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作法

いつも、家内に叱られることがある。

ステイホームの時期から、図らずも、私も、スナッキー(注1)になってしまい、よく、お菓子を食べるようになったのだが、私の食べ方は、ときに、我が家の作法に反すると言うのだ。

どういうことかというと、煎餅や、パラパラと崩れるタイプのお菓子は、無造作にこぼしながら食べてはならないらしい。

私は、新聞紙の上で、こぼしていいようにして食べるのが、せいぜいだと思っていたが、家内からすると、それは、我が家の流儀に反する、無作法な行為だという。


つまり、こういうタイプのお菓子の場合、

袋を開く前に、一口大に、袋の中で、割る。

こうすると、破片がこぼれない。

ひとかけらずつ、落ち着いて口に運ぶ。

そして、残った破片は、

袋を、破片がこぼれないように袋を口に当てて、流し込む。

そうして、破片も残らないように、跡形もなく食する。

これが、我が家の、スナッキーとしての、正しい作法らしい。


あべみょんさんの記事で、先日、この流儀というか、作法のことが載せられていた。

あべみょんさんは、徳島大学細胞生物学分野 米村重信教授の研究室 通称「ヨネケン」の、敏腕秘書なのである。

研究室の日常を、淡々と、しかし暖かい筆致で書かれていて、読む人はまるで、砂漠の旅路のオアシスのように感じるだろう。


家内の言葉だけでは、その作法は、定着しなかっただろう。だが、あべみょんさんも、家内と同じ作法の実践者だと知ったその日から、私は、素直に、そのお作法を、身につけようと思ったわけである。


私が、家内の作法でさきのお菓子を食べようとしているのを脇目で見て、家内が、私に言った。

コジくん、ようやく、我が家の正しい作法を身に付けてくれたようね。

偉いね。


心の中の、リトルkojuroが、呟いた。

あなたから、素直に受け入れたわけじゃないんだよな。

でも、この事実は、密かに、胸の中に、しまっておこう。


家内は、上機嫌である。私が、我が家の正しい作法を、ようやく身に着けたからである。

家内が上機嫌ならば、我が家は、平和である。

私は、ちょっと素直ではないところがあるが、それは、おいおい、直していこうと思う。


これで、いいのだ。


※(注1)スナッキーとは、スナックや間食が好きな人のことで、私が勝手に作った造語である。


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