郵送物
3月の頭のことだ。長男が、LINEに、レターパックは、何を入れても郵送してくれるの?という質問を入れてきた。そして家内が、いろいろ調べて、今までの経験も含めて、こう、返した。
何を、どこに送るつもりだったのかは、わからなかったが、珍しいこともあるものだと、家内と話した。
家内は、言った。
彼女だったら、どうしよう。
どうしようも、こうしようも、そんな年頃を、もう、何年も過ごしているのだから、そんなこともあるだろうと、私は思って、思わず苦笑した。
すると翌々日、私宛に、ゆうパックが届いた。
何だろうと開封すると、全く同じ包装の、お菓子がふたつ、入っている。
家内が、
全く同じものをふたつ、なんて、アレンジのきかないあの子らしくて、可笑しいわ。
と、笑った。
私は、長男に、LINEで礼を入れた。
すると、こんな返信があった。
これを見て、家内が、色めき立った。
すぐにググって、色々調べ始めた。
長男は、かなり、良いものを送ってくれたようである。
家内は、ころっと態度を変え、長男に、こう、返信した。
まったく、現金なものだ。
家内に、おそるおそる、聞いてみた。
まさか、転売するつもりでは、ないよね?
すると、家内は、ちょっとキツい目で、私を睨み返した。
税別で、単価1,600円だというし、Amazonでは、9,000円だという話もあり、長男は袋まで送ってきていたわけだから、根っからのフリマー(注2)である、家内の触手が動かないわけがない。
心の中の、リトルkojuroが、口に人差し指を当てて、静かに囁いた。
賢い人は、余計なことは、言わない。
家内が、言った。
賞味期限を、確認して。
私は、即座に確認して、家内に伝えた。
家内は、カレンダーを見つつ、スケジュールを確かめていたが、私を振り向いて、言った。
週末、動くからね。
週末は、まず、長男が、出張でこちらに帰宅するらしい。そして、長女宅に、荷物や食べ物を、持っていく。そして、その時に、次女も入れて、みんなで分けて、食べるという。
心の中の、リトルkojuroが、囁いた。
良かったね。転売ヤーに、魂を売ることがなくて。
家内によると、週末、みんなで、幻のクッキーを、食べる計画なのである。
そして、木曜日、長男が出張帰りに金曜日、1日年休をとり、我が家に宿泊した。金曜日の夜、長女を迎えに行き、長女も合流して我が家は一瞬だけ、とても賑やかになった。
そして、家内の企て通り、みんなでクッキーを食した。
いかにも高級品の様相を呈している。
開いてみる。
1個、フタに、くっついた。
金色のテープで厳重に封印されている。そして、それを開ける。
みんなで、ゆっくり、ゆるりと、分けよう。
ところが、我が家のハイエナと化したスナッキー(注1)たちは、お構いなしだ。
一気に、一瞬のうちに、こうなった。
このとき、部活動で外出していた次女のために、もう一箱は、温存していた。だが、それも、次女の帰宅の瞬間、こうなった。
遠慮会釈もない。油断も隙もない。そんな甘っちょろい言葉さえ、我が家の辞書には、無い。
我が家には、人の皮を被った、ハイエナスナッキーが、いるだけだ。
心の中の、リトルkojuroが、諭すように呟いた。
でも、ここは、可愛らしく、クッキーモンスターと、表現しておこう。
週末、土曜日の夜に、長女を自宅に送り、長男は、新幹線で帰途についた。その時、長男が、ボソッと、呟いた。
結局週末まであるのなら、レターパックで送った意味は、無かった。
俺が、持ってくれば、よかったんだよな。
長男は、しばらく私の目を見つめ、私に手を差し出してきた。
レターパック代、返してよ。
私は、黙ったまま、長男の手を両手で握り、かたく握手をして、こう言った。
ありがとう。
美味しかったよ。
そのやりとりの一部始終を見つめながら、家内は、笑っていた。
クッキーモンスターたちが帰ったあとの我が家は、寂しくなるくらい、静かになった。
家内が、上機嫌ならば、我が家は、平和である。
これで、いいのだ。
(注1)スナッキー=間食が好きで、スナックなどのお菓子類が大好きな人のことを言う。私が勝手に作った造語だ。
(注2)メルカリなどの、フリーマーケットアプリで、不要物の転売をする、セミプロのことを言う。私が勝手に作った造語だ。
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