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記事一覧

積み重ねた経験と知恵の偉大さを感じる『知の体力』

今年一番好きな本だったかもしれません。 人生で多くの成功を積みながら、同時に戦争や死別のような深く濃い経験を重ねたご高齢の方に 「人や人生、社会ってこういうものだとおもうけど、どうかな」と、諭されるでもなく、同じ目線で話しかけられる。 ぐるぐるとした思考をする自分の目の前に、ポンと考えを差し出されて、その一言一言に膝を打つ。 そんな感覚でした。 また、話題の蒼井優が言っていた「『誰を好きか』より『誰といるときの自分が好きか』が重要らしいよ」なんて言葉に通じることも、

1970年代の漫画がおもしろすぎる

ふとした流れで『ベルサイユのばら』『伯爵令嬢』がおもしろいよ、と勧めてもらい手に取ってみると、休日を1日引きこもるほどハマってしまいました笑 本は年間100冊ほど読み、漫画も毎週10冊は読むほど本や漫画好きなので、これまでも色々な作品を読んできました。が、ここまでのめり込んだのは久々で。 初めて、漫画『BLUE GIANT』『かくかくしかじか』を見つけた時、小説『聖の青春』に触れた時のような、ぐわーっと感情が押し寄せて、次のページをめくりたいような、でも立ち止まりたいよう

『財閥の歴史』から紐解く財閥とアメリカの富豪の共通点

『財閥って調べてみるよおもしろいよ』とラジオで耳にし、『財閥の歴史』という本を読んでみました。 そもそも、多くの方にとって通過儀礼である就活で、商社や財閥を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。 自分の場合、商社自体に興味が薄かったことも大きく、三菱・住友・三井の差は全くわかっていなかったのですが、その出自を読み解くことでDNAを覗き見ることができ、彼らの違いが読み解けてきました。 また、大きく飛躍する企業とそうでなかった企業の差が、歴史軸から読み解けるという

ショーペンハウアーが語る、物書きとして大切なこと 『読書について』

読書、本を読むことについて語られている本は多数ありますが、 今回は1800年代に書かれた、ショーペンハウアーの『読書について』を読み、非常に示唆に富んでいたので筆をとってみます。 ショーペンハウアーってだれ?1700年代後半に生まれ、かのゲーテと友人関係であった哲学家。 日本では森鴎外、海外ではアインシュタイン、ヘッセ、フロイト、トルストイ...と、以後の登場する各分野の傑出した天才たちに影響を与えた人物です。 『読書について』そんな多くの人物に影響を与えた彼が語る『読書

チキンラーメン作り手の情熱。安藤百福の人生

現在NHKの朝ドラ『まんぷく』でスポットライトが当たっている安藤百福という方がいます。 数々のカップラーメンを出している日清食品の創業者で、47歳でチキンラーメンを発明したというすごいお方(2007年に、96歳で亡くなられたそう。つい最近までまだ実在されていたということにも驚きです)。 そんな安藤さんの著書、『魔法のラーメン発明物語 私の履歴書』を読み、作り手の情熱を垣間見ました。 食に目覚める原体験紆余曲折を経て、無実ながら40日以上も幽閉されて絶食となった経験や、戦

"普通の圧力"を表現しきった小説『コンビニ人間』

『コンビニ人間』は、2016年に芥川龍之介賞を受賞した作品です。 意外にも芥川龍之介賞といった受賞作品を読んだのは初めてだったのですが、垣間見える抽象化された現代社会、独特な切り抜き方、見事に射抜く表現など、圧巻でした。 また、『社会を俯瞰して見ながら、そこにいてしか感じられないであろう、孤独?のような感覚をどう感じ取ったのだろう..』という感想だったのですが、 読了後に調べてみると、作者の村田さん自身、三島由紀夫賞を取るほどの作家でありながら、週3回コンビニで働かれて

