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今日のジャズ: 4月22日、1963年@ニューヨーク(祝60周年)

Apr. 22, 1963 “Besame Mucho”
by Wes Montgomery with Melvin Rhyne & Jimmy Cobb at Plaza Sound Studios, New York City for Riverside (Boss Guitar)

前紹介曲のちょうどニ年後、ラテン音楽ブームの波に乗ってジャズギターの大御所、ウェスモンゴメリーもメキシコ産音楽で世界で最も歌われ録音されたという名曲、べサメムーチョを収録。

変則的なオルガンを交えたシンプルなトリオでの演奏。テーマメロディー後のウェスのアドリブ進行後、1:42秒から始まるドラムのスネアの端をスタンスタンと繰り返し叩く音がグルーブを生み出して行く。ドラマーのジミーコブは、同じリズムを繰り返しながら微妙なアクセントを挟んで黒人的なノリを生み出す天才。前紹介曲のマイルスとの演奏では、刺激的なドラムを展開しているが、こちらでは、一定のリズムを微妙に揺らがせながら波を作る事でノリを生み出す本来のスタイルが心地良い。

そして3:12から4:43まで、大御所の必殺技、ギター板が図太く温かく雄大に鳴り響くオクターブ奏法が繰り広げられる。この独特のギターの音色は、聴けば誰かと分かる唯一無二のもので、分厚いギターと太い弦のセットアップにウェス独特の親指弾きによるところが大きい。

オルガンは、ウエスと同郷インディアナポリス出身のメルビンラインで、ウエスとは、三枚のアルバムを遺している。ラテンリズムのバッキングとオルガンならではのベースラインの取り回しに耳を傾けてみたい。そしてウエスのソロの直後に始まるソロも聴きどころだが、その裏でのウエスのバッキングが、さりげないが、とてつもなく良い。

アルバムには、Take 2が収められているので、聴き比べて欲しい。如何にウエスが真のインプロバイザーかという事が分かる。繰り出される旋律が違うのだ。個人的には、Take 2が好み。演奏と音質が、全体的によりダイナミックなスタイルで更にノリが良い。しかしながら、ちょっと荒い点も耳立つので、発売当初はお蔵入りしてしまったのかもしれないが、レコードより収録時間の長いCDによって、そういった演奏が聴けるようになったのは有難い。

録音は本リバーサイドレーベル御用達のニューヨークのPlaza Sound Studios。ロックフェラーセンター近くにある、かの有名なRadio Cityの八階にあった。同ビルのディズニーへの売却によって、スタジオ自体は1979年に閉鎖されている。

本曲の季節を感じる要素としては、湿度を含む暖かみのある空気感。若干、高音の伸びが抑制されるが、中音から低音にかけでのふくよかさが感じられる。

ジミーコブのマイルスバンドでの刺激的なドラミングが気になった方は、こちらをどうぞ。

リバーサイドレーベルのもう一つの御用達スタジオでの、ウエスの演奏は、こちらからどうぞ。

最後に、ハモンドオルガン好きの方は、その演奏と歴史を以下で紹介していますので、ご覧ください。

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