リキ日記_砂浴び
ハリネズミの飼育者のことを、世間では、「ハリ飼い」というらしい。私は、その、ハリ飼いの中でも、まだまだ素人である。
我が家のハリネズミの名前は、リキという。
ハリネズミとは名ばかりで。むしろ、ハリネズミは、ネズミではなく、モグラの仲間らしい。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
いっそ、ハリモグラと言ってみてもいいが、リキがなんと思うか……。
暑いと、リキは砂場でじっとしていたりする。だが。モグラの習性が出るのか、時に、カリカリと、砂を掘るのである。
そして、砂を撒き散らす。
それは、まるで砂浴びをしているかのように。
いや。
一説には、砂浴びをして、遊ぶハリモグラ、いや、ハリネズミも存在するらしく。
いずれにせよ、砂は、まき散らすものらしい。
そもそもは、リキのトイレ用に砂場を設置したのだが。
最近のリキは、トイレもし、まき散らしもし。とにかく砂を消費してくれる。
砂が、いくらあっても足りないくらい名のだ。
そんなこんなを家内と語らおうとして振り向くと、家内が足を指さして笑って言った。
コジくん、砂の分、しっかりこれから先も、働いてね。
なんのはなしです可。
家内は、マッサージをすると、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて、平和である。
だから。
これで、いいのだ。
詩を作るのも、絵画を描くのも、小説を書くのも。
全て、本来はたいしたことをしているわけでもなんでもないものを、敢えて意味づけしてしまうのが、人間というものなのかもしれない。
確かに、そのものそのままでは。
だが。一度それによって心動かされてしまえば、それが俄然、意味合いを持ち始める。
芸術とは、そこに起源があるのかも知れない。
てるとさんは、ミニチュアは、リアルさが全てだという。
恐らくそれは間違っていなくて。ミニチュアに求めているのは、それそのものなのだろう。
だからこそてるとさんは、本物に拘る。
畳もプリントではなくて、本物を使うことにチャレンジした。
ところが粗さもあり、一度返品も考えたが、返送料が高すぎて、改めてなんとか工夫することにしたという。
てるとさんは、工夫と努力の天才で。でも、少しも苦労を感じさせない。
そこがまた、凄いと思うのである。
いわのりさんは、こういう少し変わった展示会に行き、図録を購入して情報を得ている。だが、そのこの実の方向が、なぜか、私と似ている。いや、私が、いわのりさんに似ているのだろう。
だが私は、もっと変わっていて。毒を調べているうちにのめり込んで、一時、法医学書を読み耽っていたことがあった。
そんな学生時代の時間は、何の益にもならなかったが、いわのりさんは、いろんな作品に得た知識や情報を生かしていて。
そういう知恵の使い方を、今度、勉強させてもらいたいと思っている。
この毒展、首都圏であったら、恐らく、行ってしまうと思う。