映画レビュー:23年11月の9本
・ビー・ガン / ショート・ストーリー
(2022年/中国・フランス/ビー・ガン監督)
何を観せられているの?15分だったから我慢できたけれど、途中退席待ったなし、高校時代の自主制作映画を思い出したよ。
・軽蔑
(1963年/フランス・イタリア・アメリカ/ジャン=リュック・ゴダール監督)
すばらしい!ロケ地のマラパルテ邸の美しさ、肌の色も色彩と捉えた配色の妙、音のあるなしを意識的に操る細やかなテクニック。傑作!
・竜二
(1983年/日本/川島透監督)
飼い慣らされたくない漢の自分と、安定の幸せ欲しさ、その天秤の描き方が絶妙すぎる。徐々に町の騒音が増幅していって生活の柄に耐え切れなくなる獣。当時これ観て離婚を切り出す男もいたんじゃないかと想像するぐらい、影響力の大きい作品でした。
・マルセル・マルソー 沈黙のアート
(2022年/スイス=ドイツ/マウリッツィウス・シュテルクレ・ドルクス監督)
駄作。英題「The Art of Silence」なのに、ずっと音が鳴ってる。うるさいんだよ。なのに音楽がニルス・フラームだよ?ムダ使いだろ。そもそもマイム自体は這いつくばったところから立ち上った芸能だろうに、そこにはほとんど触れず、表現の上澄みだけを掠め取ったようなスカスカな内容。気取ったフォント、フリー素材みたいな薄っぺらい美しい風景シーンの挿入の数々。少ない素材を無理やり引き伸ばしたのだろう妙に間延びした編集も難あり。
・アメリカの影
(1959年/アメリカ/ジョン・カサヴェテス監督)
今年に入ってカサヴェテス一気に4本観たけど、一番観ていられた。
・ザ・キラー
(2023年/アメリカ/デビッド・フィンチャー監督)
デビッド・フィンチャー耄碌した?よくこんな古典的な内容をまがりなりにも完成させるだけのモチベーション続いたな!自分なら飽きて途中で作品作りボツにしそうだわ。ティルダ・スウィントンと音楽トレント・レズナーの贅沢使いも、勿体ないわ。
・首
(2023年/日本/北野武監督)
武、年とった。主演クラスの超豪華俳優人をどんどん首を飛ばして殺しまくって、自分だけのうのうと生きてるなんて。かつてそう出来たようにテメェの首飛ぶシーン入れろや。芸能生活長すぎてジジィになっちまったのにそれに気づけないなんてね。
・マリア・ブラウンの結婚
(1978年/ドイツ/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督)
傑作!!!!!!45年前にこの映画作れるドイツの素地よ!徹底的に主語を「I(わたし)」にした女性映画。「昨夜の私はあなたと寝た。今の私は、仕事がしたいの。」と言ったあとに「あなたが私と寝た、んじゃなくて、私があなたと寝たのよ」とふまえたり、「男は意識がなかなか変わらない。現実より意識が遅れているのさ」というセリフに「私は逆ね。現実の方が私の意識より遅れているわ。」と返す主人公。すごい素晴らしいよ。今後の人生でまた観たいよ。傑作。
・劇場版ごん GON, THE LITTLE FOX
(2019年/日本/八代健志監督)
やっぱごんは人間チックな造詣になっちゃうんすね。。そこだけ残念だったけれど、いやはや美しく、夜の野のシーンなんかは本当に美しいし、国民的セリフ「ごん、お前だったのか」まで、結末は分かっていながら、じっくり観れます。ヒューマニズムに支配された華美なCGアニメ表現がどぎつい昨今にあって、これだけ古典的なというか、慈しみ深いじっくりした労作を作って下さる方々がいるんだものね。有難いです。
<了>