤの配置のシステムになります。
この時代のバルセロナは国内外で6冠という圧倒的な強さでありながら、魅力的なサッカーをしていました。
その後、同じような魅力的なサッカーをしたい!と世界中のクラブがマネをし始めたんですが、結局みんな挫折して今のところバルセロナのようなチームは現れていません。
そんな3-4-3システム(1ボランチ)をみてみましょう。

①3-4-3システム(1ボランチ)とは
②3-4-3システム(1ボランチ)の攻撃のメリット
③3-4-3システム(1ボランチ)の攻撃のデメリット
④3-4-3システム(1ボランチ)の守備のメリット
⑤3-4-3システム(1ボランチ)の守備のデメリット
⑥まとめ


①3-4-3システム(1ボランチ)とは

まずはどんな選手の配置かみてみましょうか。こんな感じです。

図1  3-4-3システム(1ボランチ)

前回の3-4-3システム(2ボランチ)からの違いは、
ミッドフィルダー(MF)がダイヤモンド形(ひし形)になるところです。
3-4-3システム(1ボランチ)は攻撃にとてもメリットがあるシステムで
攻撃を考えたら1番いいという人が多いです。
なぜいいのか攻撃のメリットからみていきましょう。


②3-4-3システム(1ボランチ)の攻撃のメリット

(1)互い違いに立ち位置を取るので角度が作れ、元のポジションのままパスが回しやすい
3-4-3システム(2ボランチ)と以上にパスコースが多くボールを回すのに適した陣形なんです。作ることのできる重ならない三角形の数を比べてみると、
12個と最大になります。なので、パスコースを多く作れるシステムと言えます。

図2 3-4-3システムの三角形


(2)また5トップの形にもなるためハーフレーンが使いやすくなる、崩しやすくなる
3-4-3システム(1ボランチ)は当時全盛だった4-4-2システムを攻略するために
クライフバルサ時代に採用されたシステムでした。
「クライフ」は、簡単に言うと現在最高の監督と言われるペップ・グアルディオラの師匠です。選手としてもスーパースターで中心選手としてワールドカップは準優勝しています。

では4-4-2システム(2ボランチ)で敵が守備をしている時に、
3-4-3システム(1ボランチ)どう有効に選手を配置しているシステムか考えてみましょうか。
このシステムの意味がわかると思います。

❶敵が4-4-2システムで守備をしているとします。(敵は白です)

図3 3-4-3システム(1ボランチ)の配置(1)


❷まずボールを取られて敵に攻められたことを考えとくと、「敵は2トップ(フォワード(FW)が2人)だから、ディフェンダー(DF)はカバーリングをする人を考えて3人にしとけばいいよね。」ってことで、ディフェンダー(DF)は3人に決まります。

図4  3-4-3システム(1ボランチ)の配置(2)


❸そしたら残りの7人をどう配置できたら攻撃しやすいか考えると、
まずは「敵の4人のディフェンダー(DF)の距離を広げたいよね。広げればスペースができてゴール前に侵入できるよね。」ってことで、両サイドにフォワード(FW)を置きます。

図5  3-4-3システム(1ボランチ)の配置(3)

攻撃側の青がボールを持っている時は、守備側の白のディフェンス(DF)はディフェンスライン(白の2、3、4、5番で構成しているライン)をなかなか前に上げられないので、白の3、4番のポジションも固定させてしまう役割もはたしているんですよね。
(ディフェンスラインが上げられない理由は、攻撃側の青がパスを出せる状態だとゴールに直結するオフサイドトラップギリギリのパスを出されてしまうからです)


❹そしたら「ゴール前にはフォワード(FW)が1人はいないと、ゴールできないよね。」ってことで、ゴール前にフォワード(FW)1人を置きます。(青の11番ですね)

図6  3-4-3システム(1ボランチ)の配置(4)


❹さらに、「敵の中間に立てばボールを受けやすいし、パスもしやすいよね。」ってことで、こんな感じでミッドフィルダー(MF)の選手のポジションも決まります。

図7  3-4-3システム(1ボランチ)の配置(5)


そうするとどうでしょう。4-4-2システムでの守備に対抗する形は、
3-4-3システム(1ボランチ)になりますよね。
なので、4-4-2システムの守備をパスワークで崩すのにはもってこいのシステムなんです。


例えばペップ・グアルディオラが率いていたバルセロナはこんな感じで使っていました。
スタートは4-3-3システム(1ボランチ)なんですが、攻撃時に形を変えます。

図8  ペップバルサの3-4-3システム(1)



まず、右サイドバックの青の2番がオーバーラップして、ミッドフィルダー(MF)の一角に加わります。

図9  ペップバルサの3-4-3システム(2)


そして、青の3、4、5番で3バックを作ります。
これで左右対称ではないですが、3-4-3システム(1ボランチ)ができます。

図10  ペップバルサの3-4-3システム(3)



→そうすると、敵の白11番が、青5番のパスコースを切りながら青4番にプレッシャーをかけにいっても、青3番が空いてパスがつなげることができます。(白10番は青6番をみているので前に出れない)

図11  ペップバルサの3-4-3システム(4)



→逆に、敵の白10番が、青3番のパスコースを切りながら青4番にプレッシャーをかけにいっても、青5番が空いてパスがつなげることができます。(白11番は青6番をみているので前に出れない)

図12  ペップバルサの3-4-3システム(5)



→もし、青の10、11番のパスコースを切りにいきながら
青4番にプレッシャーにいったら青6番が空いてやりたい放題。

図13  ペップバルサの3-4-3システム(6)



