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メキシコ生活記録⑩ ー運転免許を取得したよ

 ご無沙汰しております。自分のオンライン仕事の準備と論文に追われて過ごしていたらnoteにまで手が回らず…。論文にはまだ追われておりますが、少し目処が立ってきたのでnoteを開いた次第です。書きたいネタはたくさん貯めてるんだけど、まぁ順番にということで、今日は10月初めに運転免許を取った時のお話。

メリダの免許センター。この時は時間外だったので誰もいない。

 前にも書いたけど、メキシコは州?市?によってシステムが違う。私が住んでるメリダはがっつりテストをする系。筆記と実技の両方に合格する必要がある。しかも、テストを受けるまでにも色々揃えないといけない書類があってややこしい。なので、私が一人でふらっと免許センターに行ってもテストは受けられない。
 まずは、夫の会社のスペイン語ができる日本人スタッフさんに手伝ってもらって、書類を揃えるところから。免許センターに行ってしかるべき書類をもらい、それを移民局へ持って行って、外国人の私が免許を取ってかまわないですよっていうペライチをもらわないといけない。これがまず大変。
 朝イチで免許センターに行ったんだけど、長蛇の列。何でも、今はナンバープレートの更新時期らしく、それで人が押し寄せているらしい。ディズニーでしか見たことないような人の列ができてた。でも、私の書類は列が違うと分かり一安心。で、多少並んで書類をもらい、移民局へ提出に。移民局の書類は明日の午前中にはできるというので、この日はこれで終わり。

 次の日、移民局へ行って種類をもらって、いざ免許センターへ。今度は免許取得の手続きをしないといけないので、けっこう並んだ。やっと中に入れたんだけど、受付の人のスペイン語が分からない。名前と、電話番号は答えられたんだけど、今度は長めに話してる。私が「?」と首をかしげていると、受付の女性はゆっくり話してくれた。ごめんね、そういう問題じゃないの。こりゃダメだと思い、外で待機してくれていた日本人スタッフさんを走って呼びに行く。どうやら、事故を起こした場合の緊急連絡先になる人の名前と電話番号を教えてと言っていたらしい。そんなスペイン語分かるわけない。日本人スタッフさんが来てくれたので一瞬気を抜いていると、隣の受付の人が話しかけてきた。何か大事なことなのかと思ってあたふたしていると、自分のネックレスをつかんだ後、私のを指さし「ボニート(かわいい)!」と言ってウィンクしてくれた。いや、タイミングよ。
 その後、簡単な問診があり、血液型を聞かれたのでO型だと言うと、「プラス?マイナス?」と聞かれる。人生で初めて聞かれた。どっちだっけ?マイナーじゃないはずだけど、メジャーなのどっち?とかたまっていると、「オッケー!じゃ、今調べるね」と言われ、指の先をチクッとされて血を絞られた。プレパラートみたいなのに3滴。結果は「プラス」。いろんなとこテキトーなのに、ここは細かくやるんだな。
 あと、視力検査もあったんだけど、日本でやる「C」みたいなやつのどこが開いてますかテストじゃなくて、光ってるアルファベットが読めるかな方式のテストだった!知らなかったのでびっくり!
 そして、今日さっそくテストを受けられるというので筆記を受けてみた。これに受からないと実技にはすすめない。筆記テストは、パソコンで受ける。あそこ座ってと指示されたパソコンの前に座る。始めるタイミングは自分次第。英語とスペイン語が選べるので、私は英語を選択。全部で10問あるうち8問以上正解で合格。正誤はその場ですぐ表示され、3問間違えた時点で強制終了となる。1問につき制限時間は60秒で、3択問題。
 いざスタートしてみると、カウントダウンにめちゃくちゃ焦らされる。設問と選択肢もあるので、私にとっては結構な速読が要求される。問題は、文章問題(免許を紛失したらどうするか、事故した後の対処として適切なのはどれか等)、この標識は何ですか問題、この道路はどんな道路ですか問題(追い越し禁止等)など、いろいろ。しかも「vehicles」というやたら出てくる単語の意味が分からない。焦りまくって、まだ20秒もあるのによく読まずに選んで間違えたりしてしまい、8問目で強制終了。一日目の結果は、見事な不合格でした。ちなみに、この筆記テストは1日1回までだけど15日以内なら事務手続きなしで毎日受けに来られる。ただ、5回?不合格になると、事務手続きからやり直さないといけないらしい。夫が一発合格したと言っていたので、負けた気がして悔しかった。でも、一発合格ってすごいな。

