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同時期に読んだ本での発見!<キッチン・セラピー>

キッチン・セラピー 著者:宇野 碧さん

実は、この本と並行して別の長編小説を読んでいました。

とある出版社から受賞したデビュー作品で、ある職業に就くことになった主人公の女性のお話でした。
なぜその業界に入ることになったか、そして業界に飛び込んでの出来事と周囲の人たちとの交流を通して一歩ずつ成長していく内容で舞台設定も人物像も鮮明に打ち出しています。

しかしなのです。
フンフンと読み進めていくのですが、なにか物足りなさを感じるのです。。。

物足りなさの正体はなに?と頭を巡らせていたところ、「キッチン・セラピー」を読んで「これかも!」とはっと気がつきました。

ズバリ、終点に向かう道筋が見えてしまうのです。

主人公が成長するために、様々な事象が起きるのですが、風をサッとかわすように進み、なんのために風が吹いているかがあまり伝わらないのです。

一方、「キッチン・セラピー」は短編ですが、主人公がどのような手法を使って対象となる人物に斬りこんでいくのかが気になり、結果、関わった人物が変わっていく様子が目に見えて次の章に気持ちよく進んでいけるのです。

今までこのような見方をしたことはなかったのですが、たまたま同時期に読んだせいか考えさせられました。

ちなみに、著者の宇野さんは「レぺゼン母」で小説現代長編新人賞を受賞し「キッチン・セラピー」は2作目となります。
2作目でこの筆力に驚きましたが、ちょうど今の私にマッチしたのかもしれません。

「キッチン・セラピー」のあらすじは今回書いていませんが、青木美智子さんの「お探し物は図書室まで」のような一人ひとりに寄り添った温かさとユーモアを感じることは請け合いですよ!


講談社


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