ショートショート_暗号
夕焼けは、みんな、茜色だと思っている。私もそのクチだ。だが。心揺さぶられる一番の色は、もう暮れなずんだ先の、深い群青色だったりする。
秋がようやく深まってきた。秋というと、なんだか、合唱コンクールを思い出す。
よく、練習を真面目にしない、非協力的な生徒の名を副委員長があげるときに、「コジ」と、名指しされた覚えがある。きかん坊の悪ガキは、普段は面白がられる対象でもあるが、ひとたび女生徒たちが真面目なモードに入ったときには、目の敵にされる。
だが私本人は、意外と合唱が好きだったりした。今でも時々、合唱曲を流している。今日も週末のノルマのトイレ掃除に勤しみつつ、「エール」を聞いて、昔をひとり懐かしんだりしていた。
そんなつまらないことを思いだしながら、日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「夕焼けは」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【夜からの手紙】で。裏のお題が【【激辛の鏡】|д゚)チラッ、ということだ。
そしてそして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
「東京ドーム」という言葉をタイトルまたは本文中で用いてください。ということで。
今回は、お題を文中に入れさせてもらおう。
また、今回も、シロクマ文芸部作品を読んでみた。星沢名南🌠創作・発想を活かしたい💐さんの記事である。ちょっとその感想を述べてみる。
シロクマ感想文を書こうと、「シロクマ文芸部」・「夕焼けは」で、検索して飛んでいった。
空を眺めるのが好きで。よく授業をサボってクラブハウスの屋上で空を、ただ、ボーッと眺めていたし、写真などは時間を忘れて、ずっと、見入っている。
特に夕空は心を動かされる。
涙。夕焼け、茜雲。でも、黙っていて。言葉が見つからず。ただ、紅に景色が染まる。そして、心も。
言葉を発しないほうが、癒やしを呼び込むこともある。共に涙し。共に感じ合う。
きっと、明日は晴れるだろう。天気予報は週末まで曇りか雨だが、晴れる。きっと、晴れる。空も。心も。
美しい詩。いつか、私も、こういう詩を書くことができたら。そう、思った。
何度も言うが、私は、詩作、歌作、句作ができるひとを、とても尊敬している。
生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
小牧幸助さん、たらはかにさん、山根あきらさん。3人とも、私は、大好きである。3人の企画は、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃる。だが、お題を出すだけでも大変だと思うのである。
毎週。ほんとうにありがたい。そして毎週の日曜日の、私の励みである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のお題、山根あきらさんのお題。4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで加えると5重の荒技。
あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。まあ、私にも事情があって。本当は、ひとつひとつ丁寧に書きたいのだが、まだ、それがどうしてもできない。
これで何週間いや、何年と何ヶ月だろうか…。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、きかん坊の悪ガキだな。
まあな。申し訳ないな。みなさんに。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、そうそううまくはいかず。いつも、反省している。少しばかり。
なんのはなしですか。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「暗号」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
夕焼けが空を染めている頃、涼は任務で東京ドームの外野席にいた。
プロ野球選手だった涼の兄は、かつて、サヨナラ満塁ホームランを放ちヒーローインタビューを受けた日の翌日に突如失踪している。
昨晩、不審メールが本部に届いたのだ。それは、短歌のような暗号だった。
振り抜いた フェンス越えすら 差し置いて
裏切り尽くす 不条理な夜
差し出し元のアドレスは、悪の枢軸が犯行声明によく使うものだった。
本部は念のため、全国のスタジアムに捜査員を配置した。
涼は、兄は何かやむを得ない理由で自ら悪の枢軸に潜入したのだと思っている。確証は無い。
この暗号を見て、兄からのメッセージだと直感した。だが意味などわからない。
ゲームも終わり、照明も落ち、何事も起こらず今日の任務は終わった。
帰りに、行きつけのショットバーに立ち寄った。
馴染みのマスターが言う。
「北極タンタン麺でも食べて、脳みその迷いを消せ」
看板には、シュピーゲルと書かれている。
涼は、少しだけ笑った。
☆ ☆ ☆
荒技も、もう、やり始めて1年以上になる。何回目だろうか。今度、数えてみよう。
振り向くと、ソファーのさっちゃん(注1)が言った。
noteよりもさぁ、マッサー頼むわ。ここは、荒技は、いらんよ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
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