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初めての電車【ショートショートnote_36/創作】

家内が私を追求するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。




ショートショートnoteカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。


今回は、次女に、あらかじめスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。

今回の、5枚のカード


またまた、平凡だからこそ手強てごわいお題だ




では、次女のお題から。

本編、「初めての電車」、410字を、どうぞ。


☆    ☆    ☆

しょうは、南の島暮らしだった。家は裕福ではなく、父は、都会に出稼でかせぎに出ていて、ほとんど帰って来なかった。

幼心おさなごころに、事情は薄々うすうす知りつつも、時々、父が恋しくなった。

しょうには、おとという、3つ離れた妹がいて。おとが、父に、いつも会いたがっていて。時々、ひどく泣くこともあった。

4年生の夏休み。しょうは、おとを連れて父に会いに行くことにした。母に黙って。

コツコツと貯めたお小遣こづかいで、こっそり、2人でフェリーに乗り込んだ。3日かけて辿たどいた早朝の船着き場には、はからずも父が出迎えてくれていて。

3人で1日、都会巡りをした。

しょうおとには、車窓の景色が珍しく。ずっと眺めていると、父が言った。

「初めての電車、楽しいか。都会は、大きいビルがいっぱいだろ。」


あれから20数年。父は他界し、しょうは、母とおとと3人で暮らしている。

おとは、まだ駆け出しだが建築デザイナーになり。しょうは、電車の運転士になった。

今日も行き過ぎる都会の景色が、しょうおとの未来に微笑ほほえんでくれている。


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