見出し画像

給食当番

夏頃まで、マスクが、市場に、まともに流通していなかった。そして、不織布マスクを使っていた我が家において、あまりにもマスクの消費が多くなり、少しは、再利用できる、布マスクが欲しいものだと思い始めていた。

一気にマスク需要が増えて、市場からマスクが姿を消すような事情も、ある程度理解していたし、転売ヤーと言われる迷惑人に買い占められるような自体も、ある程度は、承知していた。

もちろん、国民に配布されるマスクがあることは承知していたし、なかなか、それが手元に届かないことも、事情としては、理解していた。

なかなか、マスク自体を、まともな値段で、欲しいだけ入手することが困難だった時期もあったが、落ち着いた頃に、ようやく、布マスクを購入したのだった。

画像1


実は、私は、酷い花粉症だ。春もそうなのだが、秋にも、ピークがくる。それも、長年苦しめられている。

次女が中学の時、7年ほど前、知り合いで、薬局関係の卸を仕事にしている友人がいた。そしてその友人が、ある話を持ちかけてきた。

大量に不織布マスクが在庫になり、古いものは処分しなければならないのだが、超格安で分けてあげても良いよ。いや、出来るならば、20箱ばかり、引き取ってくれないか、と。

価格は、100枚入り、50円という、今となっては、一度世の中から姿を消したことがあるマスクということを考えると、当時としても、凄い安さである。

画像2

私は、二つ返事で了承した。


その秋から使い始めたが、その当時、不織布マスクは、それでも勿体なくて、1週間くらい使い続けていたもので、全く減らず、家内に言われていたものだ。

このマスク達、邪魔すぎる。

と。


それが、去年の春、突然、必需品になった。毎日、家族がどんどん使う。そして、かなり、減った。


家内が言った。

時には、役に立つことも、あるのね。コジくんの無駄なストックも。

そして同時に、こうも、言った。

不織布マスクは、使用期限が、実は、あるらしいよ。1年くらいだって。

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと呟いた。

やっぱり、どこまでも、ディスられるな。


さて、布マスクだが、私は、3枚持っている。ローテーションで、使っている。だが、どうしても、使ううちに、黄色く変色してくる。

それでも、気持ちよく、使っている。


そして、時々、ローテーションに挟んで使うのが、これだ。

画像3

世間では特別な呼び名があったが、私は、「給食当番」と呼んでいる。そう呼んでいる人も、少なからずいるとも聞く。小学校のときの、給食当番がしているマスクと似ているから、私には、給食当番が、やはり、しっくり、くる。

このマスク、長男のところにも、長女のところにも、時間を経てから到着した。だが、2人とも、格好が悪い、あるいは、小さいと言って、使わない。


私は、使用できるものは、使う。なぜならば、ものそのものには、罪は、無いからである。

だが、家内は、このマスクを外でしていると、私に、注意をする。ひとえに、格好が悪いからだそうだ。


だが、このマスク、利点も、ある。2つ、上げてみよう。

まず最初に、小さいので、息苦しさが、少し、緩和されている。そして更に、眼鏡が、曇りにくい。

そんな利点を、冬になって、発揮してくれている。


年末、小志朗(我が家の車には、小志朗=こじろう、という名前がついている)のスタッドレスタイヤの履き替えに、ディーラーに、出向いた。その時、たまたま、私は、給食当番を、していた。

すると、我が家の担当のY君の前で、少し強めに、家内に叱られた。

コジくん、格好悪いから、しないでって、いつも、言ってるでしょ!

それをしているのは、コジくんか、長州力だけなんだから!

Y君は、もちろん、爆笑だった。

心の中の、リトルkojuroが、ちょっと、吹き出した。

確かに。確かに、な。


私は、それでも、モノは、無駄には、しない。なぜならば、いろんな考え方や思想、事実などがあるが、そのモノには、罪は、無いのだから。

長女のもの、長男のものも含め、今、給食当番は、我が家で6枚、活躍している。

もちろん、すべて、私が、使っているのだが。

生きていると、いろいろ、ある。でも、それらをすべて取り去って、ものを大切にするというやり方も、許して欲しいのである。

何度も言うが、もの、そのものには、罪は、無いのだから。そのものが、使えるものなのならば、私は、使うのである。

ものの使命を終えたときに、手に取り、感謝を込めて、ありがとうと言って、さようならをするために。



■追記■最近、長州力さんも、違うマスクをされていることが多いようで。私ひとり、世の中に取り残されてしまいそうな気も、してきた。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?