新しいギャラリーの形態の思索

先日のこのニュースは私にとっては大きかった。

パリのルーブル美術館、「全作品」をウェブサイトで無料公開へ。名画「モナリザ」含む48万点以上 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_605fd1f4c5b65d1c28163943?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter 
「フランス・パリのルーブル美術館は3月26日、所蔵する全作品の画像やデータなどを無料で公開するウェブサイトを設けたと発表した。公式サイト内に所蔵品の画像や情報を登録するデータベースを作成し、公開する。発表によると、すでにチュイルリー・カルーセル庭園の彫刻など、全作品の4分の3にあたる48万2千点以上が公開されていて、今後全作品が網羅される予定だ。毎日新聞によると、同美術館では新たなウェブサイトができるまでの間、レオナルド・ダビンチ作の「モナ・リザ」など館内に展示されている作品を約3万点を集約したデータベースを公開していたという。長引くコロナ禍で美術館に行けなくなったことなどが影響し、海外の著名な美術館では、オンラインで作品を楽しめるようにする取り組みが広がっている。アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館では、37万5000点に及ぶ所蔵品のアーカイブをオンラインで無料公開している。オランダのアムステルダム国立美術館も同様の取り組みを行なっている。」2021年03月28日 11時33分 JST

試みに、既に公開されているルーブル美術館のサイトで“Théodore Gericault ”でサイト内検索し見てみたが、その詳細画像に私は驚いた。私の基準で「透明」感が感じられ、「鑑賞」に耐え得る。

Horsewoman
1820 or later
Théodore Gericault
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/438113?searchField=All&sortBy=Relevance&ft=Léon+Cogniet&offset=0&rpp=20&pos=16

ちなみに私の使用しているモニターはiMac(Retina 4K, 21.5-inch, 2017)。これには、作品の撮影技術のしっかりとした確かさもあるのだろう。こうなってくると、確かにこれまでの美術館やギャラリーでの足を運んでの美術の鑑賞体験を代替するもの、という意味合いがはっきりと出てくる。この区切りは、一体何を意味するのか。

私が昨年来から(あるいは遡ってもっと以前から)考えていたのは、正しく美術作品の「データ」化である。

一方で、この(種の)ニュースも重要である。

NYメトロポリタン美術館、コロナで苦境 収蔵品の売却検討 https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210219/mcb2102191122012-n1.htm @SankeiBiz_jpより
「世界屈指の収蔵品を誇る米ニューヨーク市のメトロポリタン美術館が、新型コロナウイルス感染拡大で財政事情が悪化、収蔵品売却を検討している。美術専門家の一部が反対、署名運動を始めるなど波紋が広がっている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、同美術館は、新型コロナによる訪問者減などで約1億5千万ドル(約158億円)の財源不足に陥る恐れがある。今後、黒人芸術家の作品購入など収蔵品の拡充のためにも、現収蔵品の一部売却を考えているという。米美術館などでつくる業界団体が昨年、2年間に限り、収蔵品の売却益を美術館の運営費などに充てることを事実上容認する内規変更を発表。これを受け、メトロポリタン美術館も売却の検討に入った。3月の理事会で正式決定する。(共同)」2021.2.19 11:22

通常は、美術作品の(稀なる幸運な)最終目的地は、恒久保存を目的とした特権的な地位にある美術館であると、形式上は考えられてきているが、この前提が崩れている。

一つには考えられるのは、資本主義のさらなる加速(昨今の「環境ビジネス」への各国の参入への動きを見てもそうだ。とても激しい)。それと同時に、(かつての左翼的理念だった)対象やそれら体験の「共有」の概念は一体どうなるのか?ということで、データによる美術作品鑑賞の完全無料化という形で、一つの回答をこれら現在も権威性を持つ美術館が表している。

では、「ギャラリー」と言われる形態は今後どうなるのか?ということを、私は考えたい所である。

美術形態そのものについては、二通りが考えられる。「データ」そのものが「作品」であると考える場合と、所謂私が今中心的に関心があり論じている「作品のデータ化」である。そして、そのいわば中間事項としての、「データ」の2D、3D等の出力形態ですね。[1]

[追記1] 参照。美術家である私、加藤豪自身の(最近約2年間の)Instagram掲載作品。https://www.instagram.com/after_contemporary_art/

以上を端的に言えば、私は(新しい)ギャラリーをやりたいのですね。出資者を探している。

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