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3ステップで成功するソーシャルリスニングを計画できる

みんさんこんにちは、ソーシャルリスニングBlogです。

前回の記事では、成功するソーシャルリスニング案件に共通する要素を整理してみました。

日々多くのクライアント様とソーシャルリスニングに関して色々なお仕事をしている訳ですが、多くの企業/事業会社の中で、リサーチ領域におけるSNSデータ活用は「本当に利用価値あるの?」のステージは超え、「どう上手くやるか?」のステージに完全に切り替わっていると感じます。

今回も引き続き、ソーシャルリスニング案件をうまく実施するためのヒントを考えていきたいと思います。

特に今回は、「ソーシャルリスニングの案件を計画しようかな」となった段階で、どのようなプロセスや注意点を抑えることで、成功したソーシャルリスニング案件にすることができるのか、を考えていきましょう。

簡単にご紹介すると、成功させるためには3つのステップが重要です。それでは一緒に見ていきましょう。

1. ビジネス課題を明確にする

まず最初のステップは、自社が解決すべきビジネス課題を明確にすることです。
ビッグデータ分析、特にSNS分析では、ツールを導入し基本的な設定さえしてしまえば、すぐにデータが集まってしまうため、目的がなくても分析を始めることが可能です。しかし、答えるべき問いがない分析は、残念ながらほとんどが失敗に終わります。

例えば、ビールとオムツのケースを思い出してみてください。
これは、店舗の売上データを網羅的に分析した結果、ビールを買う人はオムツも買う可能性が高いという発見から、店舗のデザインやコミュニケーションを変更し、売上が伸びたという事例です。

しかし、店舗の数千におよぶ全商品の売り上げデータを絨毯爆撃し、何の想定も前提もなしにビックリするような発見をするのは、奇跡的なレアケースだと思います。
一般的には、このような問い(前提や想定)がない探索的なアプローチは99%失敗に終わります
(もちろん、「残りの1%を目指す!」のもいいのですが、宝くじが当たるのを期待するマインドが必要な世界かと)

なぜなら、ビジネス課題が明確でなければ、分析結果がどのようにビジネスに貢献するのかが不明確になってしまうからです。
本来なら以下のようなビジネス課題からデータ分析にアプローチすることが必要です。

例えば、、、
①店舗の売り上げを向上させるために、ビールカテゴリーの売り上げ増がキモである(もしくは、戦略的な視点でビールの売り上げを上げたい等)
👇
②であれば、ビールを軸として様々な切り口でデータを見ることで新しい打ち手を探していこう

といったイメージです。

また、ビジネス課題に紐づかない分析は、時間とエネルギーをかけても、結果的にその発見がビジネス的な優先度が低いと判断され、注目されないことが多くなってしまう点にも留意が必要です。

例えば、
分析官:「ゼェゼェ、全商品のデータを絨毯爆撃して、トイレの芳香剤とスルメが一緒に買われる可能性が高いことを発見したぜ・・・!」
👇
ブランドサイド:「いや、面白い発見だけど、2023年度はトイレタリーに注力する予算はないんだよね・・・」

のような悲劇も起きる可能性がありそうですね。

2. キークエッションを明確にする

次に、ビジネス課題をさらに分解し、サブクエスチョン、つまりキークエッションを明確にします。これらのキークエッションに答えを出すことで、ビジネス課題がクリアになっていきます

例えば、ビジネス課題が先ほどのビールの例であれば、
キークエッションは
「ビールはいつのタイミングでどのくらい購入されているの?」
「ビールを購入する人たちってどんな属性なんだろう?それってタイミングで変化したりするの?」
「ビールが変われるときに一緒に購入されるものって何?」
「上記の傾向はビールブランドによって傾向差があるの?」

などなどが考えられます。

このように大本のビジネス課題に答えを出すために細分化された個別の「より具体的な」視点をクリアにするための工程です。

3. なぜSNSデータからアプローチするのかを明確にする

最後に、ビジネス課題やキークエッションに答えるために、なぜSNSデータからアプローチするのか、その理由を明確にします。すでに従来型の定量調査や定性調査という手法が確立している中で、なぜわざわざSNSデータからアプローチするのか、その理由を明確にすることが重要です。

基本的には以下の6つの理由のいずれかに当てはまる場合、SNSデータからのアプローチが有効と考えられます。

①市場の小さな兆しを捉えたい:
従来の調査ではなかなか感知できない市場の微細な変化を早期に捉えることが可能です。これはSNSデータを活用する大きなメリットの一つです。

②リクルートが難しいニッチな層を理解したい:
リサーチパネルと親和性が低い先進層や出現率の低い層など、従来の調査ではリクルートが難しい層についても、SNSデータを通じて理解を深めることが可能です。

③新たな視点を探している:
従来の調査では、企業側が自分たちの仮説に基づいて質問を投げかけ、その答えを得る形になります。しかし、SNSデータを分析することで、消費者目線の新たな視点や捉え方を見つけ出すことができます。

④デジタル空間での精緻な行動を捉えたい:
オンラインとオフラインの境界が曖昧になってきた現代において、デジタル上での微細な行動がリアルな世界での行動や結果に大きな影響を与えることがあります。SNSデータを分析することで、そのようなデジタル空間での行動を詳細に捉えることが可能です。

⑤短期間で結果を得たい:
ビジネスのスピードが日々高速化している中で、従来の調査手法では結果を得るまでに時間がかかりすぎる場合があります。その点、ソーシャルリスニングは短期間で結果を導き出すことが可能です。

⑥記憶の欠損がないリアルな姿を理解したい:
従来の調査は対象者の記憶に基づいて回答を集めますが、人間の記憶は不完全であり、思い出す行為自体が記憶を塗り替えてしまうこともあります。その点、ソーシャルリスニングはその瞬間その瞬間の人々の意識や行動が記録されていますので、長期的な記憶の歪みや思い出すことによるバイアスを回避して、より解像度の高いリアリティを得ることができます。

以上が、ソーシャルリスニングプロジェクトを成功させるための3つのステップです。ビジネス課題を明確にし、それに対するキークエッションを設定し、そしてなぜSNSデータからアプローチするのかその理由を明確にする。これらを踏まえてプロジェクトを進めることで、従来のマーケティングリサーチ手法とは一線を画した新しい視点と解決策を見つけ出すことができるでしょう。

それでは、皆さんも新しいマーケティングリサーチの世界、ソーシャルリスニングの世界に挑戦してみてはいかがでしょうか。成功の鍵は、これら3つのステップにあります。


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