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【短編小説】石ころの夢

  • 序文


僕は、石ころ源。
庭にころがっている石ころだ。
身長3センチ、体重24グラム、おむすび形の何処にもある石ころだ。
でも、僕には夢がある!
その夢を実現する話だよ!

  • 1章 僕には夢があるんだ


庭の方で何かがザワザワしている。
 耳をすますと、石ころが喋っています。
 「私の方が綺麗よ」「俺の方が丸い」「私のくびれどう?」「俺は一番大きいだ」…
 石ころ達も色々な思いを持って生活しているのでした。
 「源ちゃんは何を思ってるの?」
 「う〜ん」
 源には、ある思いがありました。
 でも、まだ誰にも言ってません。
 「僕には夢があるんだ。」
 「へえ〜 なんだい、その夢は?」
 源は、思い切って言いました。
 「川を見たいんだ。」
 源ちゃんは川を見たかったのです。
 一瞬みんな黙った後、ゲラゲラ笑い始めたました。
 「源ちゃん そんなの無理だよ。俺達には足がないんだから」
 「でも でも川に行って水に入りたいんだ。」
 「この子は変わった子だよ。 ゲラゲラ
  源ちゃんは可愛いね でも子供だね!」
 源ちゃんの思いは強く、毎日川の流れにいる自分を夢見ていました。

  • 2章 野良君お願い

仲良しの野良猫が遊びに来ました。
 野良「ああ、退屈だな…、何か面白いことない?」
 源は考えました。どうしたら連れってくれるかな…
 源「野良君は川を見た事ある?」
 野良「もちろんあるよ、この先の高校の横に流れてるよ。」
 源「川には、水が流れているの?」
 野良「そうさ、それも冷たいんだ。美味しそうな魚も居るんだぜ」
 源「へえ、すごいね!」
 源は毎日毎日、野良ちゃんに川のことを聞きました。
 遂に野良君が「じゃあ、川に連れていってあげるよ。」
 僕「もっと大きな川がいいな。町の向こうに大きい川があるそうだよ。
  そこに連れって行って!」
 野良「大きい道を渡らないと行けないんだ。車がビュンビュン走っていて怖いな!」
 源「大丈夫! 人間について行けばいいんだよ。」
 野良は一瞬考えました。
 野良「よっしゃ じゃあ乗りな。」

  • 3章 いざ出発

野良君が、源を川まで連れていってくれることになりました。
野良「じゃあ乗りな。」
源は背中にまたがり、野良君の背中にしがみつきました。
野良君は、次々と人間を追い越し、あっという間に公園に着きました。
子供に追いかけられたり、ハトを脅かしたりして公園を抜けたら、大きな通りに出ました。
大きなバスとか車が走っています。
轢かれたらペッチャンコになってしまいます。
源「落ち着いてね! あのお婆さんの後ろに付こう。」
お婆さんは、我々に気付き「あら エライね、赤信号で待つなんて賢い猫だわ!」
お婆さん「さあ、一緒に渡りましょう。後ろを付いて来なさい」
野良「二ャアーン ありがとう!」
野良「源ちゃんの言う通りだね!」
通りを無事に渡り、町に入りました。
道は歩行者天国、人で一杯です。
人「あ! 猫だよ。 可愛いね!」
野良「この町を通り抜ければ、大きな川にでるよ。一気に走り抜けるから、しっかり握っていて!」
野良は人々の合間を駆け足で走りました。
源は落ちそうになり、尻尾にしがみつきました。
あっという間に走り抜け、川原に到着しました。
野良「源! 川に着いたぞ」
源「これが川なんだ! 広いだね。 川の中に落としてちょうだい」
源 「野良君 ありがとう! 道を渡る時は、人間に付いて渡るんだよ!」
野良「了解、じゃあな!」
ポチャン
源は、川の流れの中で、心地よい水の流れを感じていました。

