キングダムで考える採用ブランディング

キングダムで考える採用ブランディング~黒羊丘編~

■はじめに

先日、採用ブランディングで最初に考える6つについて書きました。
❶ターゲット
❷ベネフィット
❸差別点(≒独自性)
❹エビデンス
❺プロダクトアイデア
❻コミュニケーションアイデア

今回は、6つの中の主に❷~❺当たりの内容をキングダムを題材に書いてみたいと思います。

また、この記事全体を通して、人事目線のアプローチではなく、マーケター目線で採用ブランディングを考えるアプローチをしています。

■キングダムとは

言わずもがなですが、累計発行部数3600万部突破したマンガであり、紀元前3世紀の古代中国の春秋戦国時代末期を舞台にして、後の始皇帝となる秦王政と、秦の武人である主人公・信の活躍を中心に描かれている中国時代劇です。(wikipediaより)

ビジネスリーダーの方々も多く読まれていて、下記のようなキャンペーンも行われています。

■キングダムで採用ブランディングを考えてみる

-登場人物

今回はコミックの41巻~45巻あたり、黒羊戦を題材にします。
主な登場人物は3名です。

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※参考:コミックの登場人物紹介より

左から順に
1.信 :マンガの主人公。秦の将軍。
2.桓騎:同じく秦の将軍。
3.那貴:桓騎軍の幹部。千人将らしい。

-題材にする事象

黒羊丘の戦いは、桓騎を大将とし信が率いる飛信隊は桓騎軍の傘下に入ることになります。そして、桓騎軍では連携を組む軍に対して、少人数の隊の入れ替えを行っているらしく、黒羊丘戦では桓騎軍から飛信隊に那貴が送られます。

結論からいうと、この那貴が黒羊の戦いを通して、戦いの終了後、桓騎軍を離れ、飛信隊に所属する決断をします。

現代でいうと、桓騎軍から飛信隊への「転職」です。

この事象を採用ブランディング観点で掘り下げていきたいと思います。

-飛信隊と桓騎軍の違いを分析する

意図したわけではないですが、「黒羊丘の戦い」において、飛信隊のブランディングがあったからこそ、那貴は飛信隊にいく決断をしました。

そこで、飛信隊と桓騎軍の違いについて競合分析のフレームを使い考えてみたいと思います。

ちなみに、使うフレームは「Points of X」を使います。
すごくざっくり解説すると、競合との「相違点(≒差別点)」「類似点」「脱落点」を整理し分析を行います。

POD(相違点):差別化できる価値
POP(類似点):他ブランドと比較して、無いと選ばれない価値
POF(脱落点):他ブランドと比較して、あると選ばれない価値

このフレームの良いところは、「類似点」を考えるところです。

競合との差別化を考えるケースはよくあると思うのですが、一方で「差別化」はできているものの、上手くいかないケースがあると思います。

それは
 ・差別化はできているが、誰も求めていない
 ・差別化はできているが、他要素でお客様が選ぶ基準に達してない
前者も差別化を意識して失敗するケースですが、後者も同様に差別化を意識しすぎて見逃すケースと思います。

「Points of X」ではこのようなケースにも対応して分析ができます。

詳しくはこちらのnoteに書かれていますので、ご連絡ください。

それでは、分析に入ります。
結論として、「Points of X」を使い、下記のように纏めてみました。

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-桓騎軍と飛信隊、それぞれのPOP(類似点)

那貴の心理を考える際、「強さ」をもっている将軍、隊で働くのは前提にあるように考えました。この場合POP(類似点)が「強さ」になります。

しかし、その「強さ」について、下記のように整理できるのではと考えます

・桓騎軍は、李牧以上かもしれない軍略センスをもつ圧倒的な「強さ」をもつ将軍の存在
・飛信隊は、周囲の想像以上に「強さ」をもっている飛信隊と隊長信の存在


桓騎の「強さ」について語られているシーン(参考:45巻42P)

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飛信隊の「強さ」について語られているシーン(参考:44巻17~18P)

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-桓騎軍のPOF(脱落点)

続いて、桓騎軍のPOF(脱落点)を考えます。
POFとして、桓騎軍の「組織カルチャー」に着目し、

・勝つのであれば、虐殺、略奪も凌辱もおかまいなしな組織(≒隊員の心が渇いている)

