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「ビジネスの未来-エコノミーにヒューマニティを取り戻す」/山口周
こんにちは、あべれいじです。
最近読んだ本の中で、これは!と思ったものを本日は紹介します。
「ビジネスの未来-エコノミーにヒューマニティを取り戻す」
ビジネス本と思われそうなタイトルですが、現代社会を生きる私たちの抱える問題をあぶりだす一冊だと思いました。
なぜこの本を読もうと思ったのか
Twitterで話題となっていたことがきっかけとなりました。
「経済成長=正義である」
「前年よりも売上を伸ばし続けないといけない」
「未来のために今は苦労をして頑張れ」
こういった言葉や概念が会社勤めの私たちの周囲には充満しているように思うのです。
とはいえ、成長しないとお給料も増えていかないし、共産主義は(ほとんど)失敗に終わっているし…という点でモヤモヤを感じていました。
この本はそこへの見解を示すのみではなく、
「それでは何をすべきなのか?」というSo Whatまで示されている一冊だったと思います。
「成長し続けなければならない」という幻想
本書の問いかけはこの一文に尽きる思います。
「人間にとって、生きるに値する良い社会とは?」
経済成長を追い求める期間は終了し、今や物質的な不足は解消された「高原社会」にいると筆者は説きます。
問題の本質は「物質的な不足」から【精神的な飢え】、社会の要請が「普遍的な問題」から【普遍性の低い問題】へとシフトしている。
なるほど!と思いました。
確かに物質的な機能を充実させればよかった時代は終了し、(ある程度)世の中での快適な生活に必要なアイテムはそろい始めています。
とはいえ、資本主義の本質が「モノの希少性」に価値を付けるものだとすると、資本主義経済にとっては非常に都合がわるい。
だからこそ、さらなる経済成長、新たな消費価値を生みだすにはどうるうのか?という点に必要以上のエネルギーが注がれているのだろうと私も考えます。
そんな現在では、経済合理性の中で解くことのできない「複雑な」問題が残ってしまっているのだ、と重ねたうえで、
この問題を解決するのは、「人間性に根差した衝動だ」と続けます。
確かに、学校の文化祭のように「何かに夢中になってエネルギーを注いでいる」瞬間のエネルギーにはとてつもないものがあり、まさにこんな熱意が仕事でも生かせたらなあ…と私も常々考えているのですが。
仕事のため、給料のため、大きなストレスを我慢して働くのではなく、社会に参加して労働するという行動自体が悦びとなる。
そんな状態を目指すためには、情緒的な価値を刺激しないといけないのだなあ。と考えるわけです。
身近なところでいえば、「この人と一緒に仕事できれば楽しそうだなあ」と思ってもらえるのか、というところから始めるのかな、なんて思うわけです。
自分たちが変わる、という当事者意識
そして注意しないといけないのは、この社会を変えたいと思ったら、
「自分自身も問題を作り出している一部であること」
を認識しないといけない、というのが心に残りました。
政治家や官僚がすべて悪いのではなく、自分自身もその問題を作り出している一部であると認識する。
そして自分自身が少しの変化を作り出していくことが重要なのだ、というのは本書を読み終えた後に実感しました。
今年一番心に残った本だったかもしれません。
同時に読み進めている「人新世の資本論」とも相性がよさそう。
また感想書かないとですね。
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