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思考や価値観を邪魔するノイズ ~芸能人の不倫~

いつ読んでも古くならないようにできるだけ年月日の記述はしないようにしている。これを読んでいるあなたはこれを書いた今日に読むかもしれないし、20年後に読むかもしれない。20年後に読んだあなたが昔話のように聞こえてしまうのを防ぐためだ。
しかし、今日はそんなルールを少し破ってしまおう。


もう書き留めてから2年になろうとする記事が今でも読まれている。

とても嬉しいことだ。エッセイストという至極曖昧なものをこの記事で勝手に定義して、こういうルールを設けて自分はエッセイを書いているということを綴っている。
あまり深く考えて書いた訳ではなかったが、フォロワーさんが増えるきっかけになったり、何よりもエッセイを書くきっかけになったという声を頂けるというのがとても嬉しい。ただ欲望のために書き出したエッセイだが少しは誰かの役に立っているのかもしれない。

そういやいったいどんなことを書いたっけ?ということで読み直してみることにした。
その中で一つのことが目に留まった。それが「誤字脱字をなくす」ということだ。
これは文章を書く上でのルールでありマナーとされている。


では誤字脱字があるとどうなるのか?
答えは読み手の"リズムが崩れる"ということになる。


「今日は服を買いに行った」という文章を「京は福を飼いに行った」となると意味合いが変わってくる。京という人物が「福」という名のペットを飼いに行ったのか?となる。
人によってはこのような誤字があっても脳内で「今日は服を買いに行った」のだなと変換することができるかもしれない。しかしそれでは読み手にストレスを与えてしまうことになる。文章をサラサラっと読んでいるところに誤字があると一瞬立ち止まらなければならない。つまり、誤字を使用するとは読み手のリズムが崩れる行為であり、誤字というものは文章においてノイズとなる。


文章においてのノイズは他にもある。読み手がわからない漢字や、読み手が理解しない難しい言葉もこれにあたる。正しい日本語、古来からある美しい言葉を身につけることが教養だという人がいるが読み手がそのレベルに達していなければノイズにしかならない。小学校低学年の子どもに漢字を多用するのはいかがなものかといった話である。

ノイズという言葉は直訳すれば騒音なのだがこのように音に限ったことではない。
満員電車も、口うるさい上司といったストレスの対象もこれに当てはまるし、思考や価値観を邪魔をするものにもこれが当てはまる。



テレビをつければ今日も芸能人の不倫やスキャンダル、覚醒剤の所持がどうのこうのの話で盛り上がっている。僕はこれらの類に全く興味がないのだけれど、このノイズという表現を用いれば世間が叩く理由もわかる気がする。


僕は「シュガー&スパイス」という映画が好きだ。主演の柳楽優弥が沢尻エリカに恋をするのだけれど、沢尻エリカには年上の彼氏がいて恋に敗れるという話だ。この映画を観ていた頃の自分の心境とひどくマッチするものがあり、心を打たれた作品だ。
しかし、先日悲しいことに沢尻エリカは覚醒剤使用の罪で捕まった。僕はこれからこの作品を観るたび「この人はこんな素敵な演技をするけれど覚醒剤で捕まったんだよな。ひょっとしたらこの作品の頃にも覚醒剤を使用してたのだろうか」と考えてしまうだろう。
せっかく感動する場面でもこのようなノイズが思考を中断させる。好きな女優の一人だからとても残念だ。


このノイズというものだが、大なり小なりのレベルがある。工事現場ほどの大きいノイズもあれば、冷蔵庫の音ぐらいの比較的小さいノイズもある。
芸能人のスキャンダルを見たとき、

世界観のあるアーティスト  ×  不倫   → 小さいノイズ
好感度タレント       ×  不倫   → 大きいノイズ

となる。
好感度タレントが不倫をすると反響は大きくなる。普段見せる笑顔の裏でこんなことをしていたのかというレバレッジ(てこ)がかかるし、以降そのタレントを観るたび「不倫をしていた」という空港並みのノイズが起きる。

一方世界観のあるアーティストの場合は比較的ノイズが小さいのかもしれない。これがストレートなラブソングを歌うアーティストならノイズは多大なものとなる。つまり、同じ行動を起こしたとしても、キャラクターによりノイズは大きくもなるし小さくもなる。親和性の高いノイズ親和性の低いノイズがあるから許される度合いが違うのだ。


脳内をチラつくノイズはとても不快だ。
昔付き合っていた子がことあるごとに「元カレはあんなことをしてくれた」と言っていたのがとても嫌だった。そんなことを言われるとデートをしていても彼女と二人だけの空間に会ったことのない元カレが脳内をチラついてしまう。まとわりついてうっとおしい。およそ10年越しにこの正体はノイズということが今日わかった。
ちなみにその子とは1ヶ月ほどで別れた。




僕はこうして今エッセイを綴っている。結婚をして子どもができた。二人が寝静まっている間にエッセイを書こうと思い、今朝は5時に起きてパソコンに向かった。
朝食を食べてコーヒーを飲み、さぁパソコンに向かおうと思ったときだ。




「あんたのガサゴソでこの子が起きてしまったんやけど!!」

寝ていたはずの妻が子どもを抱えて寝室から出てきた。妻は不機嫌な顔を浮かべている。どうやらノイズの元凶は僕のようだった。


次回は「カワイイ!!カワイイ!!と言いながらスイーツを頬張る女性の心理」について書きます。よろしくどうぞ。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
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