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働くオジサンの照会対応は盛り付け良し

 私は、ちっともエラくなっていませんが、周りからは、この人に聞くと、キチンと教えてくれるようだという認識を持たれているように思います。

 私は、自分が物わかりが悪いタイプなので、その分、人にわかるように教えるのは、逆に得意かもしれないと思うのですね。

 『成瀬は信じた道をいく』という本屋大賞を取った『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈著)の続編で、主人公の成瀬あかりは、京大生になっていますが、その主人公は、「なぜ、塾講師などをしないのか」と聞かれた際、「自分は、人に教えることはできない。なぜなら、一瞬で答えがわかってしまうからだ。」と答えており、自分としては、「ふーん、なるほど」と思ってしまいました。

 私は、理解する過程で起こる「なんでかぁ~?」が、常に頭でグルグルしている人なんです。

 つまり、「○○という“趣旨”や“背景”があるから、こうこうこういう結論になるが、その典型的な“事例”は△△だ。」みたいな「なぜなぜ」がないと、とても理解できないし、記憶できないというタチなんです。

 周りを見ても、単に記憶力がいいだけの人は、覚えるのは秀でていて、テストそのものは受かりやすかったりしますが、現実の実務では、覚えるようなことは調べればわかるので、実際には、「趣旨・背景を踏まえ、同種の事例から想定すると、●●のようなケースも考えられる。」みたいな応用技が使えないと、現実世界では、ほとんど使えない知識・技能になりがちなんですね。

 私は、とにかく、単純記憶はダメダメなんです。でも、論理的な流れから、次の一手を推論することは得意かもしれません。

 いや、世の中の一般的な人でも、「こうこう、こうだから、こうなる。」みたいな流れで説明された方が、理解がしやすいんじゃないかなと思ったりしています。

 私は、何かの条文なり、規定があったりすると、「それは、なんでかぁ~?」と、つい考えてしまうのですね。

 大抵、その条文や規定の存在意義たる“趣旨”“背景”があるはずだと、頭の中でグルグルします。

 資格試験でも、予備校にずいぶんお金を払いましたし、さまざまな本もたくさん読みましたが、私は、いつも「なんでかぁ~?」を探していたように思います。

 私は、7年ぶりに、元いた古巣に戻ってきましたが、今までの社会人としての職業人生は、とにかく大量の問い合わせに答える部署にいたことが多かったです。

 電話もリンリン鳴るし(昔の黒電話は本当に、リンリン鳴りました。)、メールもじゃんじゃん来る(かつては、郵便だったり、FAXだったりもしましたが、今は昔ですね。)部署ばかりでした。

 これは、「おそらく、コイツは、問い合わせなどの対応が、普通の回答パターンより、ちょっといいんじゃないか。」という周囲の認識があったんだろうと思うんですね。

 つまり、相手に理解させるために、通常より、“盛って”返すだけのサービス精神と、その前提となる充分な知識・技能があると、思われていたフシがあるんですね。

 私は、仕事だからと言って、つっけんどんに対応するのは全く賛成できません。

 上手なキャッチボールに例えられるように、相手の受け取りやすいところに、受け取りやすいスピードで投げること、これって、周りの人もできている人ばかりではないかもと思ったりもしますし、自分としては、それをできるだけ心がけるようにして、回答のタマを投げ返しています。

 相手も、自分と同じ理解できないという痛みを感じる人間なんです。せめて、相手の理解が進むように、手助けしてあげたい、私は、オジサンなりに、本当に感じているのです。それが私の照会対応の小さなモットーですね。

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