【読書コラム】79歳の母が72歳の父を殺した理由 - 『ママがやった』井上荒野
瀬戸内寂聴と井上光晴の不倫をモデルにした小説の映画化『あちらにいる鬼』で、原作者・井上荒野さんが井上光晴の娘で、作家をやられていると知った。
わたしは井上光晴の作品を読んだことはない。けれど、原一夫監督のドキュメンタリー映画『全身小説家』で凄い人だなぁと思った。なにせ、生まれ育った場所も、初恋の話も、経歴がひたすら嘘ばかり。そうして、死ぬまでモテて、モテて、モテまくり。この人は何者なんだろうと不思議で仕方なかった。
癌になって亡くなるまでの姿がカメラに収められ、その