見出し画像

ソーシャルリスニングでAIはどこまで使えるか

みなさん、こんにちは。ソーシャルリスニングblogです。
今回は、ソーシャルリスニングを進める中で、AIをどの場面でどこまで使うのが良さそうなのか、を考えてみようと思います。

ここでのAIは主に「自然言語処理(テキストマイニング)」を指したいと思います。また、そのため、SNSデータから意味を読み取る段階で自然言語処理をどう使うべきか、というニュアンスです。

と言うのも、ソーシャルリスニングでのテキストマイニングって、
「膨大なデータを分析するにはテキストマイニングを使うしかない」 
「テキストマイニングをしても、つまらない結果しか出てこないで、結局は全部読むしかなくて、やる意味がない」
みたいな意見が飛び交ってると思うんですよね。

テキストマイニングをどこまでどう使うべきなのか、を明確にすることってソーシャルリスニングではとても大事なことだなって思うので、今のところ思っていることを整理してみます。

データの海に切り込んでいく時の視点

すごく大事なことって、SNSデータの中身を理解しようとした時に「テーマ」と「コンテキスト」を分けて考える事なんじゃないかと最近思うようになりました。

膨大なSNSデータを扱うにはテキストマイニングを使うことは必須、でも、テキストマイニングをどんなにやっても意味があるものに思えない、のギャップを埋める視点のひとつになるんじゃないかなって思います。

データにはどんな要素が含まれてるのか

テーマとは、分析しようとするデータの中に含まれる「要素」のこと。
この分析データの中には「家族」という要素が含まれるんだな、「お金」という要素が含まれるんだな、「恥かしい」という感情が含まれるんだな、といった大枠でデータの中に含まれる要素のイメージ。

ただし、「家族」がこういう意味で使われていて、そこに消費者のどんな認知、感情、体験が紐づくのかは「テーマ」を見ているだけでは解らないことに注意です。
家族への感謝を語っているのか、家族への迷惑を心配しているのか、家族の中の特定の誰かのことを指しているのか、そこまでの解像度は捉えていません。

データの要素にまつわる「意味」とは

じゃあ、その「家族」がどんな内容で、どんな文脈で、どんな話として登場するのか、というのを「コンテキスト」と読んでます。

ここがテキストマイニングの罠なんですが、テーマとして抽出された「名詞」に「形容詞」や「動詞」がくっ付いていると、その組み合わせ(係り受けと言います)から、そこに含まれる「意味」を解釈しようとしてしまうんです。

行間を読むってやっぱ大事

このコンテキストは非常に高度な文脈の解釈や行間の読み取り、解釈が求められる世界です。
特にSNSデータのように、調査という行為によって作られたものではない自然な会話の場合は、この文脈の解釈が大切になります。

消費者が何かの対象に向けて、どんな知識を持っているのか、どんなイメージを持っているのか、どんな態度なのか、その対象に関連してどんな体験をしているのか、その体験に伴って、どんな感情を持ち、何を考えるのか。こう言ったものは、説明的に言語化されてないことがほとんどなんです(ツラい!)

例えば、形容詞や感情語をいっさい含まれていないファクトの羅列であっても、何のファクトがどの順番で並んでいるのかによって、態度や感情を読み取ることができたりします。
しかも、こう言った「文脈深度」の深いエピソードの方が、人の心理や気持ちのヒダを色濃く表してたりするんですよね。

まだテキストマイニングで消耗してるの?

なんだか、密かに期待を寄せていたテキストマイニングが結局は大して使えない、みたいな印象にも繋がりそうな気がしてきました…。
けして、そういう事を言いたいわけではなくて、不必要な消耗をしないために「テキストマイニングの使いどころ」をクリアにした方がいいんじゃなかってことです。

ソーシャルリスニングをするときに、SNSデータから「インサイト」を明らかにしたいと誰しもが考えると思います。そして、そのインサイトは「コンテキスト」の奥にしか存在しないと思います。
そのため、テキストマイニングをどれだけこねくり回してもインサイトにたどり着くことはない、ことをファクトとして受け止めて、その上でテキストマイニングをどう使っていくか、を考えないと無駄に消耗してしまう、という事です。

半日テキストマイニングをこねくり回すよりも、実際の投稿を20件くらいしっかり読み込んだ方が得られるものが多い、みたいなことは、実務では少なくないカモです。

やっぱりAIをうまく使うことは大切

感覚的になっちゃうんですが、AIくん(テキストマイニング)は山の入り口と、登山道を2割くらい登らせてくれる感覚です。
でも、その後の8割は人の足で歩みを進ませないといけない。

「なんだよ、2割しか使えないのかよ」と思いがちですが、「優先度の高い入り口」をレコメンしてくれる、と言うのはすごく大きなサポートです。
これが無いと、10万件をひたすらに目検していく、みたいなデスマーチを突き進むことになります。
それよりも、膨大なデータのキモの部分、要の部分をAIをうまく使いながら特定して、そこを分析の入り口にしましょう。そして、そこから先は人がしっかりと「文脈」を捉えていく流れがいちばん精度の高いソーシャルリスニングするために大切というのが、今のところの最適解かなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?