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小ネタ#14「美術系予備校生・・予備校の文化祭で”限界”を超える!」

トップ写真は「Le Creuset ソースパン20cm/ヤフオク入手」
NO.20:2.0L 2.5kg(70年代)

最初にお詫びを!


小ネタ「美術系予備校生シリーズ」ですが、#12と#13の画像が同じ鍋になっていました。申し訳ありませんでした。どちらも青いCousances鍋になっていたことに本日気づいて、#13のほうをDanskのバーンドオレンジ鍋(渋いオレンジ色)に変更しておきましたのでご確認ください。

今日の小ネタ#14は、時期的に#12の後で、#13の前に当たりますが、まあ気にしないでお読みください〜

小ネタ#14「美術系予備校生・・予備校の文化祭で”限界”を超える!」

予備校の文化祭というイベント、デザイン科の場合は単にデッサンを仕上げて教室の壁面に飾るというものだった。いつものコンクールとどこがどう違うのか・・違わん。モチーフはいつもの石膏像だし、1種類ではなく数種類飾られていたので、自分の好きな石膏像をデッサンして良いということ。アリアドネに決めた。

それからは一日中、何の感情もなくひたすらデッサンに明け暮れた・・助手センセイも生徒たちの合間をぬって「あーだ」「こーだ」とアドバイスして教室をまわっていたが、こちらのデッサンには何も口を挟まなかった。たぶんそういう雰囲気でなかったためか・・一心不乱なデッサンぶりだったと思う。

アリアドネはギリシア神話の女神

明日は展示という日の夕方、仕上げてフィクサチーフ(木炭や鉛筆の定着保護液)をかけようとして、それを切らしていることに気づいた。隣の教室の知り合いから借りてきてデッサンの前にもどってきたら・・・驚いたことにみんながあたしのデッサンを遠目にとりまいて見ているではないか!なんなんだ! 何事かと思った。

フィクサチーフを貸してくれた知り合いがやってきて「うわ!すごい!」と声をあげ「いくらでも使ってええよ。なんなら全部使って!」と言うのだが、使い過ぎて鉛筆や木炭がデッサンの画面から流れおちた光景を見たことがあったので「まさか」と言いつつ、軽く表面に霧を吹いてお返しした。返しざまに「いいできじゃん」との感想をもらう。

この夜はのちに相方となる輩と新宿駅の東口で待ち合わせをしていたので、そのまま急いで予備校を後にした。夜行列車で松本の萩原禄山美術館に行こうと、新宿駅の構内で松本行きの順番待ちの列に並んでいたのだった。

そこで、相方にちょっと予備校のデッサンを見てきてほしいと頼んだ。理由は今でもよくは分からないが、他の人間にどう見えたのか聞きたかったようだ。1時間ほどで戻ってきて「いい出来だった。珍しく描き込んでいたし」。

良い作品というのは人を惹きつけるものだということを初めて知った出来事だった。この後、これ以上に良いデッサンは描けなかったし、これが最初で最後のことだった。

なお、このデッサンを始めとして予備校時代の作品はすべて大家さんに捨てられてしまった。下宿の裏庭の物置にイーゼルとパネルと道具類を保管してあったのだが、まだ引っ越し前だったのに「いらないと思った」と捨てられてしまったのだ。

こんちくしょうーー!!

うちら、あと数年で金婚式を迎えるが・・これまで何度か危険水域に達したこともあったが別れられなかったのは、あのデッサンを見てくれた人間が他にいなかったからだと思う。


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