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反権力は正義なのか?

今回取り上げる本は飯田浩司さんの『「反権力」は正義ですか ラジオニュースの現場から』という本です。著者である飯田さんはニッポン放送のアナウンサーで「飯田浩司のOK!Cozy up!」というニュース番組のパーソナリティをされている方です。その飯田さんがメディアの報道について気になることやメディアのあり方について書かれた本です。


反権力は正義なのか?

メディアの大きな役割は権力を監視することですが、今のメディアはその役割を担っているとは言えません。なぜなら、反権力であることがメディアの理想像となり、事実を事実として取り上げないからです。そして、一貫した主張がなく、時の政権と真逆のことを言うことに徹しています。本来は事実を報道しなければならないメディアが自分たちの都合のいいように切り取って報道していることに飯田さんは疑問を呈しています。安倍政権時代のメディアは切り取りに次ぐ切り取りで、加計学園問題に至ってはメディアが作りあげた虚像を安倍さんのせいにして、安倍さんを貶めることに邁進していました。しかし、これは完全なるでっち上げです。文科省や厚労省や農水省などの関係省庁との議事録を見る限り、安倍さんが関与した事実はありませんし、元文科事務次官の前川さんがその会議で発言したことが覆されたと言っていますが、前川さんがそういった発言をされた記録がどこにも見つかりませんでした。審議会等の議事録は公開されています。それを見ずに勝手なイメージだけで報道するメディアに国民が愛想を尽かしていることでしょう。国葬やオリンピックなども一貫して、クラスや会社に一人はいる何でも反対したがるどっちつかずの人のようにとにかく反対の姿勢を貫いていました。そういう姿勢は誰からも支持などされません。

わかりやすさの弊害

メディアに国民が求めているのは分かりやすさで難しいことでもわかりやすく、伝えるのがメディアの1つの役割ですが、わかりやすさを追求するがあまり重要な部分が切り取られ、善悪二元論のようになってしまうことがしばしばあります。憲法問題、基地問題、経済問題など様々な分野でそのようなことは起こっています。基地問題で言えば、辺野古への移設反対か賛成かになっており、辺野古に基地を新設すると思われることが多いですが、辺野古にはすでに基地があり、その基地を拡張することで普天間基地の代わりとすることで25年ほど前に合意しました。しかし、伝えられていることは辺野古に基地が新しく作られることばかりで、普天間基地を残しておくリスクに触れられることが少なければ、辺野古の基地を拡張することにいたってはほぼ触れられていません。地元の人もそういった対立をメディアが煽ったせいで、基地問題についてコメントをするのすらはばかられる状況に陥っています。わかりやすさを追求した結果、本来伝えるべき姿を伝えずに、虚像だけが一人歩きしてしまいます。そういった対立の背景にはメディアがわかりやすさだけを追求した結果かもしれません。

作り上げられたイメージ

先ほどの普天間基地の問題に当てはまることで、メディアが自分たちの思い描いているように作り上げ、あたかもそれが真実であるかのように伝えています。それは事実の一部であり、すべてではありません。しかし、受け手からするとそれがすべてのように映ります。東日本大震災の被災地のイメージや風評被害もメディアが作り上げてしまったことであると言えます。飯田さんは極力現地で取材をし、ありのままの姿を報道しようとされています。それがメディアで言われているようなものと大きく違おうが、自分の思っているような姿でなかろうが関係はありません。ありのままの姿を伝えることがメディアの役割であるからです。ありのままの姿を伝えないメディアに存在意義はないと考えておられていて、大手メディアはその姿勢を見習うべきだと思います。取材歴何十年と言っている某モーニングショーのコメンテーターを見ていると飯田さんのような取材はされていないでしょうし、色眼鏡で取材をし、報道しているとしか思えません。飯田さんは事実を知るには行政などが出している一次情報を確認することと言っていて、報道されていることと内容が異なることが多々あるそうです。

メディアに携わる人は特にこの本を読むべきだと思います。そして、受け手である我々はこの本を読んで、メディアとの接し方や監視を強めるべきだと思います。オールドメディアが正しく、ネットメディアが間違っているという時代は終わり、ネットメディアもオールドメディアと同じぐらいぐらいか、それ以上の力を付けています。国民が求めているのは事実であり、メディアの偏向を求めてはいません。この本はメディアのあり方に一石を投じた本だと思います。
奇しくも庵忠さんも同様のことに触れられています。


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