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【掌編小説】三角形といえば

「三角形といえば。」

午後のファミレスにて。
席の向かいに座る木村が、おもむろに話を始める。

「国語的観点からすると、『おにぎりのような形』って表現するやろ?でも数学的観点からすると『3つの辺と3つの点から成る図形』になるやん?」

そういうものなのか?

「同じようにさ、最近ネットでちょこちょこ見かける『繊細さん』ってやつも、『HSP』は心理学的観点であって医学的観点ではないらしいやん?」

知らんがな。

「だからさ、『頭痛いから休ませて』と同じノリで『HSPなんだから配慮してよねー』て周りに押し付ける人って引くんだよなぁ。医学的根拠と心理学的根拠を一緒にするなっつーの。」

それ、医学にも心理学にも失礼なこと言っていないか。

「ちょっとトイレ」と言いながら、木村は席を外した。

そもそも、サンドイッチの切り方は三角形と四角形のどちらが好みかって話じゃなかったのかよ。

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