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Yaporigami - "IDMMXXI-L" の構造分析

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記事一覧

まえがき

"最も重要なのは、或る傑作に含まれる未知の潜在力を守ることだと私は考えている"(『現代音楽…

01 I Am Well, Thank You. And You?

アルバムの冒頭を飾る楽曲。最小単位(基本となるパターンの長さ)の異なる幾つかのフレーズと…

02 Non-Acid Classic #2

1曲目はBPM 130であったが、2曲目はBPM 150にテンポアップ。共通しているのは12小節がループ単…

03 What Stéphane Mallarmé Has Seen

この曲も1, 2曲目と同じく、ビートが12小節単位となっている。一方で旋律パターンの多くは8小…

04 Warmth Of The Invisible Love

高速で刻まれるビートと、力強いメロディが印象に残る楽曲。前半と後半でほぼ同じ音楽が繰り返…

05 Gogh Did His Thing. I Will Do My Thing.

強い決意表明のようにも読めるタイトル。3曲目のマラルメに続き、19世紀を代表する芸術家の名…

06 Sun | Moon

このアルバムの中でもとりわけ美しい楽曲。弦楽や合唱のような音色が幾重にも重なっていき、暗闇に柔らかな光が差し込むような印象を与える。 はじめに以下のパターンAが登場する。4度の響きがメイン。この楽曲においても、これまでの楽曲同様、Aを含む複数の旋律は12小節単位で一つのパターンを形成し、ブロックのよう組み替えられながら何度も登場する。 次にパターンB。 Aは2声であったが、Bは新たな音色も加わり3声となる。7の和音が展開された2度の響きが美しい。 ここでリズムトラック

07 I Was Told I Was Born On A Heavy Snowy Day

ゆっくりと踏みしめるような重いビート。 これまでの曲でもそうであったが、ビートの音を含め…

08 Shamanic Birds Of Healers

精緻にエディットされたビートが印象的な楽曲。恐らく、ピッチ処理や、スタッター、ビットクラ…

09 Poetics

音色の重心が低く落ち着いた雰囲気を感じさせる一方で、静けさの中で高速で刻まれるビートが印…