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「パートナービザ/永住権」が取れた時に思ったこと【オーストラリアのビザの話13】

オーストラリアのパートナービザは「一時滞在ビザ」と「永住ビザ」の2段構えで、一足飛びには永住ビザに行き着かない。僕の場合、2020年に一時滞在ビザが発給され、2021年に永住ビザを申請した。この永住ビザというのが、いわゆる永住権といわれる権利に直結するもの。
ビザ申請について書き始めてから時間が経ってしまったが、結論からいうと僕は今、オーストラリアの永住ビザ保持者だ。ビザ発給までの足取りや、詐欺かと思うほどスピーディーだった、発給のメールが届いた時のことなどをまとめておきたい。

Photo by Anthony DELANOIX on Unsplash

パートナービザ、申請から発給までの足取り

別の投稿でも書いたが、僕のパートナービザ申請&発給のヒストリーは大まかに次のような感じだ。

2018年 パートナービザ申請と同棲を考え始める
2019年 
同棲開始 → ディファクト申請
     → パートナービザ(サブクラス820)申請
2020年 パートナービザ(一時滞在ビザ/820)取得

それ以降の状況を付け加えると、次のようになる。

2021年 永住ビザ(801)への切り替えを申請へ
2022年 永住ビザ(801)取得

こうして書いてみると極めて順調に見えるが、本人としては手続きに苦労したりお金や時間がかかったり、もしビザが発給されなかったらと思い悩んだりと色々ある。とはいえ、ビザ申請後の移民局のほうの仕事はスムーズに進んだといえそうだ。

詐欺かと思うほど早かった

正直、永住ビザ発給に至るまでにもっと時間がかかると思っていた。というのも、僕が2019〜2021年に僕が移民局のウェブサイトで見たところ、一時滞在ビザも永住ビザも、ざっくり言うと「一時滞在・永住のパートナービザは申請から発給までにそれぞれ14〜27カ月かかる」と記されていたのだ。要するに、ただ発給を待っている期間だけでも各1〜2年、両方合わせたら最長4年超になる。

ところが、どちらのパートナービザも1年かからずに発給された。片方は半年くらいで「Visa granted(ビザ発給)」のEメールが移民局から届き、予想より早すぎたので思わずなりすまし詐欺を疑ったほどだ。

ただ、オーストラリアでパートナービザを取得した友人知人いわく、それぞれのパートナービザが降りるまでに数カ月という例もなくはないらしい。そのスピードの理由は分からないが、提出した書類に不備・不足がない、移民局での手続きの滞留が少ない、などがあるのかもしれないと勝手に想像している。僕の場合、確かに提出書類に問題はなかったようで、再提出や追加書類の催促を移民局から受けたりはしなかった(実際に移民局から連絡が来て追加書類を出したり面談に呼ばれたりした人の話も聞いたことがある)。

久々に移民局のウェブサイトを見たら、2024年7月の申請の場合、パートナービザ発給までにかかる期間は次のように表示されていた。

  • パートナービザ(サブクラス820、一時滞在)
    →最長47カ月ほど(ただし申請者の50%は18カ月以内に発給)

  • パートナービザ(サブクラス801、永住)
    →最長10カ月ほど(ただし申請者の50%は6カ月以内に発給)

第1ステップの一時滞在ビザの発給までにかかる期間がかなり伸びたようだが、一方で第2ステップの永住ビザのほうは時間が短縮されたようだ。

あくまで平均的なビザの手続き期間ということだが、移民局のサイトでパートナービザ以外のビザについても確認できるようになっていたので最新情報をチェックしてみてほしい。

https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-processing-times/global-visa-processing-times

永住ビザが発給された「その時」の気持ち

パートナービザに限らず、オーストラリアではビザ発給の知らせは全てEメールで届く。

2022年のある日、スマートフォンの通知画面に「IMMI Grant Notification」という受信メールの件名が見えた。「これはきっとビザに関する知らせだ」と思いつつも、「もしかしたら追加書類の要請かもしれない。ぬか喜びは禁物だ」と妙に冷静に考える自分もいた。手続きが大変だった分、がっかりしたり感情が振り回されたりすることへの抵抗感が大きかったのだろう。

「IMMI Grant Notification」は永住ビザ発給の知らせで、発給番号やらビザの有効期限などが記された事務的なものだった(サブクラス801の永住ビザは特に問題がなければ簡単に更新し続けられるが、5年ごとに更新が必要)。事務的なメールだったが、解放感と脱力感が一気にやって来た。

ビザを申請した側としては、「苦手な事務手続きを地道にこなし、大きな金額の手数料を払い、挙げ句の果てに永住権がもし発給されなかったら…」などと考えた瞬間も一度や二度ではない。淡々と手続きを進め、ただ待っているだけだが、「万が一、オーストラリアのパートナービザが取れなかったら、どこの国で暮らそうか」などと半分本気でパートナーと話したこともある。「一緒にいられればどこでも楽しいよ」と言うパートナーに救われたが、それでも2人でオーストラリアで暮らしたいというのが僕らの願いだった。

メールの「visa granted」の文字を見た瞬間の心境は、「これでやっと全て済んだ」以外にない。少し遅れて、嬉しさがやって来た。この先もオーストラリアにいられるか、いられないか、先のことを考えにくい中途半端な状態を脱したこと、そして今までの手間や苦労が報われた、という嬉しさだった。

これから先もオーストラリアでこうしてパートナーと共に暮らしていけるんだ、という実感がふつふつと湧いたのは、それから更に数カ月後のこと。2人でカフェでコーヒーを飲んでいた時だったか、ビーチ沿いを散歩していた時だったか忘れたが、日常の中の何気ない幸せの時間に、唐突にそう思った。

現在のパートナービザ申請料金と

自分の永住ビザが発給されて以降は移民局のパートナービザに関するウェブページを見る機会はなくなったが、昨日ふと思い立って覗いてみた。以下はパートナービザの第1ステージである一時滞在ビザ、サブクラス820について説明するページだ。

https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/partner-onshore/temporary-820

「Cost」の部分を見ると、パートナービザの申請料は9095豪ドルと記載されている(2024年8月現在)。僕が申請した2019年は7850ドルだったから、インフレの影響もあってか1000ドル以上アップしたことになる。仮に1豪ドル=95円で計算すると、9095豪ドル=86万4025円。為替相場次第では、そろそろ100万円が近づいてきた感じもする。

ただ配偶者やパートナーと共に生きていくためのビザだが、日本円で考えると100万円は格安・短期の世界1周旅行ができるくらいの値段だ。86万円では最安の軽自動車の新車が買えるらしい。もう少し移民に優しい制度設計に変わってほしいなと思うのは、僕が出身国を出て暮らす移民だからに他ならないが、日本にいる移民の人たちも経済面にかかわらず大変な思いをしているのではないかと思う。

パートナービザが永住ビザまで発給されたので、「ビザの話」はほとんど書き終えてしまったのだが、前章で触れた「永住ビザの更新」についてそのうち、一応まとめておこうと思う。自分が忘れないためのメモとしての意味もあるが、誰かの参考になれば幸いだ。

*繰り返しになるが、一連の投稿で書いていることはあくまで僕個人の体験や考えたことにすぎない。申請・発給から時間も経過して色々なことが変わっているだろうし、そもそもビザの情報提供の専門家ではなく資格もない。実際にビザ申請などの手続きを行う際は、移民局のウェブサイトにある最新の公式情報を確認してほしい。

  

◆ビザの話、1番初めの投稿はこちら


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