あまり気持ちの良いシーンではないので、1シーンだけ紹介しますが、桓騎は自身のスタンスとして勝つためであれば、何をやってもいとわない考えをもっています。(参考:44巻125P)

この組織カルチャーは桓騎軍の強さの1つでもありますが、同時にPOF(脱落点)にもなるポイントかなと推測します。

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-飛信隊のPOD(相違点)

相違点は下記のように纏めてみました。

・中華統一、平和な世を目指し、青臭い子どものきれいごとのように強く、かっこいい、一般市民等みんなから応援される組織をめざしてる(≒隊員の心が潤っている)
・隊で食べるごはんがうまい

まず、前者の観点から。
POF(脱落点)で桓騎軍の「勝つためならなにやってもよし」の組織カルチャーについて分析しました。

一方、飛信隊にも組織カルチャーが存在します。下記は信が思い描く、

ある時点において実現していたい理想的な状態の具体的な描写である「ビジョン」、自分たちは何者でありたいかを示す「ミッション」、自分たちは何のために存在しているのか(存在意義)である「パーパス」について話しています。

飛信隊はその考えを軸にもっている信に惹かれている、一緒に実現したいと思っているメンバーが集まる組織(≒組織カルチャー)、と言えるのではないかなと。(参考:44巻P184~188)

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そして、再び那貴の観点で分析します。
那貴自身も、信、飛信隊の強さにふれ、信の思い描く理想、桓騎の思想との違いについてふれることになりました。

那貴の性格が、桓騎に近かったら、桓騎軍の方が居心地が良いと、飛信隊にはいかず、桓騎の元に帰っていったと思います。

しかし、桓騎の脱落点、それに反する飛信隊の相違点を感じた結果、那貴は飛信隊にうつる、転職する決断をしました。

那貴が桓騎軍を離れることを桓騎に伝え、桓騎から理由を問われた時のこの返しが、個人的にはとても好きです(笑)
(参考:45巻58P)

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まとめ

今回、キングダムを題材として、那貴が桓騎軍から飛信隊にうつる事象を転職と見立て、飛信隊の採用ブランディングを競合分析のフレームを使って考えました。

競合フレーム「Points of X 」を利用して下記のように整理しました

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さらに、6つのポイントの❻を除き、❶~❺を整理すると下記のようになるのかなと

❶ターゲット:那貴(桓騎軍の幹部)
❷ベネフィット:隊で食べるごはんがうまい
❸差別点(≒独自性):応援したくなり、一緒にいて気持ちのいい隊
❹エビデンス:一緒に行動を共にしてまのあたりにした
❺プロダクトアイデア:信の思想、その思いに惹かれ戦いを共にする仲間

戦の時代であるので、戦うことは大前提であり、那貴の出世欲が強いとかはコミックからはわからなかったため、わかる範囲で推測すると、「隊で食べるごはんがうまい」はベネフィットになるんではないかと思います。

もちろん、飛信隊では「おいしいごはん」が提供される、とかではなく、信の理想を応援したいと共に戦う仲間がいて、そういう仲間と戦場を走り、戦い、その後のごはんがうまいということだと思います。

そしてその感覚は、勝てばなんでもよしとして、殺伐としている桓騎軍では得られなかった感覚であり、その結果、飛信隊にという決断をしたんだと推測します。

自社の採用ブランディングに活かす

採用を行う場合、求職者は複数の選択肢があると思います。他の会社しかり、転職せず今働いている会社に残る、という選択肢も存在します。

競合ばかりに目を向ける必要はないのですが、競合がいる以上
 ・競合ではなく自社を選ぶのはなぜか?
 ・求職者に会社を選んでもらうにあたって、どういうベネフィットを提供できるのか?
 ・差別化ではないが、そもそもないと選ばれない要素はなにか?
 ・競合観点で組織の強み(差別化ポイント)はなにか?
 ・そのエビデンスをどう示すか?

このようなかたちで、自社の魅力を定義、伝えることができるといいのかなあと思いました。

最後に、Twitterもしてるので、フォローしてくれると喜びます(笑)
本職が人事領域ではなく、マーケティングの話多めですが、PR、ブランディング、組織開発、事業開発的なことをつぶやいています。

ありがとうございました!


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