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食べ物としての魚?生き物としての魚?


切り身が海を泳ぐ!?

数年前に耳を疑うようなニュースを耳にしました。それは最近の子どもは魚が切り身で泳いでいると思っているというものでした。最初そのニュースを聞いたときの印象は「え?どういうこと?」でした。あまりにもぶっ飛びすぎていて、芸人さんのコントのネタなのではないかと思ってしまうほどでした。切り身が泳いでいるって、およげたいやきくんの世界ではないかと思ってしまいました。非常にシュールな世界ですよね。
残念ながら、それはどうやら事実のようです。僕は海の近くに生まれではないですが、小さい時から魚が切り身の形で泳いでいないということぐらいは知っていました。切り身で泳いでいると思ってしまう原因は、実際に泳いでいる魚や発泡スチロールに入れられた魚を見たことがないからで、その根底に共働き世帯の増加が影響していると思います。それにより、家で料理する時間が昔に比べて減ると、おのずと魚を捌くことも減ります。実際に魚を捌くところを見ていないというのがこういった問題を起こしているのだと思います。実際の魚と食べている魚がリンクすればそのようなことは起こりません。そして、スーパーの総菜や切り身を使って料理をすれば、非常に楽で、手間が省けます。その反面、そういったことが起こってしまいます。何らかの形で生き物に触れることをしないといけないということを示す出来事なのかもしれません。

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魚を使った料理こそ調理実習でやってほしい

家庭科の調理実習は実際に包丁などの道具を使って、自分たちで料理をします。学生の頃は調理実習なんて面倒くさいと思っていました。なので、偉そうに言える立場ではありません(笑)。調理実習では与えられえた材料で決められた料理をします。僕の高校では買い出しまでして、作っていました。はっきり言って面倒くさかったです(笑)。そのできた料理や調理過程を先生が見て成績を付けるというのが一般的な家庭科の調理実習です。
調理実習で決められた料理を作るのも重要ですが、魚一匹と調味料からどんな料理ができるかをやらせるのもいいと思います。鯛みたいな大きな魚でなくても、アジをさばいて料理するのもいいかもしれません。そうすることで、捌くときのわずらわしさはありますが、魚から刺身になる過程や切り身になる過程を知識としてではなく、経験として身につきます。さすがに調理実習で皮引きまでする必要はないので、焼き魚やムニエルぐらいでいいと思います。
鱗の引き方や魚のおろし方だけを教えて、調味料と組み合わせてどのような料理を作るのかを各生徒に任せるのも面白いかもしれません。ある程度のレシピを先生が作っておけば、料理をしたことがない人でも多少はできると思います。頭を落とすときに関節に刃を入れて落としたり、ヒレを取る時に刃の根元を使って落としたりすることを学んだ方が包丁の使い方も知ることができると思います。料理は食べるために行うことですが、その過程で重要なことがたくさんあります。包丁を使うときに添える手の形や内臓を取り出す意味なども知ることができます。料理の途中で行うことの意味を考えるきっかけになると思います。
魚の生臭さを消すために醤油や塩や味噌が使われます。アラ汁の大半が味噌なのは美味しさだけでなく、そういった理由もあります。すまし汁は塩もみをするか軽く炙って臭いを消しています。さらに刺身がしその上に乗っていて、食べるときにワサビが付いているのは臭いけしと殺菌効果です。料理の小さなところにも目を向けるとさらに世界は広がります。刺身の場合、盛り付けで綺麗に見せようという意味合いもありますが、そういった実用的な面から発展していき、見栄えに行きついています。魚を料理するときに醤油や塩をよく使うのは生臭さを消す効果と美味しさが相まって現在まで残っているのだと思います。料理をするときの調味料を考えるときに魚や肉の臭みを消す方法を考えるとおのずと美味しさを追求できるかもしれません。
料理の重要なポイントはいかに無駄なく使うかということでいかにおいしくするよりそちらの方が重要だと思います。食べる前に「いただきます」と言うぐらいなので、その命に対する敬意を払う必要があります。無駄な部分を捨ててしまうということはその命の一部を無駄にしていることになります。もちろん、内臓のように食べると寄生虫を体内に取り込んでしまうリスクのある物は別ですが、使えるものを捨てるのは決していいことではありません。魚を使った調理実習でそういったことについても学ぶべきではないかと思います。

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最後に

鯛と料理について書いてきましたが、料理をするようになったのは大学生になって一人暮らしを始めた時で、魚を捌くようになったのはコロナの自粛期間からです。三徳包丁で魚を捌くのに限界を感じ、出刃包丁と柳葉(刺身)包丁を買って、魚を捌いています。魚を捌くときの方が他の物を切っている時よりも神経を使います。魚は他の食べ物に比べて滑りやすい気がするのと使っている包丁が他の包丁より切れ味がいいので一歩間違えれば大けがになってしまうからです。包丁は一歩間違えれば凶器になってしまうので非常に恐ろしい道具です。料理にも危険が付きまとうので気を付けないといけないですね。
魚を捌いていく過程で刺身のブロックができ、切り身の刺身や焼き魚用の切り身になっていき、魚という姿から料理するまでの一連の流れを見ることができます。そして、生き物であるということを実感するような血であったり、臓物であったりを目の当たりにします。本当に命を頂いているという実感をそこでします。魚は栄養のある食べ物としてだけでなく、そういった命に対する考え方を教えてくれる存在とも言えます。水産庁だけがPRしているだけでなく、世界一受けたい授業でも白石麻衣さんが魚捌きに挑戦しているので、魚を捌いたことがないという人でも一度捌いてみてください。特によく残して捨てる人にはぜひしていただきたいです。そういったことを通じて食べ物に対する考え方が少し変わると思います。

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