スペイン語でラーメンの複数形は?
今朝起きたら、ちょっと面白い記事がスペインのSNSで話題になっていた。
rámenes, plural de ramen (ramen の複数形は rámenes)
スペイン王立アカデミーRAE財団の記事によれば、スペイン語で"ラーメン"の複数形は rámenesなんだそう。
ちなみに、発音はラーメネス(ラーの部分は巻き舌で、ここにアクセント)。
これをスペインの言語としての標準ルールを決定している王立アカデミーが記事にするくらいなので、それだけスペインやスペイン語圏でラーメン人気が高まっているのだろう。
とはいえ、この記事へのリアクションなどをみてみると、巷には異を唱えるスペイン人も多かったようで、「日本語では、複数でもラーメンはラーメン。なので複数形も、Los ramenに決まってる!以上!」となどと、わりと熱めの反論をしている人たちも少なからず見かけた。
王立アカデミーが定めからみたら誤用であっても、多くの人によって使われるうちに正式に認められることも多いので、どちらが定着するかは、今後次第なのかもしれない。
そういえば、ふと考えてみると、日本語では1杯でも複数杯でもラーメンはラーメン。数が変わろうが、単語も文法も何も変わらない。日本語には基本的に複数形の概念がないのだ。
一方で、スペイン語では、その対象が単数か複数かで、それにかかる冠詞も動詞も形容詞もすべて変わってくる。
そこで、ちょっと気になって調べてみると、日本語に限らず、アジア系言語には複数形を持たない言語がわりと多いらしい。
英語やスペイン語など、複数形を持つ言語となぜ違うんだろう?
一説によれば、農耕社会か狩猟社会かで数へのこだわり方の違いも関係している可能性もありそうだ。
その見解によれば、狩猟では狩りの対象となる動物の習性、あるいは今の状態が個なのか群れなのかは、とても重要で緊急性が高い情報なのに対し、農作物は、容量や重量は測るけれども、個々の数がそれほど重要になることはあまりないため、その認識の違いが言語の違いにも表れている、というのだ。
すでに多くの人にとって狩りも農耕も関係ない現代でも、物が1個だけなのか、2個以上あるのか、常に「数」を念頭におかなければ話せない言語と、まったく意識せずに話す言語とで、もしかしたら無意識に異なる世界の切り取り方をしているかもしれないのは、なかなか面白い。
ラーメンに話は戻るが、言葉が土着化することで、ラーメン自体もローカライズされていく可能性もありそうなので、日本でも九州ラーメン、北海道ラーメン、喜多方ラーメンなどのように地方色豊かなラーメンがあるように、コシードのようなマドリード・ラーメンとか、魚介ベースのガリシア・ラーメンとか、トマトたっぷりなガスパチョ・ラーメンとか、ニンニクたっぷりなソパ・デ・アホ・ラーメンとか、イベリコ豚の生ハムの骨ダシのイベリコ・ラーメンとか、将来的にはいろんなスパニッシュ・ラーメンが生まれるといいな、とちょっと期待してみたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?