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パートナービザ申請後の健康診断が高い&ややこしかった【オーストラリアのビザの話9】

オーストラリアのパートナービザの発給審査を受けるには、健康診断を受ける必要がある。その辺のクリニックで健康診断を受ければいいというわけではなく、移民局が指定する機関でだ。その予約や手続きが思ったよりややこしかったので、経緯や方法を記録しておきたい。
ただし、2019年にパートナービザ(サブクラス820)を申請した当時の話なので、現在とは違う部分もあるかもしれない。最新情報はビザ申請時に確認してほしい。

Image by Unsplash Alexandr Podvalny

ビザ申請完了、と思ったら

オーストラリアのパートナービザ申請は手続きの量が膨大で、時間や手間がかかる(どこの国もそうなのかもしれないが)。パートナービザの第1ステージであるサブクラス820のビザ(一時滞在ビザ)の申請に7800ドルもの手数料を支払い、ようやく手続きを完了したと思ったら、「健康診断を受けてくださ」という流れになる。ということで、なかなか全ての手続きが完了しない。

健康診断とは、病気の有無や心身状態を明らかにするもの。しかし、そもそもなぜビザ発給に健康状態が関係あるのだろうか。僕の場合はいたって健康なので不安はなかったが、もし疾患や障害を抱えていたらどうなるのだろうという疑問はある。例えば、生まれつき目や足が不自由だとか、神経症を抱えているとか、そういった事実はビザの審査に影響するのだろうか?だとしたらそれは国家による差別では?などなど疑問は尽きないが、実際に健康上の課題がある人によるパートナービザ申請のケースを知らないので何ともいえない。

とにかく、移民局が指定する機関(僕のときはBupaという保険会社が運営する施設)で健康診断を受けなくてはならない。健康診断の料金はビザ申請料とは別にかかり、2019年当時で約380ドル。1ドル=100円で計算した場合、3万8000円に相当する。さすがは物価の高いオーストラリア。しかし必要経費なので他に選択肢はない。パートナービザを取るというだけでどんどんお金を取られるシステムに辟易しながら、しぶしぶ予約サイトを開いた。

予約できる枠が存在しない…

健康診断の日取りはいつにしようなどと考えながらビザ申請者用の予約サイトを開いて、思わず目を丸くした。カレンダー形式で表示される予約サイトに、クリック可能な日付が1つもなかったのだ。つまり、予約ができない状態だった。

サイトの不具合かと思ってページの再読み込みや別のブラウザで開くなど色々試したが、状態は変わらず、予約ができない。どうしたものかと困っているうちに問い合わせ先の電話番号を見つけたのでかけてみた。案の定というか結構待たされたが、オペレーターにつながったので状況を説明した。その人の言ったことを要約すると次のような内容だった。

「予約枠は1日分ずつしかリリースしていません。次のリリースは明日の朝8時で、1週間後の日程がリリースされます。8時に予約サイトを開き、まだ枠が取られていなければ予約できます。ダメならまた翌日のリリースを待ってください」

理由は忘れてしまったが、これ以外に健康診断の予約を取る方法はないとのことだった。面倒だとかバカバカしいとか色々思うところはあったが、その情報をサイト上に記載しておけばいいのでは?というのが最終的な疑問だ。そうしない限り僕のような問い合わせが無限に殺到し続けるはず。オペレーターはきっとそんなことは分かっているだろうし、多くの人からそう言われているだろうと思って余計なことは言わず、お礼を言って電話を切った。

ビザの手続きがいつまで経っても終わらない、とうんざりしそうになったが、ネガティブな気持ちになってもならなくてもやることは変わらない。淡々と手続きをこなすことにした。

朝から待機して予約

朝8時前からパソコンでサイトを開いて待機した。8時になる瞬間にページを再読み込みすると、1週間先の日程が1日分だけ、クリックできるようになっていた。

すぐさまクリックしてみると、予約可能な時間枠がいくつか表示され、その中の1枠を取ることができた。意外と簡単で拍子抜けだ。その後は健康診断に持参する必要書類を準備して当日を待つだけだった。

パートナービザに限った話ではないが、パンデミック中はビザ用の健康診断の予約の受け入れ数がさらに制限されたらしい。結果的に予約日が6カ月も先になった人もいたと間接的に聞いた。それに比べたら、パンデミックが始まる前に健康診断のプロセスに進むことができたのはラッキーだったのだろう。

健康診断当日の「言語サポート」

健康診断を行うシドニー市内の施設に着いて受け付けをしていると、最初のフォームを書き込む際に「言語」についての質問があった。普段話している言語は何か、といった質問だったと思う。「日本語」と書いてさらに次の質問を見ると、「医師と話す際に言語のサポートが必要か」とあった。

これまでオーストラリアで医療機関にかかる際には英語で全て対応してきたが、医療の専門知識があるわけではないので、正直なところ初めて聞く医療用語は分からない。健康診断でさほど複雑な話は出ないだろうと思いつつも、ビザ関連の手続きということで妙に慎重になっていたので「言語のサポートが必要」にチェックを付けてみた。

受付に提出すると、女性スタッフが雑談をしつつ僕の記入内容を確認して、「言語サポート、必要ですか?」と念押しをしてきた。「医療の専門用語は分からないです」と答えると、「私も(笑)。でもあなたはきっと大丈夫だと思いますよ」とのこと。何のための質問項目だったのか、と思ったが「もし本当に困ったことがあったらその場で医師に伝えてください」と言われて受け付けは完了した。おそらくだが、雑談やフォームの記入内容から英語力を推し量り、大丈夫と判断したのだろう。

検査着に着替え、健康診断は身長、体重、視力、聴力などのチェックに始まり、血圧や尿検査、レントゲンなど盛りだくさんだった。最後に医師による問診や検査内容の総括がある。最初に「言語サポート、必要ですか?もし分からないことがあったらこれで翻訳して見せるから」と医師が示したのが、パソコンのGoogle翻訳の画面。誤訳があったらどうするのだという一抹の不安を抱えつつ、既往歴などを話し、特にGoogle翻訳を使うことなく問診を終えた。後で思ったが、高度な専門用語ほど意外と訳語にバリエーションが少ないので誤訳が起きにくいのかもしれない。

受け付けをしてから健康診断が全て終わるまで、かかった時間は1時間ほどだった。予約は手間だったが、たどり着いてしまえば何のことはない。380ドルは高いという気持ちは変わらなかったが、滅多に受ける機会のない健康診断を受けて健康と証明されたのでよしとすることにした。


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