カワイイ!!カワイイ!!と言いながらスイーツを頬張る女性の心理

子どもが生まれてから嫁のお母さんが来ることが多くなった。

初孫が余程嬉しいらしい。来るたびに絵本や服を買ってきてくれたりする。とてもありがたい。
孫だけでなく僕たち二人のためにもお菓子や食器を買ってきてくれる。先日にはバレンタインのチョコをくれた。

嫁は頂いたチョコを「わー、カワイイ!!食べるのがもったいない!!」と言いながら頬張り、あらよあらよと口に運んだ。

出たよ、と思った。
嫁はカワイイチョコやケーキがあるとカワイイカワイイと言いながら食べるのだ。食べるのがもったいないという言葉とは裏腹に二言目にはもう口に入れている。おかしな話だ。
食べるのがもったいないから、これは永久保存版で残しておこうと言うのなら矛盾は少ない。しかしそれはそれで食べないともったいないという思考になるのだろうか。なかなかむずかしいところだ。
そして、嫁は少し賞味期限の切れた食品には、胃に入れば一緒!!とジジくさいことを言ったりもする。その辺の人間臭さが彼女の魅力だったりする。

このカワイイカワイイと言いながら頬張る行為は何も嫁に限った話ではない。
巷にはトレンドのスイーツがテレビに映し出されるたび、カワイイ!!とキャッキャしながら女子たちはむさぼり尽くしている。スイーツそのもののフォルムがカワイイ場合もあれば、人気のキャラクターとコラボした商品がカワイイ場合もある。

僕はその感覚に一定の躊躇があったのだが、僕にもその感覚があることが最近わかった。

生後3ヶ月になった子どもがいる。日に日にできることが増えて、表情も出てきた。機嫌がいい時は「あー、うー」なんて言葉も喋れるようになった。ひとことで表すならカワイイ以外の何者でもない。
そして僕はついに思ってしまった。

・・・食べたい。

あろうことか息子を見て食してみたくなったのだ。カニバリズムというかなんというか、食べてみたくなったのだ。せめてハムハムと口にくわえたい。
白くてぷにぷにの肌。まん丸な顔にむちむちの四肢。とても美味しそうだ。食べてみたい。
何も肉付きがいいから食べてみたいわけじゃない。これが可愛くなければ食べたいとは思わなかったはずだ。
となると、どうやらカワイイは食べてみたいという思考にたどり着くらしい。

確かに料理は味だけでなく、目で味わうなんて言ったりもする。盛り付けによっても味が変わるし、配色によっても気分が高揚する。でもそれは料理に限ったことだ。
これが人間を見て食べたいとなるとまた違った感覚に違いない。

そこである話を思い出した。

西洋の歴史に登場するバートリーエリザベートという血の伯爵夫人のことだ。
エリザベートは粗相をした侍女を折檻したところ、その血がエリザベートの手の甲にかかり、血をふき取った後の肌が非常に美しくなったように思えたという。そして処女の血を浴びれば美しくなるという発想になり侍女を始め近隣の領民の娘を片っ端からさらっては生き血を搾り取り、血液がまだ温かいうちに浴槽に満たしてその中に身を浸すという残虐極まりない行為に走ったとされている。(エリザベート・バートリ について調べてみた【血の伯爵夫人】)

食べはしないものの、若返りたい、美しくなりたいという思考が血液風呂という行為にうつったのだ。

そういえば、映画もののけ姫でも同じようなシーンがある。
森を奪う人間に向けたショウジョウの言葉だ。

「人間食う、人間の力もらう、人間やっつける力ほしい。だから食う」

どうやら、食べるという行為にはその能力を身につけたいという本能が現れているのかもしれない。そういや肉食系と言われる性格の人は食べ物も肉食を好む傾向があり、甘いものが好きな人は性格が優しいというのを聞いたことがある。

ということはつまり、女子がカワイイものをカワイイと言いながらむさぼる行為は「自分も可愛くなりたい!!」という気持ちの表れなのだ。このピカチュウのドーナツを食べて私も可愛くなってやるぞという魂胆が見え隠れしているのだ。

僕もつまりはつまり、息子を見て食べてしまいたいというのは、こんな風に愛らしくなりたいなという心が表れているのかもしれない。
ひとつの結論にたどりつき長年のモヤモヤが晴れた。

今日も息子は元気だ。
両手をモジモジとして遊んでいる。なんとも可愛らしい。
このポーズが僕たち夫婦のお気に入りのポーズとなっている。

このおてて、クリームパンみたいやなぁ。。。
耳を疑う言葉が隣から聞こえた。

どうやら彼女は息子を"食"として見ているようだ。

次回は「子どもはペット~LINEのアイコンを子どもに変えた理由~」についてです。
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