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髑髏城の七人〈風〉

先日は、髑髏城のシーズン風を観に、またまた雨の中、豊洲のIHIステージアラウンド東京に出かけてました。前回の鳥があまりの神キャストで良すぎたので、比べないように比べないように…と思いながら行ったんですが、1人2役の演出はお初だったので、それなりに楽しめました。

今回は、サンバじゃないほうの松ケンと、向井理くんのダブル主演。ロビーには制作発表の時にも登場していた、松ケン人形が飾られておりました。

怪しい。似てるけど。

相変わらずゴーストタウンな豊洲市場、食事どころか休むところもないというのは前回で学習して懲りていたので、あまり早めに着かないようにしたつもりだったのですが、私が行った日はマチネ公演の最中に舞台システム故障のため、中断→中止というトラブルがあったのですね。

そのため開演30分押しで、その分外でも中でも長く待たされました。雨なんだからロビーぐらいまで客入れればいいのに、と思うんだけどこ、この劇場、何故かそういうところの融通はきかないのよね…

トイレの数とかはたっぷりあって案内もいいんだけど、ロビー座る場所ないし、客席の構造上早めに席に着くこともできないので、人が溜まる溜まる。年配のお客さんやハンデがある人もいるんだし、椅子かベンチはもう少しなんとかしてほしいな。

まぁ豊洲市場付近がこーんなゴーストタウンになるのは建設時には予測できなかったでしょうけど、もう半年も運営してるわけですし。今後の見通しどうなんですかねぇ。都知事は国政を引っ掻き回すことにばかりご執心なので…

お芝居の方ですが、松ケンはカムイ伝なんかで鍛えられているようで、結構動けてました。あと彼は腰がしっかりしてて、体系的にお着物よく似合うのね。かっこよかったです。向井くんの殺陣はいろいろ言われてますが、なんというか見てるうちに、だんだんいじらしく思えてきたのでまぁいいです。

なんでしょう、彼お育ちが良さそうなので、取っ組み合いの喧嘩とか接触を伴うスポーツとかの経験があまり無いのでしょうか。段取りはちゃんと覚えているし、教えられた通りきちんきちんと手足を動かしている感じはあるのですが、最初期の特撮CGみたいにこう、重力とか身体の芯みたいなものが感じられないんですよね…ふわっとしてるというかつるんとしてるというか。

大衆演劇のプリンス早乙女太一と比べるのはあまりに酷だから、と事前にものすごい自重して出かけたんですが、さすがにもどかしさは禁じ得ず。それでも、ああ、なんかものすごく真面目な人なんだな、ちゃんと教わったこと通りにやってるよな…というのが滲み出てまして、途中から甥っ子の運動会見物にきた叔母さんぐらいの目線になってました。プロの舞台お金払って見に来てそれでいいのかって話はありますが。

向井くんはこれまでにあまり舞台経験もないようなので、まずはストレートプレイで鍛えて、マーシャルアーツでも習ったらもう少し身体の使い方も上手になるのではないかと。せっかくのタッパなのでアクションできるようになるとお仕事の幅も広がるんじゃないかな。

あとはとにかく(ネタとして弄られてもいましたが)、尋常ならざる頭の小ささで、ほんとに綺麗なお顔でしたよ…途中休憩のトイレの列でも「小さい…」「向井くんの頭ホントに小さい…」ってお客さんたちザワザワしてたもんね。松ケンがわりと歌舞伎スタイルのお顔サイズと体型なので、余計あの少女漫画スタイル際立っておりました。一般人が横に立つのは、たとえチャンスがあっても辛そうです。

主演の2人が日頃はあまり舞台をやらない人たちなので、どんなもんかなぁ、とは思ったのですが、そこは脇に橋本じゅんさんなどのベテランを配してたので、舞台らしさもしっかり楽しめました。生瀬勝久さんの狸穴二郎衛門よかったわー惚れるわ。田中麗奈ちゃんも小柄ながらお芝居もアクションも頑張ってました。

という感じで、私は楽しんで帰ってきたのですが、戻ってからあれこれの情報をみたら、マチネのお客さんたちはほんとに気の毒でした。

いろんな人のブログやツイートを総合すると、お芝居の最中に急にスタッフが舞台に出てきて出演者引っ込んじゃって、1時間もあのなんにもないロビーで待たされた挙句に、劇場スタッフのアナウンスだけで中止を伝えられて返された、という流れみたいで。この劇場対応はなぁ…うーむ、と色々考えてしまいました。

若い頃に見てきた小劇場演劇では、公演日程も長くて半月程度でしたから、座付作家なり劇団の主宰なりというそこそこ責任者にあたるような人は、毎公演ロビーにいて、それこそ何かの事故やトラブルで公演中断とかになったら客の前に出てきてお詫びや状況説明をしたものですが、今回の髑髏城のように商業化されたロングラン公演では、全公演に責任者がはりついているようなことはないんでしょうね多分。

そして劇団公演ではなく、別々の事務所に所属するタレントさんを主役に据えたプロデュース公演なので、その舞台の主演の俳優であっても企画のなかではお客さん、という立ち位置。自分の判断で客の前に姿を見せて挨拶なり説明なりする立場にはないし、ましてや若いタレントさんは自分の判断だけでは客の前には出られないでしょう。

豊洲砂漠なんて周りなーんにもない空き地なので、スクリーンのトラブルなら外でやっちゃえばいいのに、とかリーディングぐらいロビーでもできるでしょ、とかもちらっと思ったのですが、実際は雨だったので、仮にやる気になっても難しかったでしょうし、なんといってもプロデュース公演というものが、劇団という組織のありようとは違って、想定外のトラブルに弱いものなんだろうな、と思います。

私は対象者じゃないので詳細はわかりませんが、振替公演は結局できず、映像での上映会を救済措置として都内で行うようですが、地方のお客さんは難しいですよね…。

これが劇団公演だったら、会場が小さな小屋やテントだったら、振替公演ももう少し融通がきいたかも知れないけど、企画公演ではあらゆる方面との契約やスケジュールの調整、コストの問題上、とても無理ってことなんだろうな。

スケールの大きい舞台は楽しいし、プロデュース公演は珍しい組み合わせのキャストが見られるので面白いんだけど、こういうリスクもあるんだよな…ということを改めて思い知った感じです。

考えてみたら私も、途中で突如フィルム外れた映画の上映会とか、主演女優病欠で3日しか練習してない女優がメインをつとめる舞台とか、急病人搬送で中断して別の演目で再開する落語会とか、そこそこ事故ってるものを見てきた経験あるけど、どれもなんとか最後までやりきる、というものだったので、中断したまま帰るっていうのは経験なかったんですよね。無事に幕が上がり、誰も怪我したりせず幕が降りる、ということに毎回感謝せねばなぁ…と思いました。

今回残念だった人たちにも、つぎの公演では神席があたりますように、お祈りしています。来月からは、シーズン月です。これもいくよー。

#演劇 #舞台 #髑髏城の七人 #松山ケンイチ #向井理 #劇団新感線 #シーズン風 #201710

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