1冊の本を読んで、美術館の熱が再燃した話

漫画『ブルーピリオド』や美大出身の友人の影響で、美術鑑賞が好きになったわけですが、改めて色々書籍を読み直す中で『いちばんやさしい美術鑑賞』に出会い、今まで見えていなかった部分に日が当てられたような感覚がありました。 最近少し美術館から足が遠のいていたのですが、この本に出会い、美術館に足を運びたい欲が大きくなっています(さっそく皇居にある『三の丸尚蔵館』に行ってきます) 『いちばんやさしい美術鑑賞』について古今東西の著名な作品を取り上げながら、各作品の時代背景や作者について

芸術と詩の詰まった漫画 『ブルーピリオド』

昨年読んで、もっとも面白いと感じた作品が『ブルーピリオド』でした。 これまでデザイナーさんたちと仕事をしたり、芸大出身の友人はいたものの、彼らのバックグラウンドを知る機会がありませんでした。 ブルーピリオドでは、芸術大学を目指す学生の受験にスポットライトをあて、その過酷さや心境を、まるで詩のような言葉で紡いでいきます。 芸大受験の難しさとは一般的な大学入試を受けていると、旧帝大の難しさ、早慶やMARCHはこのくらいで、どのような特徴があって...と理解できていたのですが

『野の医者は笑う』を読んでおもう、心の治療

こんなブログを目にしました。 起業家のメンタル問題に立ち向かう技術 ・イチロー選手でもメンタルに問題を抱えることはある・起業家は心の問題に備える必要があり、問題を抱えてしまったら克服する必要がある・根性論ではなく「技術」で克服しよう・私なりの「備える技術」「克服する技術」を紹介 - 早めにまわりに打ち明ける - まだ元気があるうちに仮説検証を繰り返して原因を探る - 大丈夫と宣言する 期待とプレッシャーありがたいことに、会社で色々とお願いされることが増え、 自分の一歩

SFファンタジー『イムリ』に見る心の行方

『イムリ』という漫画をご存知でしょうか。 2006年から始まり、2009年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞。今なお続いている大作です。 小学生のときハリーポッターに出会って以来、初めてほぼ徹夜するくらいのめり込んで読んでしまった漫画でもあります。 ちなみに、Amazonの紹介文を読んでも、全く理解できません← が、ぜひ我慢して読み始めると、鬱蒼としたジャングルを抜けたような爽快感と壮大な展開が広がっています笑 惑星マージの支配種族「カーマ」は、精神を

『聖の青春』

昨日「病院にいる子供たちに本を読み聞かせたい」という話を聞いて、 走馬灯の様に頭に浮かんだのが『聖の青春』でした。 (これを書くいまも、胸が熱くなる。。) 2017年、この本に出会えてよかったと心の底から感じられた書籍で、 『3月のライオン』にもモチーフが登場しますし、映画化もされています。 主人公 将棋棋士・村山聖幼少期に「ネフローゼ症候群」という病にかかり、以来ずっと病院の院内学級に通い、時には同じ入院している友達が亡くなる場面も見ていた村山。 そんな苦しい時期・場

『マチネの終わりに』を読んで

分人主義という考え方以前、『私とは何か 「個人」から「分人」へ』という本を読んだことがありました。 現代は、仕事や家庭、パートナー、SNSなど様々な場が存在しており、「本当の自分」という一個人では完結しえない。 「本当の自分」が場ごとにキャラを変えているという捉え方でなく、 個人をより小さな単位に分けた”分人”という考え方がしっくりくるのではないか。というもの。 ※ 読書メーターに色々な読者の感想があるので参考になります。 私たちは、確固とした自我のある「本当の自

2018年読んだ本ベスト 10冊

2019年も、すでに1ヶ月立ってしまいましたが、昨年の読んだ本のメモ。 計110冊ほど、雑多に読み漁っていました。本の虫と見るか、時間ありすぎと見るか...笑 中でも、面白かった本を紹介します。 また、幅を広げてみたいので、何かおすすめあったら教えてください! (ちなみに漫画も読むので、漫画のオススメもお待ちしてます…!!) — 10)勝つ人水泳から相撲まで、様々なスポーツのオリンピック級の選手の思考を紐解いていく本書。自分の体調や動き、成果の原因と結果を、すべて言葉で