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中小企業・スタートアップ向け・「職務発明規定」をつくろう

  こんにちは!元中小企業弁理士のnabです。本日は、中小企業。スタートアップ企業さん向けに「職務発明規定をつくろう」というテーマでお話しさせていただきます。参考図書は、「スタートアップの知財戦略」です。参考図書の著者は、知財戦略を語る弁護士・山本飛翔さんです。

 表紙画像は、みんなのフォトギャラリーからいただきました。ベタさんありがとうございます。

 職務発明規定って何?

  職務発明とは、会社の従業者が職務上した発明のことをいいます。特許法において、特許を受ける権利は、原則として発明者に帰属します。企業で発明が生まれた場合、その発明を特許出願し、権利化できる権利(特許を受ける権利)を有しているのは、企業ではなく、発明者です。

  よって企業で創作された発明を何らの契約なしに、会社が出願することはできません。

職務発明概要①

 職務発明規定は、職務発明の特許を受ける権利を、会社のものとする旨を定めておく規定のことです。職務発明規定により、個々の発明が完成する前から、従業者のした発明を、従業者等がした職務発明の全てを会社のものとすることができます。これにより、従業者が発明をする度に、契約等を交わして、発明者からの承諾を得る必要がなくなります。特許(又は意匠)を受ける権利を企業に帰属させる場合には、「相当の利益」を従業者に対して付与する必要があります。

職務発明概要②

 なお、元日亜化学の技術者で、ノーベル賞受賞者である中村修二さんが、この利益の額を不当として争ったのが、あの「青色発光ダイオード事件」です。第1審で東京地裁は、日亜化学に対して、中村さん側に「200億円」という前代未聞の賠償支払いを命じる判決を下しました。

 ※この事件は、控訴され、2審の東京高裁において、日亜化学側が、中村さん側に8億4391万円を支払うことで、和解になりました。後に中村さんは、自身の著書「ごめん」で、一連の訴訟事件の概要を語っており、利益均衡主義の日本の司法制度、理系技術者の低待遇を批判し、ひいては、日本産業の衰退を危惧しています。

 職務発明規定の雛形は、特許庁運営の以下のURLで確認できます。

https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/shokumu/document/shokumu_cyusyou/10.pdf

 具体的な職務発明規定の解説については、こちらでどうぞ。

 


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