 という感じで、ここまでで、2日も夫と会社の日本人スタッフさんの午前中をつぶしていることに気が付く。彼はそういうお手伝いも含めての採用らしいので、私の運転免許取得のために動くのも業務の一環だから気にしなくていいと本人も夫も言ってくれたけど、やっぱり気にするよ。だって、私がこのまま落ち続けることだってあるわけでしょ。今日は1日目だから「1回目で8問までいけるのはすごいですよ」って励ましてくれたけど、これが15回目でも同じように笑ってくれるだろうか。私ならきっと笑えない。ということで、勝手にプレッシャーを感じてしまい、とりあえず帰りの車内で速攻「vehicles」が「車両」だということは調べました。

 で、次の日。心臓バックバクで2回目の筆記テスト。運転にまつわる英語も調べたし、たぶん大丈夫と思いながらもめちゃくちゃ緊張した。久しぶりだわ、あんなに緊張したの。だって、夫と日本人スタッフさんの仕事時間が、私の合否に賭けられてるわけだからね。
 2回目の筆記テストも似たような問題。今日も謎のアニマルがクロッシングする標識が出てちょっと和んだ。そして、結果はというと、8問正解で見事合格!!7問目に2回目の不正解を出してしまい、あとの3問を連続正解するしか道がなくなったときの集中力と緊張はすごかった。手に汗にぎったよ。「合格」って画面に出たときには、思わずガッツポーズしちゃった。私が「I passed!」ってあまりにうれしそうにチケット渡したので、受付のお姉さん笑ってた。
 そして、今日はこの後実技!受付のお姉さんが実技試験の説明をしてくれた。そこで「あなた自分の車に乗って来てる?」と聞かれる。なにこのひっかけ問題…って思うでしょ?ここで「はい」って言っちゃったらそこで「はいダメー!」ってなりそうな気がしない?私はした。何これ、私いま当局に試されてるの?って。でもね、ほんと謎なんだけど、メリダでは自分の車で実技試験を受けることになっているのです。つまり、初めて免許を取る人でも、免許センターまで自家用車に乗ってこないといけないわけ。禅問答みたいだよね。だから、運転してくれる人の都合がつかない人は、無免許運転も、きっと、うん、たぶん、そういうことなんだろう。血液型のプラスかマイナスかは気になるのにそこはいいんだっていう。ツボが分からない。

 そんなこんなで実技試験。車回してきて、私の運転で(!)車の列に並び、一台ずつ誘導されていく。実技場は分厚い扉で仕切られているので外からは見えない。中に入ると、スペイン語ができるか聞かれ、英語でお願いと言うと英語のできるスタッフが来てくれた。その人が丁寧に説明してくれた。実技テストは縦列駐車。決められたスペースに切り替え(DとRのチェンジ)5回以内で駐車できたら合格。後ろを振り返るのはダメで、目視していいのはバックミラーとバックモニターだけ。で、チャンスは2回まで。あらかじめ聞いてはいたんだけど、思ってたよりスペースがギチギチ。しかも、奥の黄色い線上に右のタイヤを置けときたもんだ。前後のドラム缶、右側の縁石に触ったら即終了。こんなの無理じゃない?
 ぶちゃけると私は縦列駐車が得意だ。実家では毎日、壁ギリギリを攻めた縦列駐車をしていたから。でも、今、左ハンドルなんだよね。だから、右側の後輪から入る縦列駐車なんてあんまりしたことがない。しかも、乗り慣れていない車。一応、うちの駐車場で多少練習はしたけども自信がない。
 とにかく1回目は緊張しながらやってみた。なんとか入りはしたものの、右側への寄せが浅く、不合格。ヤバイと思っていたら、英語話せるスタッフのお兄さんが「君は絶対合格できるから、俺を信じて!」と声をかけてくれた。「ありがとう!がんばる!」と返して再チャレンジ。すると、お兄さん、めちゃくちゃ指示してくれる。「今!ハンドル切って!」とか「切り替えないで!まだいける!」とか。うそ、このままバックしたら絶対当たる…と思ってお兄さんの方を見たら「Trust me!」って言われた。映画みたい。私は、こくりと頷き、ハンドルをそのままにバックし続けた。結果、見事合格。「だから、君は合格できるって言っただろ☆」という決め台詞をお兄さんからもらう。一緒にガッツポーズした。

 そんなこんなで、私は2日目で合格!免許取得にかかったのは3日。まぁ、笑顔で手伝える範囲におさめたのではないでしょうか。
 その後、順調に練習を重ね、だいぶ運転に対する恐怖心もなくなってきた。こちらは信号が少なく、ロータリーで交差点を整理していることが多い。車が少ないといいんだけど、多いとね、ロータリーに入るタイミングが難しいんだよ。危ないし。でも、行動範囲が広がってうれしい。平日にも買い物へ行けるしね。まさか自分が左ハンドルでロータリーに入る日がくるなんて思ってもみなかった。人生は不思議。あと、私はO型プラス。


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