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【ショートショート】ウィキペディアに俺の記事があった (5,990文字)

 ウィキペディアに俺の記事があった。

コピー・キャット

コピー・キャット(本名:木村聡(きむらさとし)、1992年(平成5年)7月6日 - )は、日本のDJ、ミュージシャン、サウンドクリエーターであり、OYASHIRAZUのメンバー。神奈川県出身。

慶應大学在学中、高校時代の同級生だった空蝉とOYASHIRAZUとして音楽活動開始。SoundCloudやYouTubeなどで精力的に作品を発表。『jambalaya』が多くの海外アーティスト[誰?]に認められる。2013年、Zappa Record社長の元ミルクタンクズ・島田透のスカウトを受け、ファーストアルバム『親知らず』でメジャーデビュー[1]。

^歴史


神奈川県相模原市出身。身長157cm。小学校3年生から6年生まで地元の少年野球チーム相模っ子レンジャーズに所属[2]。中学校ではハンドボール部に所属し、2年生の夏、神奈川県大会で優勝し、全国大会に出場するも初戦敗退[3]。燃え尽きた反動で3年生たちと一緒に部活を引退し、勉強に専念。翌年、慶應義塾高等学校に合格する[4]。

高校1年生のとき、軽音楽部に入ろうとするも、アニメ『けいおん!』の影響で体験入部に大量の新入生が押し寄せたので、生来の人見知りを発揮し、断念。ほかに音楽が出来そうな部活はないかと探したところ、RMS(ルーツ・ミュージック・ソサエティ)という名前の同好会を見つけ、加入する[5]。そこで後にOYASHIRAZUを組むことになる空蝉と出会う[6]。RMSには先輩が一人いたが、幽霊部員で、内部進学生で中学1年生の頃から活動していた空蝉が会長として振る舞っていた。そのため、コピー・キャットは同級生にもかかわらず、上級生に決まっていると勘違いし、半年間、空蝉に敬語で話しかけていたという[7]。

この頃のことについて、コピー・キャットは「とにかく僕は音楽に関することをやりたかっただけで、ジャンルとかにこだわりはなかったんです。アコースティックギターを買ってはみたけれど、別に、どんな曲を弾きたいとかって特になくって。ルーツ・ミュージック・ソサエティに入ったのも、ミュージックって言葉に惹かれただけで、それがどういう集まりなのか、一切知らなかったんですよ。空蝉には怒られましたけどね。ルーツ・ミュージックを知らねえ奴が、RMSに来てんじゃねえよって(笑)」と振り返っている[8]。

2011年、慶應大学文学部に進学。本格的な音楽活動を目指し、いくつもの音楽サークルに体験入部する。だが、しっくりくるところを見つけられず、同じく慶應大学法学部に進学していた空蝉と一緒にヒップホップユニットOYASHIRAZUを結成、SoundCloudで楽曲を発表するようになる[9]。

2012年に公開した楽曲『jambalaya』が海外で評判となり、半年で再生数が100万回を超える[10]。これがYouTubeだったら相当儲かっていたんじゃないかと考えたコピー・キャットは空蝉に無断でYouTubeチャンネル『OYASHIRAZU official』を作成する。計画通り大量の再生数を記録するも、収益化の条件を満たしていなかったため1円も得ることができなかった[10]。

2013年、新人アーティストを発掘すべく、YouTube上を巡回していたZappa Record社長の元ミルクタンクズ・島田透が『jambalaya』に注目、「とにかく元ネタが不明なぐらい、世界中の音楽が溶け合ったサウンドに痺れた。ぜひ、うちからデビューして欲しい」とYouTubeのコメント欄経由でOYASHIRAZUをスカウトする[11]。空蝉は詐欺を疑うも、コピー・キャットが無断で連絡、打ち合わせを済ませて、マネージメント契約を進めてしまう[12]。

2016年、4月3日からFM NACK5でラジオ番組『OYASHIRAZUの親知らず』の放送開始[13]。番組プロデューサーの伊原香がYouTubeで『jambalaya』を聞き、OYASHIRAZUの世界観に一目惚れしたことがきっかけだった。[14]。

2021年9月、違法ダウンロード騒動を巡る責任を取る形で引退を発表[15]。

^人物


家族

父親は刑事で警視庁のサイバー犯罪対策課の課長である[16]。

あだ名

小学生の頃のあだ名はミミちゃん。野球チームの背番号33番に由来する。ラジオ『OYASHIRAZUの親知らず』では、リスナーからのメールでミミちゃんと呼びかけられると、必ず、「しつこいっ」と嫌がるリアクションを取ることが定番となっている[17]。

