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「歴史とは何か」を読む6 ー個人の才能こそ歴史を創る力がある、という歴史観は非常に子供っぽいー

「第2講社会と個人」の続き。
歴史的事実は社会的である。387字

歴史において重要なのは、個人の性格や言動である。と見る説には長い系譜がある。個人の才能こそ歴史を創る力がある、と思い込みたがる気持ちは歴史意識の初歩段階の特徴である。

今日ではこの歴史観は非常に子供っぽいと言わざるをえない。社会がもっと単純だった頃はそれでも良かったが今日の非常に複合的な社会には当てはまらない。

しかし歴史上の出来事を個人の偉人に当てはめるような歴史観は流行している。共産主義を「カールマルクスの脳から生まれた子」と呼ぶ方がその起源と特徴を分析するより簡単である。

二十世紀の二つの大戦をヴィルヘルム二世やヒトラーの個人的邪悪さの結果と見る方が、根深い事情から国際関係のシステムが崩壊した結果と見るよりも楽だ。

こういう捉え方の方が、一般にはウケがいいということへの警鐘をならしている文章と感じました。

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