ド文系こそ習得すべき、正しいデータの読み方

約3年間、広報の仕事をしてきました。
様々なテーマのプレスリリースや記者会見、細かく更新されるサービスのニュースを記者に伝えてきたけれど、メディアで取り上げられやすいのは、時世に乗ったストーリーがある情報。
誰にでも理解しやすい事実と、誰にでも共感しやすい事例が必要でした。

そう、「誰にでも」理解しやすい必要があるのです。
どんな状況で働く人にも、どんな教育を受けた人にでも…多くの人が分かりやすい内容で、記事や番組が作られます。

毎日忙しく生きる中、人は世の中のすべてのことに関心を持つことができません。
それぞれの関心に刺さったテーマだけに興味をもつものです。
ある人は地球温暖化の問題よりも、夕食の献立に興味があるかもしれない。
ある人は明日の天気よりも、娘が赴任している中東の情勢に興味があるかもしれない。

だから、一つ一つのニュースに興味を持ってもらうためには、なるべく単純化し理解しやすくして、まずは知ってもらう必要がありました。

対して情報を受け取る側は、日々、新聞・テレビ・ネットニュース・SNS…とたくさんの情報に触れていると、こうして単純化されたニュースの表面しか見る余裕がありません。

ニュースを見て何か行動、判断するときに誤らないためにはどうするべきか、こんな今だからこそ重要な、情報の見方を教えてくれる本を手に取ってみました。

理解するために便利な「パターン化」

他人にニュースを知ってもらうために、情報を単純化する方法の一つが「パターン化」すること。

ニュースを受け取りった人も、「あれと同じか」「あれと逆なのか」とパターンに当てはめることで、情報をより早く理解することができます。

しかし極度にパターン化しすぎてしまったり、誤ったパターンに当てはめてしまうことで、情報を間違って理解してしまうことがあります。

誤ったパターン化を見直すためには、情報を見たときに、
・同じ集団の中の違いと違う集団の違いの共通点を探す
・過半数の中身(90%と60%で大きく違う)に気をつける
・例外に気づく(例外だけが誇張されていないか)
・自分が普通と思わない
・一つのグループの例を他のグループに当てはめていないか
を振り返るとより正しくデータを理解しやすいと言います。

また、一つの視点で全てを理解しようとせず、なるべく多くの視点を持つこと。
自分の立場だけでなく、様々な立場の人を想像してみると良いのかもしれません。
自分が持っている知識を、万能に使えるとは思わず情報を読み解きます。

恐ろしいニュースは関心を突き破る

人がそれぞれ持つ関心を突き破って届くのは、本能に刺さる情報です。
その一つが恐怖に触れる情報です。

テロの映像、感染症のニュース…など、恐ろしいものには自然と目がいってしまうのは、自分の身を守るための動物の本能と言えるでしょう。

しかし恐怖と危険は意味が違います。
リスクを正しく捉えて実際に危険な情報に目を向けて、自分の身を守る必要があります。
恐怖に怯えるだけでは、情報を誤って理解し、誤った行動をしてしまうかもしれません。

さらに恐怖のニュースへの関心を加速させるのが、焦りです。
目の前に危機が迫っていると感じると、焦り本能で今すぐに動きたくなってしまうものです。
しかし現代に差し迫った危機などほぼなく、実際の事態は複雑です。
焦りすぎずに深呼吸し、データに基づいた判断をすることが、正しく危険を回避することに繋がります。

データは理系の人たちのもの、ではない

「データ」というと、数値がたくさん並び、数式やグラフで表された理系の人たちのもの…という印象があると思います。
学生時代、がっつり文系だった私もその一人。

しかしデータを正しく判断するのには、難しい数式や計算の知識は必要なく、冷静に比較したり複数の視点からデータを考えることができれば良いのだと、この本を読んで改めて理解しました。

この本では10項目に分けて、分かりやすくデータの見方のポイントを伝えてくれています。
筆者のエピソードが混じってるのでとても読みやすい。
情報を伝える側でも受け取る側でもあるからこそ、その10項目を意識し永田データを正しく理解していこうと思いました。




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