02 Non-Acid Classic #2

1曲目はBPM 130であったが、2曲目はBPM 150にテンポアップ。共通しているのは12小節がループ単位のベースになっている点。ループに3の系列を持ち込むことで、予定調和が崩される。


楽曲の全体図は以下の通り。

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楽曲は、深いdelayのかかったリズミカルなフレーズ(以降、Synth1)から始まる。

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Synth1はベースラインとして楽曲全体を通じてループする。1〜4小節と5〜8小節はほぼ同じフレーズの反復だが、音符の順番が微妙に変化している。9小節目の後半に大胆な休止を含む。


次に以下のフレーズ(以降、Synth2)が加わる。

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Synth2は常に5度音程を保持したまま動く。そのためD#の5度上に、Synth1には無かったA#の音が発生している。楽曲全体は嬰ハの自然的短音階によっているが、Synth2のフレーズは嬰ハのドリア音階を部分的に形成しており、楽曲に独特なムードを与えている。こうした並行5度の積みで音階外の音程を加える手法はモーリス・ラヴェルのボレロなどにもみられる。


次に、深くフィルターがかけられたSynth3のフレーズが登場し(譜面は省略)、楽曲のメインとなっている3つのフレーズの提示が終了する。


Synth1のみに一旦音数が減少した後、Synth1+Synth2+ビートの組み合わせが3セクション(12小節×3=36小節)繰り返される。2つ目のセクション以降はSynth3が重なる。

2つ目のセクションでは、Synth2のメロディは以下の通り変化している。

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メロディに高音域が加わり、密度も増している。

3つ目のセクションでは、Synth2のメロディは以下のように変化している。

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高音域を残しながらも、音数が間引かれて、次のセクションに自然に繋がっていく。


次のセクションで、音数は再び大きく間引かれ、Synth1とビートのキックを残し、一方で新たにピアノ(以降、Pf)のフレーズが加わる。

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1曲目から通して、生楽器系の音色はドラムを除いて登場していないため、ピアノの音色はかなり新鮮に聞こえる。音の密度が減少していることで、音色の新鮮さが更に際立っている。


次のセクションではSynth2のメロディが再び加わる。Pfのメロディは以下の通り変化する。

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Pfのフレーズには高音のハーモニーが加わり、動きも増している。PfのメロディはSynth2のリズムと共通する部分が多く、音色が混ざり合い、豊かな響きが生まれている。


次のセクションで、Synth1〜3+Pf+ビートと、メインとなる全ての音色が登場し、楽曲のクライマックスを形成する。これらのセクションは4回(48小節)繰り返されるが、Pfのメロディは高音域を交えながら細かく変化し、Synth2のメロディも前半同様に一部密度が変化するなど、単調さを回避する工夫がなされている。後半の2セクションでは裏打ちのハイハットとともにSynth4のメロディ(譜面は省略)が加わり、楽曲の密度が最高となる。


最後に、まばらなキックを除いてドラムが消え、Synth1、2、4、Pfも順次消えていく。Synth4の余韻とともに、最終音のピアノの低音を響かせて楽曲は終止する。

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