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#15 祖父と私 続き。

祖父が亡くなる前

祖父が亡くなったのは、私が20歳の時です。

亡くなる前、ボケてしまい、細かな病気もあり、入院をしていた祖父。
介護のため毎日、病院に通う母。

祖父はそんな母を

「知らないやつは出ていけ!」

と毎日怒鳴り散らし、そのたびに看護師さんに祖父は「娘さんでしょ!」と怒られていたそうです。

姉がお見舞いに行っても同じ。

私もそれを聞いていたので、少し覚悟をしてお見舞いに行きました。

「おお、来てくれたのか!」  ん?あれ?

「お菓子もあるぞ。果物もあるから食べろー。なんだか知らない人がいつも果物持ってくるけど、おれはいらないんだ」

と、私の隣にいる母を見て言う祖父に、若干20歳の私には上手な返しはできませんでした。

面会時間ギリギリまで、祖父のそばにいることしかできなかった私が帰ろうとすると、

「帰らないでくれー。こんなところにいたくないんだよー」

と大声で私を引き留めたのが、私と祖父の最後だと思っていました。

亡くなった日の朝

数週間後、夢を見ました。

祖父と一緒に住んでいた家で、私と祖父は二人きりで遊んでいました。

20歳の私のようで、小さい頃の私のような。

祖父も昔の祖父のような入院する時期くらいの祖父のような。

よく見る夢のような、でも現実のような。

急に記憶が飛びそうになるので、一生懸命に夢の世界に集中したりして、

本当に不思議な夢でした。

当時お付き合いしていた彼と同棲していたのですが、目覚めた私は、ドラマにみたいに布団の上に座って、ツーっと涙を流していました。

彼「おい!大丈夫か?おい!」

私「おじいちゃんが夢に出てきた」

彼「そうか。よかったな」

その次の瞬間、私の携帯電話が鳴り、母親からで、

母親「おじいちゃんがさっき、亡くなった」

私「そうなんだ。おじいちゃんの夢を今見てたよ」

母親「そうなのね。あんたのとこに結局最後は行ったんだね」


本当に、本当に、気にかけてくれてたんだと思います。

私は、こんなことを言ったらだめなんですけど、私は、ずっと、家族に愛されてないと思って子供時代を過ごしていました。

だから、たとえ一人で自分の子供を育てることになってしまったときも、

本気で自分なりに、精一杯の愛情を注いできたつもりです。

結果、息子はとても優しい子に育ってくれたと思っています。


でも、祖父がこうやって気にかけてくれているんだろうな、ということを思い出すと、私はなんで、そんなに自分を否定しながら生きている時があるんだろう?と、申し訳ない気持ちになります。

自分のこと、すきになってもいいんだよ、って言いたい夜でした。


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