見出し画像

重要「っぽい」資料を用意し過ぎてしまう人々 【越川慎司 AI分析でわかった トップ5%社員の習慣】

仕事において、丁寧な資料を用意することは重要だ。
「準備が8割」と言われるように、会議はそれ自体の時間よりも、事前の資料作成が最重要事項である。

私自身も、仕事においては準備を重視するタイプだ。
自分が主導する会議に臨む際には、かなり作り込んだ資料を用意する。

最近は資料をクラウドで管理しているため、細かい関係資料やデータへのリンクも貼り付ける。
根拠を聞かれた時に、余すところなく見ていただくためだ。
他にも、体裁を整えて見やすくしたり、論点を書き出しておいたり、細かい日本語の間違いが無いように何度も読み直したり。

こうした事前準備こそが、仕事を進める上での最重要事項である・・・と思っていた。


この本を読んで思ったのは、いたずらに準備に時間を費やすことは、本当に正しいのだろうか、ということだ。

越川慎司氏によると、大量の時間を費やして作成された資料も、使われずに終わるものが多いという。

 例えば、経営会議では気合を入れて資料を作成する人が多いです。しかし、頑張って作成した資料の20%程度は経営会議で使われていませんでした。従業員800名以上のクライアント企業67社では、役員会議を1時間開催するのに、現場の社員たちは70~80時間かけて資料作成を準備していました。
  しかしながら、実際に議論されるどころか、めくられることすらなかった資料は23%もあり、それを用意する時間は不要だったわけです。
越川慎司「AI分析でわかった トップ5%社員の習慣」

70〜80時間をかけて資料を作り込んだとしても、23%は見られることもない。
それ以外の資料も、1時間の会議ではどこまで議論に必要だったかは、疑問が残るだろう。

この時間を費やした社員の人件費はいくらだっただろうか?
仮に時給計算で2,000円だったとしたら、140,000〜160,000円が無駄になっている。
また準備のために他の仕事を圧迫していたり、残業になっていたら、仕事全体のパフォーマンスも下がっているだろう。

私自身の仕事を振り返っても、いつの間にか会議の準備をすることがメインになっていて、中身を詰めること自体は疎かになっていた。
また、準備自体が目的化して、いかに綺麗な資料を作るかに命をかけていたように思う。


仕事の目的は、事業の推進を通じて社会を変えることだ。
その目的を忘れ、仲間内の会議のため、しかもその準備のために、仕事時間が奪われている状況は見直さなければならない。

会議の準備のための時間を圧縮することで、他のことに取り組む余白が生まれる。
例えば、「重要だが緊急ではない」仕事に取り組み、更に深い視点を持つことができる。
また仕事時間自体を減らすことができれば、休みの時間が増えたり、プライベートが充実したりすることで、回り回って仕事に好影響を与えることもあるだろう。

私自身、会議資料を作り込もうとするのは、「自分は準備はやりました」という保身という側面があったように思う。
「ちゃんと準備してないじゃないか」と怒られることを避けようとしていた。
しかし、しっかりポイントを抑えた準備をしておけば、資料の量の少なさや体裁の悪さを怒る人はいないだろう。

もちろん、準備が一切不要だと言いたい訳ではない。
メンバーが貴重な時間を割いて参加する会議で、何を話すのかも決まっていない状態は、それこそ時間と人件費の無駄だ。
会議に向けて、必要なポイントを洗い出して議論の俎上に載せておくことは必要だ。
当初の目的である「社会を変える」ことから逆算して、必要な仕事を割り出すべきではないだろうか。


私自身、まさに明日2件の会議が控えており、先週末は準備に追われていた。
今後はポイントを見極め、「重要だが緊急ではない」仕事への時間を増やしたり、そもそも休みを増やしたり、自分の余白を増やしていきたい。


引用文献:越川慎司「AI分析でわかった トップ5%社員の習慣」


この本について、stand.fmで読書会を行いました。
また違った観点の話も出ていますので、ご興味のある方はぜひお聞きください。

この記事が参加している募集

読書感想文

仕事について話そう

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の積読増殖(そして読書)のために、サポートいただけると嬉しいです!