見出し画像

ワクワクする本に出会いたいなら本屋選びを侮るな

久しぶりに本屋に行った。

僕は小さい頃から本が好きだった。誰にも負けないぐらいの多読家でもなければ速読ができるわけでもない。生涯の読書数もむちゃくちゃ多いわけでもなく、真の読書好きと名乗れるほどの読書家でもない。でも本が好きだった。

多分、本屋そのものが好きなのかもしれない。理由はよくわからない。自分の知らない知識や世界が広がる本屋という空間にワクワクしているのかもしれないが、この理由は一般的な読書家が語るお手本の答えであり、自分の本心かと問われるとちょっと怪しい。


僕の生まれは超がつくほどのド田舎だ。小学校の同級生が6人だったと言えばある程度想像がつくと思う。幼少の頃はインターネットなんてなかったし、都会との壁がとても厚かった。テレビもおもちゃも流行も少し遅れて僕の手元に届いた。

なので、外界の情報を知る手段はテレビか紙媒体だった。街に行くには車で30分かかるし、近所の友達と遊ぶには自転車で30分かかる。なので週に一度親に街に連れて行ってもらった時に立ち寄る本屋はとても特別なものだったのかもしれない。

現在はとても便利な世界でネットで本を買えば翌日には届くような環境ではある。にも関わらず、現在でも本屋が好きなのはきっと幼少期の名残からだろう。


そんなこんなで僕は本が好きで本屋が好きなのだが、中でも好きな本屋というのが存在する。

本なんてネットで買えばいいやと思う人からしたら目から鱗かもしれないが、確かに好きな本屋というのが存在する。もちろん可愛い店員さんがいるとかそんな不純な動機ではない。


僕が好きな本屋というのは店員の趣味が垣間見える本屋だ。これに尽きる。

本屋に行くと新刊やベストセラーが平積みされた光景を見たことがあるかもしれない。確かに本屋を経営していく上で本を売ることは最も重要なことだと思う。なので売れ筋の商品を並べることは大切だ。

でもそれだけの本屋は僕はあまり好きではない。新刊を買うならそれこそamazonで買ったほうが早いし、どこでも買える本ならわざわざその本屋に足を運ぶ理由がない。

僕が本屋に行く目的は、見たことも聞いたこともない本に出会うことにある。ネット検索で出てきた関連作品では目にすることができない本に出会えるチャンスが本屋にはある。

なので売れ筋商品だけを抑えている本屋よりも、発売から何年も経っているけれど鎮座している本にドキドキする。これは何もその本屋の怠慢というわけではなく、店員さんの趣味や嗜好によって置いてあるケースがあるからだ。

背表紙を見て気になって、手に取って数ページめくる。厚みや重み、質感を肌で感じ、フォントやデザインを見ながら、自分に響きそうなものを選ぶ。事前情報を全く仕入れずに、手に取った本が面白ければ面白いほどワクワクする。

これが僕の本屋での楽しみ方だ。

もちろん失敗もあるかもしれないが、数を重ねるごとにその精度は増していき本選びで失敗しなくなる。数ページめくればなんとなく自分が好きな文体か、必要な情報が載っているか分かるようになる。

これは、小説だろうとビジネス書だろうと、メソッド系の本だろうと同じだ。


最後に僕が以前好きな本屋で買った本を紹介する。

レス・ギブリンの「人望が集まる人の考え方」という本だ。本書は半世紀以上前に書かれた本だが内容は決して古臭くない。むしろ本質的なことが書かれているからこそ、現代でも通用する。

僕は人間関係が得意ではないし、自分が思ってもみないところで誤解を受けたりもする。コミュ力が決して高い人間ではない。そんな僕だから立ち寄った本屋で自然と本書を手にしたのだと思う。

人間の本質的なことが具体的に書かれている。ある種、僕はこの本によって形成された部分がある。


今日買った本はまた読み終わってから後日紹介しようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?