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不惑の波子。京都が好き。いつか住みたいと思っている。

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不惑の波子。京都が好き。いつか住みたいと思っている。

最近の記事

波子のこと#5 小学校5年生視聴覚室から

波子は勉強も運動もよくできた。だから自然と委員会では委員長、応援団では応援団長などなどなんでもリーダー的ポジションになる。なりたかったのか、と言われるとなりたかったというよりなった。でも小学校で○○長と呼ばれる役職は実は大した仕事もなくて、名ばかり管理職みたいなもんだ。強いて言えば行事の時に挨拶があるくらいかな。 最近では「リーダー」像が多様化して、いいからみんなついてこい!みたいなのは全然嫌だし、「フォロワーシップ」という言葉もちょっと流行ったくらい、ぐいぐいじゃないんで

    • 波子のこと#4 彼氏が祖父母の家に

      父方の祖父母はいとこ同士で結婚をして、祖父が本家筋、祖母が分家筋ということで祖母的には結婚によって階層が上がったという認識。そして結婚こそ女性の幸せという考え方。波子の父には二人の姉がいて、どうしても男児の欲しかった祖母は山に何度も祈祷に出かける。祈祷の甲斐あって(マジで?)父を授かる。 末っ子長男ということでそれはそれは大切に育てられ、姉たちとは食事の献立も違ったそうだ。長男だから。そんな食卓を叔母たちはどんな思いで眺めていたんだろうか。食べ盛りだから量が多いとかそういう

      • 波子のこと#3 ずっと一人で寝ていた

        波子は4歳になる直前に引っ越しをした。新しい家では波子に個室が与えられた。それまで住んでいた家は1DKというか1LDKというか。1は両親の寝室として使用されていて、波子はDK/LDKに置かれたソファベッドを夜になるとベッドにして寝た。そのソファベッドは波子の母、海子が子どもらしい(と考えたらしい)手作りのカバーがかかっていた。波子の記憶では人形や花柄ではなく、赤いクレヨンであるファベットが一面書き綴られているものだった。あの、ちょっと血文字の犯行声明っぽいというか。 新しい

        • 波子のこと#2 料理は一人でしたい

          波子の両親は共働きで、どちらも出張が多かった。しかも1週間とか2週間とか結構長いものもよくあった。そういう時、波子はどちらかの祖父母の家に預けられる。母方の祖父母の家から自宅に帰らずそのまま父方の祖父母の家に行くこともあった。 子ども心に家の雰囲気の違いを如実に察知していた。ちなみに祖父は共に公的な仕事に就いていた。 まず父方の祖父母の家。一言で言うと「堅」。テレビはNHKか野球中継、お正月は箱根駅伝かかろうじて孫たちも集まるのでかくし芸大会とかそういうの。一方、母方の祖

        波子のこと#5 小学校5年生視聴覚室から

          波子のこと。

          波子は40歳。東京生まれ東京育ち。なんなら両親も東京生まれ東京育ち。だから田舎はない。小学生のころ夏休みになると友達が佐渡のおばあちゃんちに行ったとか、山形のおじいちゃんからおこづいかいもらったとか聞いても全然ピンと来なかった。お父さんは同じ地元、お母さんの実家は横浜って子はなんかちょっと親近感あったけど、それでも横浜は神奈川県。 波子は03から始まる電話番号にもこだわっていた。つまりそれは東京23区。そして、東の方は遠い感じ。波子は東京生まれ東京育ちの自分がかっこいいと思

          波子のこと。