ファッション

服装は常に上下黒で統一している。理由はコーディネートに時間を使いたくないから[18]。スティーブ・ジョブズがタートルネックしか着ない理由も同じと知り、喜ぶ[19]。

趣味

スパイスカレー作り[20]。GABANから現在発売されているすべてのスパイスを所有している[21]。好きなスパイスはクミンとターメリックで、理由が「この二つさえあればカレーになる。逆に言うと、この二つがなければカレーにならない」から[22]。

学生時代から週に3回はサウナに通う生粋のサウナー[23]。日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」に本名の木村聡で長年レビューを投稿している[24]。全国のサウナを巡っているが埼玉にある「湯乃泉草加健康センター」が一番であると各媒体で発言している[25]。ミュージシャンを引退した後は究極のサウナ店を開くのが夢[26]。

特技

古今東西の音楽に精通しているため、ジャンル・国・時代を問わずイントロだけでその曲のタイトルと演奏者を答えることができると豪語している[27]。『OYASHIRAZUの親知らず』では、リスナーから疑いのメールが届き、実力を証明するためイントロドン大会が開催され、アフリカのジャズや南米のシャンソンなど、適当にネットで拾ってきただけの曲も見事に正解、リスナーから気持ち悪がられる[28]。なお、後述の違法ダウンロード騒動はこのイントロドン大会について、インタビューの際に記者から「どうやって音楽意識を身につけたのか?」と質問があり、それに答える過程で明らかになった[29]。

∧違法ダウンロード騒動


2021年、OYASHIRAZUとして代々木公園で開催された東京オリンピック関連イベントでオープニングアクトを務めた際、東京新聞のインタビューに応じ、その中でコピー・キャットが過去にファイル共有ソフトで音楽データを違法ダウンロードしていたことを明らかにし、波紋を呼ぶ[30]。

インタビュー自体はコピー・キャットの音楽遍歴に関するもので、『OYASHIRAZUの親知らず』のヘビーリスナーと称する記者から、イントロドン大会での驚異の正解率について、いったいどうやってそれほどの知識を身につけたのか質問され、「僕らが中学生だった頃は音楽を違法ダウンロードするのって当たり前のことだったんですよ。Winnyとか、Napsterとか、BitTorrentとか。マニアックなやつだとLime Wireとかね。あの頃はまだYouTubeやニコニコ動画もサービスが始まったばかりで、いまみたいにいろいろなものがアップされていなかったんですけど、そういうP2Pのファイル共有ソフトは世界中の人が使っていたから、なんでも揃っていたんですよ。最初は、恥ずかしながら、友だちに高画質かつ無修正のエロ動画が無料で見れると教えてもらって、始めたんですけどね(笑) でも、光ファイバーが普及したとはいえ、まだまだ動画をダウンロードするには時間がかかって、一晩で2、3個落とすのがやっとだったんです。しかも、最悪なことにエロ動画のほとんどは釣りと呼ばれる偽物で、明け方四時なんかにダウンロードが完了し、ようやく見れるぞと思って再生すると、よくわからない外国の道が延々と流れたり、知らない家族の旅行の映像が流れたり、騙されたー! ってなるんですよ(笑) まともなエロ動画は一晩に1個あるかないかみたいな状態で。それでも、こっちも中学生。性欲を持て余していますからね。負けじと頑張り続けるわけです。ただ、そうなると暇な時間がたくさんできてしまうわけで、エロ動画と並行して、音楽ファイルを落としていろいろ聞くようになっていました。mp3ファイルは軽くって、ちょうどよかったんですよ。最初はテレビで聞いて、いいじゃんって思った流行りのやつをなんとなくダウンロードしていたんですけど、その中身もエロ動画と一緒で別物だったりして、でも、これがめっちゃ名曲だったりするんです。ちょうどその頃、音声検索ってサービスが始まっていて。だから、タイトルのわからない名曲があると、それで片っ端から調べたんです。こんな変な曲、わかるはずないかって半分ダメもとで。ところが、案外、ウィキペディアにページがあるぐらい有名だったりするんです。要するに、僕が知らないだけで、普通に有名な名曲だったわけで、考えてみたら、こっちはたかだか十数年しか生きていない若造、そんなもの、いくらだってあるはずなんですけど、同時に、まだ数十年しか生きていないからこその万能感を持っていたので、それはもう衝撃的でした。そうか、この世界にはこんなにも素晴らしいものがたくさん待っているのかって。ダサいでしょ、少年漫画の主人公みたいでしょ(笑) ただ、そのときの僕は本気で感動しちゃって、気付いたらエロ動画なんてそっちのけで、手当たり次第に古今東西の音楽ファイルをダウンロードするようになったんです。結果、なにを聞いてもだいたいわかるような人間になってしまったんです」と、長々回答し、そのまんま新聞に掲載、ネット上でも全文無料公開された[31]。

