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黒い笛【ショートショートnote_17/創作】

家内、いや、女王陛下の追求が厳しくて。できる限り、「ショートショートnoteカードゲーム」を使って、ショートショートを書くことを、少しずつ始めている。


お題は、以下の3つが残っている。このお題で、日曜日、順次、書けるときに、書いていこうと思っている。

ルーレットを回そう。

今回のカードで残るお題は、この3つ
ルーレットで、「黒い笛」に、決定


では、本編、「黒い笛」410文字を、どうぞ。


☆    ☆    ☆


正康まさやすの家には、代々家宝として伝わる、黒い笛がある。

言い伝えによると、これを吹くと、黒き魔神が現れ、敵を殲滅せんめつするという。ただし、絶体絶命のピンチにおちいらない限りは、決して、使うことは許されないと聞いていた。


両親共に亡くなり、田舎に帰るか、このままいるか、悩んでいるところへ、家を安価に、簡単に引き取るという話が持ち上がった。

いろいろ悩んだ末、託すことにしようかと思った。

契約の日。何の気なしに、笛を手に取った。そして、思った。

もう、処分するかも知れない。一度、吹いてみようか。そして、吹いてみた。

魔神は、現れなかった。


次の日。ニュースで、業者が詐欺容疑さぎようぎで逮捕されたと流れた。

正康まさやすは、ほどなく田舎に帰り。兄弟も帰ってきて。にぎやかになり、子供たちは、自然の中で、のんびり暮らすようになった。

黒い笛は、神棚の奥に置いてある。魔神は出てこなかったが、家族の笑顔を守る、家宝の笛であった。


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