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ショートショート_望遠鏡

赤い傘は今の我が家には無い。というよりも、今まで我が家で見たことがない。子供たちが小さかったときは、雨の日の車からの視認性が良いという黄色い傘だった。そして今や、透明のビニール傘がほとんど。

家内が好むのはなぜか白系で。長男は黒か紺。長女は柄物が好きで。次女はもっぱらビニール傘。そして私は、折りたたみ傘専門で。どうしても紺色系か黒系に落ち着く。

赤い傘。今朝方、須木本りくさんの記事でも読んで、ちょっと驚いたが、だが、私は、「シェルブールの雨傘」という映画の1シーンを思い出す。

音楽がなかなか良くて。ストーリーは忘れたが、そのシーンの赤い傘と音楽だけは今でも覚えている。

そんな日曜日の夕方に、またもや、荒技をやってしまった。


さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「赤い傘」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。


そして、たらはかにさんからのお題は…

表のお題が【てるてる坊主のラブレター】で。裏のお題が【三日坊主のクレーター】ということだ。



また、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。

「気になる口癖」というお題で、記事を投稿してみませんか?ということで、今週は、ちょっとゆるめていただき、お題は「気になる口癖」としましたが、タイトルまたは本文中に「口癖」という言葉が使われていればOKです、とのことで。有り難い。

感覚的にはこれは来週のお題なのだが、私は、今日、書いてしまう。



お3人の企画、「シロクマ文芸部」、「毎週ショートショートnote」、「青ブラ文学部」はどれをとっても、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を考え、出すだけでも、大変だと思うのである。

それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回の「シロクマ感想文」は、須木本りくさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。

なんとなく私が勝手に想像する雰囲気としては、りくさんは、赤い傘がお似合いのように思ったりもする。

赤い傘。赤という色は、りくさんがおっしゃるように、元気とか、女の子らしさなどの象徴のような印象もある。

そう言えば、私は赤い傘を持ったことがない。だが、エッセイを読んで思い出した。

あるコンビニに売っていた傘が、オレンジ色だったのだ。それをさしていると、知り合いが全く同じ傘をさしていて。その人が、ニヤリとして、自分の傘を見せてきた。

端っこに、「夕刊フジ」と、書いてあった。そう言えば、「オレンジ色の憎い奴」というのが、「夕刊フジ」のキャッチフレーズだったなと思い、二人で顔を見合わせて笑い合った。

これからの梅雨の季節。赤い傘も、いいかも知れない。雨の日の気分をあげるのに。

りくさんのエッセイを読んで、ふと、そんなことを思った。


生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のお題、さらには山根あきらさんのお題、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。

なんだか、悪ガキのまんまだな。


まあな。

そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?

うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。


私は、この荒技シリーズを、もっとかっこ良くハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、毎回、なんだかテイストの靄った内容になってしまっているようで、実は、反省している。ほんの、少しばかり。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「望遠鏡」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

赤い傘を、そっと差し出したのだった。あの時。

涼は、ときどき思い出す。


教授が姿を消して行方が分からないと本部の捜査員に告げられ、泣き崩れて震えながら泣いていた泉に。



他人から言わせると涼には、気になる口癖があった。

「そうか」という言葉だ。

涼は、優秀なエージェントで。片時も空けず頭脳はフル回転している。だがいかなる時も、アウトプットはこの言葉で。

誰かに反応が軽いと笑われたことがある。



今日のミッションは終わり、明日はオフだ。夜中の0時を回る頃、突然、メールが届いた。


「雨、止んだよ。ガリバー山で月でも見ない?」

泉からだった。


ふとベランダの窓辺に目をやると、やりかけの月面観測用の反射望遠鏡がカバーを掛けておかれてあった。

ミッションが続くことが多く、涼にはルーチンワークは難しい。致し方ない。


それを担いで歩いてガリバー山に向かうと、泉がにこやかに待っていた。



見上げると梅雨の晴れ間の都会の空に、満月がひとつ、笑顔で輝いていた。


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