  • 4章 海を見たい

源は川の流れに身を任せ、願いは叶うことを学びました。
源の頭を誰かが突っついる。
見ると、魚が源の頭のゴミを食べに来た。
源「君は誰?」
魚「おお 石ころ。 私はこの川の魚さ。」
源「この水は流れているけど、どこに行くんだ?」
魚「海さ! とっても広くて綺麗な海に流れているんだよ。」
源「へえ ここより広いのかい?」
魚「そうさ! 端が見えないぐらい広いんだよ。」
源「魚さん 海へ連れいってくれない?」
魚「嫌だよ!」
源は、ますます海に行きたくなり、毎日毎日魚君に頼みました。
魚「源は、そんなに海に行きたいのか?
 しょうがないな! じゃあ尾っぽに捕まりな」
源は魚に海まで運んでもらいました。
源は浜にいました。
目の前は、真っ青な海と真っ青な空が広がっています。

  • 5章 星に行きたい。

源は浜辺にいます。
目の前には、大きな大きな海が広がっています。
大きな波が、ザブンザブンと打ち寄せています。
休みなく波は打ち寄せ、台地を飲み込もうとしているようです。
遠くにいくほど、海は碧くなり一本のスジになり、透き通る青い空が続いています。
なんという広大な清々しい大自然に、源は圧倒されました。
源「これが海だ。どこまで続いているんだろう!」
夕暮れ時、空は一瞬真っ赤に染まった後、暗くなった。
薄暗くなった空にキラキラ光る宝石のような光の粒が増えていきます。
空は星が降って来そうに輝いています。
源「綺麗な空だな! あのキラキラ光っている物は何だろう?」
亀「星だよ」
源は、その声にビックリして声の方を見つめた。
声の主は、海亀であった。
源「ホシっていうの?」
亀「そうだよ。 遠く遠い宇宙にある星だよ」
源は亀から、海はとても広く、海の向こうに大陸があり、この地は地球であり球体であることを教わりました。
亀は物知りで、毎晩毎晩、海のこと、空のこと、星のこと、宇宙のことを教わりました。
源は、大空に輝く星空を見上げ、その尊厳な美しさに驚愕した。
源「何という美しい宇宙なんだ!誰が作ったですか?」
亀「神さまが作ったそうだよ。」
源「あの星に行きたい! どうすれば行けるかな?」
亀「そりゃ無理だよ。人間だって行けないだから!」
源「どうしても行きたい! 僕も宇宙へ行ってあの星のように光り輝きたい。」
亀「あとは、神さまにお祈りするしかないね。」
源「どうやってお祈りすればいい!」
亀「まず、神さまを信じていないと、神さまからは見えないからね。
それから、神さまが喜ぶお願いでないと叶えてくれないよ。」
源「神さまはどんなことを喜ぶんだい?」
亀「愛 愛だよ」
それから源は毎日お祈りをした。
春が終わり、夏も終わり、秋が来た時のころでした。
浜辺に小さな子供を連れた親子が遊びに来ました。

  • 6章 宇宙に飛び立つ

親子連れが散歩に来ました。
幼い子が寄って来て、源を掴み上げました。
子「ママ綺麗な石見つけたよ! 目が付いてみたい。」
その子は、源をポケットに入れました。
子供は家に帰ると、源を机の上に置きました。
子「綺麗な石だね。あなたは、私のお守りだよ。」
その日から、その子は石ころ源の夢を見る様になりました。
夢の中で、源はその子と宇宙に飛び出し、月を一周したり、火星の輪をくぐったりして遊び回りました。
そして亀さんに教わった地球のこと天体のことを教えました。
その夢のせいで、その子は天体の勉強に熱中しました。
その子は源といつも一緒に勉強し、試験の日もポケットの中に源はいました。
その子は、大学医学部を卒業し外科医になりました。
ある日、NASAの宇宙パイロット募集を知り、夢で見た宇宙旅行を思い出しました。
もちろん応募しました。
そして、その子は日本発の女性宇宙パイロットになりました。
彼女は今、宇宙に出発のためロケットに乗ってます。
いよいよロケットは発射、彼女はポケットの中で石ころ源を握っています。
彼女「源ちゃん 私を守って。」
源「大丈夫 いつも一緒だよ!」
無事大気圏外に出て、石ころ源を窓に置きました。
源「わあ〜 宇宙だ! 綺麗だな…  あれが地球かな。」
窓からは、だんだん小さくなる青く光る地球が見えます。

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