こんな感じでどうやっても青の選手がフリーになっちゃうんです。
そんな状況で、さらに青の7番が1ボランチ(青6番)の脇に下りてきます。
敵のマークがついてくれば白7番のスペースが空くし、
ついてこなければパスを回して揺さぶりをかけます。

図14  ペップバルサの3-4-3システム(7)


白7番がついてきたら、青10番がスルスルっと下がってきて空いたスペースを利用します。
このスペースが、ゴール前の『バイタルエリア』と言われるゴールに直結するエリアなんです。『0トップ状態』で、3-5-2システムの様になるんですが、この『バイタルエリア』をつかえるようになるのもこのシステムのメリットです。

図15  ペップバルサの3-4-3システム(8)


もし青の10番に白の3、4番のどちらかがついてきたら、
その空いたスペースに青の8、11番が入ってきてゴールを狙うって崩し方です。

図16  ペップバルサの3-4-3システム(9)


ペップバルサは、シャビ、イニエスタ、メッシ、ブスケツというボールをほとんど取られないパスワークに長けた選手が揃っていたので、3-4-3システム(1ボランチ)の相性が非常に良かったんですよね。
なので、史上最強と呼ばれるチームになれたんだと思います。


③3-4-3システム(1ボランチ)の攻撃のデメリット

攻撃時のデメリットは思いつかないですね。
攻撃の陣形としては3-4-3システムは一番いいシステムだと個人的に思います。

絞り出してデメリットを言えば、パスを回すのに適したシステムなので、
『パスを回すことが目的化して、ゴールを奪えないという状況が生まれる可能性がある』といところです。
バルセロナにはメッシがいましたが、日本代表など他のチームにはにはいませんでした。
もしカウンター攻撃を得意としている選手がいるチームは、
あえて3-4-3システム(1ボランチ)を使う必要はないですよね。
カウンター攻撃ですばやくゴールして勝利する。これもサッカーなので。


④3-4-3システム(1ボランチ)の守備のメリット

人の配置からみてお気づきだと思いますが、3-4-3はかなり前重心のシステムです。
守備時のメリットとしては、

(1)人が前線にいるので高い位置からプレスをかけやすい
高い位置でプレスしてボールを奪えればショートカウンターをかけやすいですよね。
ショートカウンターというのは、ゴールまでの距離が短いカウンターの事を言います。敵の陣地内でボールをカットして手間をかけずに数秒でゴールに迫るカウンターです。
そんな前線からのハイプレスにメリットがあるシステムです。

ちなみにペップバルサは、チームがボールを失った際に、ボールを奪い返すため、最初の5秒間に猛烈なプレスをかけるルールがあったようです。ボールを失ったら即時奪還のためパスコースを塞ぐ守備をしていました。現代サッカーではこの‘即時奪還’が基本になっています。

図17  ペップバルサの3-4-3システムのハイプレス


(2)そのため敵のサイドバックが高い位置を取れない様に押し込める
そうすると、うまくハイプレスで敵を自陣側に押し込めた状態にできれば、敵はなかなか攻めに出ることはできなくなりますし、さらにサイドバックが上がっての厚みのある攻撃を仕掛けられなくなります。その分守備の負担を軽減できるんです。


(3)そのためセンターバック(CB)と守備的MFで連携して守りやすい
さらにサイドバックがあがって来れない状況が作れると、単純に敵の攻撃枚数が減るのと、サイド攻撃が減るため、センターバック(CB)、守備的MFの連携で守りやすくなるってところです。

ペップバルサではこの守備の利点を活かすために前線からのハイプレス。守備の網を掻い潜られても3バック(アビダル、プジョル(マスチェラーノ)、ピケ)の連携した守備で敵の攻撃を防いでいました。ここは、2023-2024シーズンで退任したクロップ率いるリバプールと同じですね。


⑤3-4-3システム(1ボランチ)の守備のデメリット

(1)即時奪還出来なかった時のカウンターに弱い
→このシステムの問題は即時奪還出来なかった時ですよね。裏にスペースがあります。
敵は空いているサイドのスペースに大きくパスをすることが考えられます。
そこを狙える足の速いカウンター向きの選手を置かれたらチャンスを作られてしまいます。

そのため、3バックの選手にはセンターバック(CB)のような高さ強さと、サイドバックの選手のようなカウンター攻撃を防げるスピードを持った選手が重宝されます。
アーセナルの冨安選手がチームで重宝されているのもそれが理由です。

図18  対3-4-3システム(1ボランチ)へのカウンター



⑤まとめ
3-4-3システム(1ボランチ)は攻撃にメリットがあるシステムでした。
守備では自陣の裏にある広大なスペースをカバーするために、前線からのハイプレスをするチームが多いんですが、そこを掻い潜られたカウンターには弱いシステムです。
それをどう解決しようか?ってことでハイプレスをする流れがありますよね。
3-4-3システムが攻撃ではいいし、守備では4-4-2システムがバランスがいいんです。
この攻守のシステムの変形をどう上手くやるかを日々監督の方は考えているわけです。
うーん。すごいですね。

■PS
いまのサッカーは各システムの攻略法がかなり整理されてきていて、
相手の立ち位置やシステムを感じながらピッチの選手たちはシステム変更しています。

今や海外の一流のチームではあたりまえとなっています。
最近のミャンマー戦もそんな感じでした。
だからこそ、サッカー選手を目指す人、コーチをする人は必要な知識といえます。
そういうことで、また他のシステムの整理もしてみようかと思います。

では、また!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?