記事が公開された当初はOYASHIRAZUのファンが閲覧する程度だったが、東京オリンピック開会式を巡り演出総合統括だった電通の佐々木宏が渡辺直美の容姿を侮辱するLINEを発信していた問題で辞任したり、作曲担当だったCorneliusが過去に障がい者に対して恐喝および暴力行為を働いていたことを雑誌のインタビューで悪びれず語っていたことが明らかになり辞任したり、総合演出となった元ラーメンズ・小林賢太郎が開会式が催される7月23日の前日、7月22日にホロコーストを揶揄する表現をしていたことが判明し辞任したり、国民の不満が高まる中で、他に問題を起こしている関係者はいないか捜索が始まり、コピー・キャットの違法ダウンロードに関する発言にも注目が集まった[32]。最初は主にTwitter上で多くの人が言及する形で話題になった[33]。やがて、コピー・キャットの公式Twitterアカウントにも多くの批判コメントが届くようになり、それに対してファンが擁護コメントをつけ、同時並行で様々な議論が勃発。収集の付かない状態となったとき、本人の手書きコメントが発表されたのだが、その書き出し「この度は東京2020オリンピック・パラリンピック大会関連イベントへと私の参加につきまして、多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」のほとんどがCorneliusが発表していた謝罪文からの流用であることが発覚[34]。より多くの批判を集めることになってしまう。ついには『OYASHIRAZUの親知らず』を放送しているラジオ局に二人の殺害予告が届くなどして、逮捕者が出る事態に発展[35]。このことは新聞やテレビなどの大手メディアでも取り上げられ、事件を紹介する過程でコピー・キャットの違法ダウンロードに関する発言や謝罪文の剽窃などについても言及されたため、再び、批判が相次いだ[36]。

同年9月1日、OYASHIRAZUが所属していたレコード会社Destinationは事態を重く捉え、「音楽業界に身を置く弊社としては、著作権管理の撤退は基本であり、違法ダウンロードの禁止を訴えていくべき立場であり、それ故、違法ダウンロードを容認することは絶対にできません。コピー・キャットは未成年だった時代の思い出として、過去、違法ダウンロードに手を染めていた事実を告白したわけですが、これまた時効という簡単な言葉で済ませられる問題ではなく、社内協議の結果、相応の厳しい処分が必要という結論に至りました。つきましてはOYASHIRAZUとの契約は昨日2022年8日31日をもって終了となりました旨、ここに報告させて頂きます」と、契約解除をホームページで発表[37]。同日、コピー・キャットは自身のTwitterでファンに向けて契約解除となったことを報告すると同時に、世間に向けて、改めて自分の言葉で謝罪を述べた[38]。その後、空蝉と話し合った結果として、OYASHIRAZUの解散および引退を発表した[39]。

∨作品


∨出演


∨脚注


∨外部リンク


最終更新:1時間前、suzukabot

 なるほど。なるほど。

 おおむね正しいけれど、ところどころ間違ってもいた。だが、直そうにも、どこから手をつけたものかわからなかったし、冷静になって考えれば、俺の人生はこんなものだったのかもしれない。

 自分としては頑張りに頑張って、どうにかチャンスをものにして、試行錯誤を積み重ねたつもりだったけれど、傍から見る分にはこんな簡単にまとめられてしまう程度なのだろう。

 それでも、ここには書かれていないけれど、俺には大切な妻がいて、大切な娘がいる。ミュージシャンとして大成する夢は身から出たサビで台無しになっちまったけれど、幸せが終わったわけじゃねえ。

 おそらく、人はインターネットに書いてある内容をもとに俺をバカにしたり、憐れんだり、蔑んだりするはずだ。それはそれでかまわない。なぜなら、俺という人間の本質はデジタル化困難な大容量。要約なんてされてたまるか。

 俺はスマホを放り出し、妻と娘と近所の公園に出かけた。この幸せはどんな言葉でも表せやしない。

(了)




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