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ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOWー光の破片をつかまえる」岩井優さんの《彗星たち》に参加しました #前編

岩井優さんは「洗浄」をテーマに活動されているアーティストです。この作品では一般参加者とオンラインを通じてのディスカッション、そして清掃にまつわるアクションが行われます。各自カスタマイズした紙袋マスクを頭にかぶって、清掃アクションを行うのがポイントです。
紙袋マスクを作るとはおもしろそう!
そう思い、一般参加者として参加することにしたのでした。

おおまかに《彗星たち》の流れをご紹介します。

1:参加者には黒鉛(グラファイト)が表面に塗られた紙袋が郵送されます。頭にかぶると目が見えるように紙袋には穴がふたつあいています。

2:岩井さんや参加者の皆さんとオンラインでつながりながら、それぞれマスクをカスタマイズ。マスクはゴミとして捨てられるはずだった不要となったパッケージで飾ります。

3:完成したマスクをかぶって清掃アクション。この活動を横向きで写真撮影をします。横向きは除染作業の記録写真の形式と同じです。
今回のプログラムは岩井さんが除染の作業員をされた経験がべースになっています。紙袋に塗られた黒鉛(グラファイト)は鉛筆の芯の材料でもあり、世界初の原子炉でも使用されています。

4:岩井さん、参加者の皆さんとオンラインディスカッション。撮影した写真をみながら、清掃アクションの感想や気づきなどを話し合います。

5:清掃アクションの写真の一部はインスタグラム(@broom_stars)、ヨコハマトリエンナーレ2020(横浜美術館会場)で公開されています。

そして、こちらが私の清掃アクションの写真です。

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マスクは「大好きな洋菓子店で働きたいという夢を持つクママスク」というテーマで作りました。耳と口とまつ毛がケーキ箱でできています。髪の毛は紙袋と、外出自粛中に利用したネット注文の品がくるまれていた緩衝材です。

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清掃アクションをしたのは2020年7月下旬、自宅から徒歩圏にある都庁がみえる公園です。
「新型コロナウイルスが早く終息しますように。おさまれ、おさまれ」と願いを込めながら、ほうきを動かしていました。公園の地面には落ちているものはほぼ無かったので、掃除をした前と後では公園に変化はほとんどありません。
私の中の想いを、ほうきの左右の動きにとかしてゆくような経験。
まず最初に行動を起こさせる気持ち(または願い)がないと清掃活動はしないのかもしれないと、習慣になりすぎている自宅の掃除以外の場所に出てみて、あらためて思いました。

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さて、このクママスク。
私の周囲の人たちに好評だったのです。両親とZOOMで話をしたときに「作った!」とかぶったら、後日、母から「あのマスク良かったわ」と手紙までもらってしまったのでした。こんなこと今までなかったかも。

仲良くしてもらっている、Moiの岩間さんとハラダさんも「いいですね」「いいです」と、とても喜んでくれたのでした。

そして私はクママスクを部屋に飾り、眺めたりしているうちに、ふとクママスクの夢は変化したのかもしれないと思ったのでした。
「大好きな洋菓子店で働くことで(自分や周りが)幸せになる」だけではなく、今回の活動でみんなが喜んでくれたことで「元来の自分、そのままの自分で幸せになれる」ことを知ったのではないだろうか、と。

実は最初にマスクを作るときに、クママスクは“クママスク族”として生きているもの。昔は山深い集落で人間と共存していたけれども、今は人間と離れてひっそりと暮らしている種族であると空想していたのでした。
ちなみにクママスクは大学院で考古学を研究(専門は土偶)している設定です。

《彗星たち》のアクションの1回目に私は参加したのですが、全部で3セットあり、参加者は何度でも参加することができるのでした。
もう一度、参加しよう!

岩間さんとハラダさんにも想いを伝え、次回の撮影をふたりにお願いすると、快諾してくれたのでした。
そうしたら岩間さんが
「どんぐりを拾ってみたらどうだろう?落ち葉も。」
土偶。縄文時代。縄文時代の人々が食べていたという、どんぐり!
さらに清掃活動後の岩井さんと参加者の皆さんとのオンラインディスカッションで、落ち葉はゴミであるのか、違うのか、という話がでて、その問いが心のなかに残っていたのでした。

よし!どんぐりや落ち葉を拾ってみよう。
クママスクは・・・みみずく土偶みたいにカスタマイズしょう。

> 後編につづく