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大きな一歩を踏み出した働き方改革(3/3)

最終回の今回は日本の労働市場がどうあるべきかについて書いていきたいと思います。よく言われる欧米のようにすべきだと言われますが、その問題点を踏まえて、現状の日本の労働市場で対応すべきことを書いていきたいと思います。現在はその企業に属していたかより、どこで何をしていたかが注目される個人に焦点が当てられる時代だと言えます。


欧米スタイルを模倣すべきか


日本の従来の雇用スタイルであった終身雇用制から転職が当たり前の時代になりつつあります。転職が当たり前である欧米を目指すべきであるということがよく言われます。欧米では日本と比べて解雇しやすいです。その代わりに職種別の労働組合があり、横のつながりも大きく力もあります。日本のように企業の中にある労働組合と異なり、ストライキが珍しいことではありません。ストライキで鉄道やバス、飛行機が止まり、旅行の予定が狂うなんてこともあります。流動的な市場を作るには横断型の労働組合と法律が必要になります。
日本では労働者の解雇のハードルが高く、企業が労働者を簡単に解雇できないことと、企業に労働組合が存在するので、その人がその会社を辞めると同時に組合員としての立場も失うことになり、労働組合の交渉力にそこまでの力を発揮することができないと思います。欧米のようにするには労働組合に関する改革を行い、横断的な労働組合が会社と交渉することを主流にする必要があると思います。労働組合のない中小企業の労働者が加入するユニオンという組織は横断的な組織と言えます。中小企業に対しては非常に大きな影響力を有しますが、ただでさえ安い賃金からさらに組合費を支払うとなると生活に支障を来すリスクがあると考え、加入しない人も少なくないはずです。こういった労働組合についても改革をすることで労働環境に変化をもたらすと思います。
すべてを欧米のような労働スタイルにする必要があるかと言われるとそうは思いません。現状ですべてのシステムを変えて、割を食うのは労働者です。だからといって、従来通りの終身雇用制と年功序列を残すべきかと言われるとそうでもありません。年功序列は戦後の人手不足を補うために生まれた制度であり、戦後復興を象徴する労働形態だと思います。終戦から75年以上を経た現在は戦後復興を終えています。年長者が必ずしも会社にとって利益を生む存在であるか言われれば、そうではありませんし、新しい技術を開発してくれるとも限りませんが、給与面で見れば年長者の方が高いです。
年功序列の代表的な定期昇給を廃止し、企業に長くいることがメリットでない制度を構築すべきです。それこそスポーツ選手のような年間契約のような形で報酬を決定することも重要だと思います。働きに関係なく、給与を決定するのではなく、働きに見合った給与を企業側が提示することが求められるようになり、従業員のモチベーションを維持することに繋がると思います。報酬に繋がるスキルを副業で磨くことで個人と企業にとってメリットは大きいはずです。公務員のように法律で副業が禁止されている場合を除き、副業は解禁すべきで、そこで得たスキルをどんどん市場で活かすべきだと思います。競合他社への情報漏洩などの最低限のルールを設けて、副業を推進することで、労働市場が今まで以上に活発化させ、賃金を上げる仕組みを労働者の側からもアプローチするべきだと思います。企業が副業を禁止する理由は情報漏洩でしょうが、人材流出もあるはずです。今はその人材流出を逆手に取り、生き残る企業と淘汰される企業を明確にすることで日本の労働市場を活発にして賃金を自ら上げる仕組みを構築すべきだと思います。
日本の賃金が低い問題は政策の失敗であることは事実ですが、民間企業でも従来、年功序列の従来の働き方を踏襲し、残業こそ美徳という変な価値観が存在し、従業員のモチベーションを削いでいたでしょう。成果に応じた報酬は必要であり、単に社歴が長いからという理由だけで評価される時代は終わっています。今はある程度の期間で結果を出さないと会社は生き残っていけない時代です。過去の栄光にすがっていては何も生まれません。過去は過去と切り離して考える必要があるでしょう。そして、戦う相手は日本国内の企業だけでなく、外国の企業です。ある程度、真似できるところは真似をして、残しておくべきところは残しておく必要があると思います。日本の国際競争力は中国に負けています。これは従来の方法では世界に太刀打ちできないことを示していると思います。今こそ変えると気ではないでしょうか?

最後に


今回は非常に長くなり、最後まで読んでいただきありがとうございます。当初の予定では1回で書き切る予定でしたが、書いているうちに1回では収まらないことに気付き、数回に分けて書くことにしました。2019年に始まった働き方改革は正直不十分ですが、これからも働き方改革を進めていくのであれば、重要な大きな一歩だと思います。今の日本で、給料は上がらないが、保険料や税金が上がり、物価も上がってしまい、生活に困窮することもありえます。それが働いているにも拘わらずです。そんなところで働きたいと思う人はいないはずです。
だからと言って、現状を悲観するだけも違います。今ある制度は時代にあっておらず、その制度を変えていく必要があります。それが今回の場合、終身雇用制です。会社にしがみつく時代は終わり、個人で何ができるかをアピールし、仕事を獲得する時代だと思います。その仕事を獲得する場所が企業であるという人もいれば、自分で事業を起こしてその場所を見つける人もいます。自らをアピールできる場所を見つけ、そこで自分を磨いていけるようにすべきなのです。それが職場であれ、趣味の世界であれ、どこであろうと問題ないと思います。自分の力を活かせる場所がないということはないはずで、どこかでその力を活かせる市場があるはずです。
会社で働くというシステムは変わりませんが、会社という存在価値が変わっていると言えます。世界で唯一成功した社会主義国家と揶揄された日本もとうとうその労働システムに限界が来ていると言えます。このチャンスを逃さずに活かして、技術立国と肩書をもう一度獲得し、労働者も生活に困らない時代が来てほしいですね。そのためにも今ある制度を見直して行く必要があるでしょう。日本の輝かしい姿を復活させるべきです。そのためにも、働き方改革をここで終わらせてはいけません。

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